Thursday, May 30, 2013

Herfindahl-Hirschman index in Okinawa

沖縄県市町村民所得(cf. 22年度沖縄県市町村民所得)では,市町村レベルで産業別NDPのデータが利用できる.このエントリではHerfindahl indexを計算し、結果を眺める.

セクター$s$のHHI ($= H^s$)の定義は,
\[H^s := \frac{1}{R} \sum_{r=1}^R \lambda_r \left( \frac{\lambda_r^s}{\lambda_r} \right)^2 ,\] ただし
  • $R$: # of regions (欠損値がなければ$R=41$市町村),
  • $s$: sectorのインデックス,
  • $r$: regionのインデックス,
  • $\lambda$: シェア.
    • $\lambda_r^s := \mathrm{NDP}_r^s / (\sum_r \mathrm{NDP}_r^s)$,
    • $\lambda_r := \sum_s \lambda_r^s$.
また,欠損値は面倒くさいので省いた.

$H^s$は$(0,1]$の値を取り,大きいほど特定の空間に経済活動が集中していることを意味する.解釈上の問題もいくつかはらんでいるのだが,手軽に計算できるので他の長大な計算の合間にとりあえずやってみたという次第である.

計算結果をまずは全産業で眺めてみよう:
出典: 沖縄県「市町村民所得」
  • 農林水産業や鉱業は,他の産業に比べてHHIが高い! 特に林業は名護と国頭でシェア6割を達成しているため,ずば抜けて高い値を取っている.
    • 収穫一定・完全競争部門のほうが集積している,とナイーブに解釈することはできないものの…first natureの強さを実感する.

次に農林水産業・鉱業を除いて作図し直した.
出典: 沖縄県「市町村民所得」
  • 製造業,情報通信業,生活インフラ,のHHIが高め.
    • 製造業は那覇市よりも西原,浦添,糸満,といった那覇都市雇用圏の郊外エリアに集中している.那覇都市雇用圏以外では,コザ,うるま,名護,の存在感があるが,これらは県を挙げて企業集積に資源を費やしているエリアでもある.
      • 西原は琉大も近いし那覇も近いし土地も安いしある程度社会インフラが充実している,というアドバンテージがあるのだろう.沖縄で最も製造業のNDPが高い行政区域となっている.
  • 金融や情報通信はやはり那覇市に集中している. HHIも相対的には高め.
  • 島嶼部では政府サービス生産者がNDPの主要部分を占めている.
    • たとえば渡名喜村のNDPの約50%は政府サービス生産者が生み出している.すごい.

那覇という中心地に高度なサービス業が立地し,その周りで製造業が営まれ,peripheral areasで一次産業,という沖縄県の空間構造がおぼろげながら見えてきたというわけだ.

H13年からデータがあるので,時系列でHHIの推移を眺めることもできるはずだがこのエントリはここまで.

(MathJaxを導入してみた.携帯など閲覧環境によっては数式が一部表示されないかもしれない.)

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