Friday, May 29, 2015

国際経済学I,第7回, 2015

投稿して1年強放置されている論文の行く末が気になる季節になってきた. 天気も悪く,少し気が滅入る.

講義内容
  • 余剰の読み取り方
    • さしあたり,どこの面積になるのかを押さえよう.
  • 小国開放経済モデルの設定
    • 貿易がスタートすると,生産や消費のパターンも変化する.その帰結を分析する技を身につけていく.
    • 小国はプライス・テイカーに似ている.外国の価格は所与としているのである.

コメントより
  • 「満足度を図で表せるということで,市場の動きを目で見てわかると思った」 
    • 余剰という概念は,市場の動きそのものというよりはその規範的な帰結です.
    • グラフを使って考える御利益は次週以降に明らかになる予定です.
  • 「余剰の図形は覚えやすかった」 
    • 覚えてくださいね.
  • 「閉鎖貿易って?」
    • 書き間違えましたか? 閉鎖経済です.
  • 「閉鎖経済は国としてのメリットはあるのか?」
    • 来週以降,貿易がもたらすメリットを学びます.貿易にメリットがあれば,貿易をしないことにはデメリットがあるとも言えます.
  • 「輸入の場合国内生産者が苦しむが,輸出の場合は逆のことが起こる.国内で希少になり値上がりして消費者が苦しむ.」
    • すばらしい洞察で,これから学ぶモデルではまったくその通りです.
  • 「国内生産者が負けないよう関税をかけたりするだろうから,国際価格のまま売られることは考えにくい.そうなると国内生産者がいなくなってしまうかも.ブランド化して差別化を図って売ることもできると思うが…」
    • 関税の分析はレジュメ2の後半でやります.
    • 価格競争に陥らないように差別化するのは大切ですね.ただ,ここではまったく差別化のされていない同質な財のみを分析します.
      • なお,オーソドックスな枠組みだと,差別化の有無それ自体はさほど結論に影響しません.
  • 「自由貿易の有無など,特別で複雑な状況が生じたらいっそう貿易が困難になる」
    • 貿易について分析することは困難になるかもしれません.
  • 「小国の仮定が面白かった.大国が何かすると変わってくるのは面白い」
    • 小国のケースを分析する場合でも,もし大国にしたらどうなりそうか,ということまで想像を巡らせるといいですね.
  • 「いろいろ貿易のことがわかってためになった」 
    • モデルを使って改めて理解する,という作業がこの講義のハイライトのひとつになります.
  • 「復習してテストがんばりたい」「テストが不安です」
    • 健闘を祈ります.
  • 「唐突なタメ口にビックリした」
    • 記憶にねーな.

Thursday, May 28, 2015

経済政策I, 第6回, 2015

私はゲーム理論家ではありませんが,ご冥福をお祈りします.

講義内容
  • ゲームのルールを変える
    • 利得表自体が変わればゲームの結果も変わりうる.望ましくない結果を変えたければ,ゲームの仕組み自体に手を入れることも必要.しかし,闇雲にやってもうまくいかない可能性がある.ゲームの構造を見抜くことが大事.
  • 最適反応とナッシュ均衡
    • 支配戦略の議論が「相手の出方にかかわらず…」というものだったのに対して,今度は「相手の出方に応じて…」となっている.
連絡
  • 中間試験用の練習問題をアップしました.
    • 試験範囲は次回やる範囲までとします.

コメントより
  • 「ナッシュのニュースを見たとき驚いた.まだ生きていたんだ!」
    • 伝説的偉人と同時代に生きていたと思うとなんとなくうれしいものですね.特にナッシュはノーベル賞受賞者の中でも別格の存在でした.
  • 「じゃんけんやPKは同時に行動を起こすので,相手の反応を見て行動することにはならないのでは」「後出しは強い」
    • 相手の行動を見て自分の行動を決めることはできません.(同時手番ゲームと言います.) 後出しができるわけではありません.しかし,事前に考えをこらしておくことはできるでしょう.
    • ポイントは,「もし相手がこういう行動を取ったとしたら」と仮想的な状況を考えることです.実際に相手を観察してから決めるのではなく,相手が仮にこうしたらどうすべきか,を整理しています.
      • 「もしAならばB」という仮定法を使った議論をしています.Aが現実に起こるものだとは限りません.「もし」を使って論理的に考える技術を伸ばしましょう.
  • 「囚人のジレンマから抜け出すために,最適反応をすることで,自分の利益が最大化できる」
    • これは間違いです. 最適反応を選んで自分の利益を最大化しようとしたら,かえってうまくいかなくなる(自分の利益が最大化できない),というのが囚人のジレンマです.
    • ナッシュ均衡は,何らかの望ましい状況を記述するものではありません.(適切な知識と情報を持つ合理的な)プレイヤーたちが取るであろう行動を記述するものです.
  • 「被支配戦略がいまいち理解できなかった.得をしないものを選ばなければいいのか?」
    • 得をしないものをあえて選ぶ理由が(今考えている状況下では)ありません.
    • 得をしないものを選ばないものとして無視としたら,じっくり検討すべきシナリオを減らすことができます.
  • 「ナッシュ均衡は理解できた.が本当はもっと奥が深いと思うので次回からもがんばる」
    • その通り,奥が深いんですよ.
  • 「最適反応は生活の中で意識せずとも使っているなと思った」
    • フロイトよろしく,無意識を意識すると面白いですね.
  • 「最適反応は,すごく当たり前のことなのでわかった.ナッシュ均衡は聞いた感じ難しそう」
    • ナッシュ均衡は来週以降もっと実例を見ていきます.
  • 「最適反応は単純な感じだけどちゃんとした戦略なんだと勉強になった」
    • 文字通り,最も「ちゃんとした」戦略ですよ.
  • 「まだ支配戦略・被支配戦略を理解するのは難しい」
    • ナッシュ均衡をいったん勉強した上で,改めて支配戦略の議論に戻ると理解しやすくなると思います.
  • 「しぶしぶ行動に移すしかない,という例だと少しだけ理解できた.」
    • その通りです.
  • 「もっと勉強してできるようになりたい」「よくわからなかったので復習してから質問したい」「簡単そうで意外と難しい」
    • ぜひ.
  • 「お疲れ様です」
    • ありがとうございます.

国際経済学I,第6回, 2015

いよいよ梅雨入りですね.湿気との戦いが始まっています.

講義内容
  • 均衡の比較静学
    • 需給バランスが動くと価格も動く,というのがメッセージ.
    • 需要曲線が動くか,供給曲線が動くと,需要量と供給量が一致する場所(均衡)が変化する.均衡の変化に注目すれば,価格や取引数量の変化が一目瞭然となる.
      • どういう解釈ができるのかを自分なりに考えてみよう.
連絡
  • 中間テスト用の練習問題をアップしました.
    • 試験範囲は次回やった内容までとします.

コメントより
  • 「増税で供給が下がるのがちょっとわからなかった」
    • 税金が払えずつぶれてしまうような企業が出てくる,とイメージしてみてはいかがでしょうか.詳細は先週解説済みです.
  • 「需要・供給だけでなくそれを取り巻く環境も価格の要因となっているとまでわかった」 
    • 価格はあくまでも需要と供給で決まりますが,需要や供給は様々な環境を反映しています.
  • 「価格と取引量が同じ方向に動かないグラフもあるので気をつけたい」
    • 様々な可能性があることを理解してください.また,なんでもありえるからこそ,なにかを観察したときにその背後で何が起こっているのかを突き止めるのは難問になりそうだということにも思いをはせていただければ.
  • 「グラフを利用することで世の中の経済が見えてくるんだなと改めて思った」 「使いこなすことができれば,世の中の動きを理解できそう」「ただの2つの直線でこんなことまでわかるのはすごいと思う」
    • 売り手と買い手が登場するような場面ではいつも,需要と供給の考え方を当てはめられないかどうか考えるとよいと思います.驚くほど多くの場面で当てはめられます.
  • 「久しぶりにやったので難しく感じた」「理解するのはやっぱ難しい」「なんとなく理解できた」
    • 数学的には,均衡は連立方程式の解になっています.連立方程式を理解しておくと,経済学も理解しやすくなるでしょう.
  • 「グラフを書くとき,自分が思っていたのと逆だったところがあった」
    • 正しいほうのグラフがなぜ正しいのかを理解していただければ幸いです.
  • 「説明はわかるがグラフだけ見ても難しい.もっとグラフに集中したい」
    • 次回以降はグラフがさらに複雑化します.グラフの読解に不安があれば早めに解消しましょう.
  • 「グラフを使った方が理解しやすくて良い」
    • そうですね,言葉だけで理解しようとするとかえってこんがらがると思います.
  • 「グラフをたくさん書いていく内に,書き方も内容も理解できるようになって少し自信がついてきた」
    • よかったです.繰り返し手を動かすことはとても大切.
  • 「講義前半で前回の復習をやっていたのでよかった」 
    • しかし昨年より若干進度が遅いのが気になっています.
  • 「テストも近いのでがんばります」「テストかなり難しいんじゃないかと不安になった」
    • 例年テストは難しいと評判です.
  • 「遅刻者が多すぎてアレなので,テスト難しいことを期待します」
    • 標準化された内容をカバーする講義ですので,出席だけは適当にクリアしつつ,市販の教科書で自習するような学び方を排除しません.ただし,出席点自体は低く,ある程度の努力が必要なテスト問題を用意しますので,手を抜いた分のツケは自分で払うことになるでしょう.
  • 「アップロードする方法を教えて」
    • ユーチューバーにでもなるんですか?
    • 講義資料なら私のサイトでダウンロードできます.閲覧時には講義中にアナウンスしたパスワードを用いてください.

Thursday, May 21, 2015

経済政策I, 第5回, 2015

本を出すと何かと大変だ.出版を生業にしている方々を改めて尊敬する.

Adobe AcrobatがPro DCにアップデートされてから困った事態が発生している.PDFにセキュリティをかけるときに「互換性のある形式」が「Acrobat 6.0およびそれ以降」しか選べなくなってしまった.しかし私がLaTeXで作るPDFは「Acrobat 5.0およびそれ以降」でないとセキュリティをかけたとたんにPDFファイルが破損する(理由は不明)ことが多いのだ(たまに破損しないことがあるがやはり原因不明.同じtexファイルをコンパイルしても破損するときとしないときがあるし,Hello, World!だけでも破損するので,コーディングのせいではないと思う.W32TeXの旧マシンでも,TeX Live 2013の現行マシンでも生じるので,ディストロの問題でもない.).
そういうわけで,古いAcrobatが入ったマシンでないとセキュリティ付きPDFを作成できないでいる.講義資料を作成する上でとても不便である.解決策がまるで見つからないし対策する時間がない…



講義内容
  • 財政再建の先送り
    • 今回見た例では,囚人のジレンマと構造はまったく同じ.
    • 人間,苦しいことは後回しにしてしまいがちである.戦略的環境の下では,こうした事態が合理的に引き起こされてしまう可能性がある.
  • 支配戦略と被支配戦略
    • これは選ぶしかないだろう,という戦略と,これだけは選んではいけない,という戦略.
  • 繰り返し消去
    • 被支配戦略は,合理的なプレイヤーなら最終的にそれを選ぶわけがない(もっとよい戦略がある).こうした選択肢を排除していくことで,合理的なプレイヤー同士で行われるゲームの帰結を導くことができることがある.

コメントより
  • 「最後なぜ戦略「上」を考えないのか?」
    • 相手が必ず「左」 → 「上」と「中」 を比べると,「中」のほうがよいから,です.説明が少し足りませんでした.
  • 「両プレイヤーは支配戦略または被支配戦略を持っているのか?」
    • いつも持っているとは限りません.こうしたケースを分析する手法は次の章で学びます.
  • 「多くの分野で使える考え方」 
    • ぜひ使ってください.
  • 「少し混乱した」「難しかった」「むずかしい~」「難しかったけど少し理解できた」「後半途中からわからなくなった!!」「選択肢が増えると表の読解も難しくなる」「囚人のジレンマよりは難しかったが,内容自体はそんなに難しくはなかった」「ゆっくり考えてみると楽しくできた」「落ち着いて考えるとわかることがたくさんある」「内容は難しかったが説明はわかりやすかった」「練習が必要」「よくわかった」 
    • 私も講義中にヤバそうだと思いました.定義と照らし合わせながらじっくり考えてみてください.
    • 表を読み解くのは一苦労ですが,我々は日常的にも似たような考え方をしているかもしれませんよ.あり得ないシナリオははじめから考慮しない,というのが基本線です.
  • 「数学推理好きなので面白かった」
    • 経済学に向いているタイプかもしれませんね.ゲーム理論は理詰めで考えることが特に要求される分野である気がします.
  • 「ゼミでやったことを復習している感じ」
    • 市販の参考図書などで次々と新しいトピックも自習してください.
    • あまり講義のネタがないのはご容赦ください.
  • 「どれから消していけばいいのか一人で見つけるのは難しい」
    • たしかに.戦略の中から2つ選んできて比較していきますので,今回のケースでは計4パターン比較する必要があります.4パターンぐらいなら,有限の計算時間で終わらせることができるでしょう.場合分けをいとわない忍耐力は大切です.
  • 「テストの問題形式はどうなるの?」
    • 未定です.履修者数が多いので長文の論述などは課しません.

Friday, May 15, 2015

国際経済学I,第5回, 2015

講義内容
  • 入門ミクロ: 供給
    • 需要と比較対照しながら理解しよう.
  • 均衡
    • 需要量 = 供給量,となるところ.このときの価格が均衡価格.
    • 均衡はあくまでも想像上の産物で,現実には観察できない.しかし,誤差を伴いつつも,現実経済は均衡の周りにいる,と考えてみよう.



コメントより
  • 「均衡価格 = 相場,と認識してよいか?」
    • 相場という言葉には曖昧なところがありますが,大まかなイメージとしてはそれでかまいません.モデル上はすべての消費者・生産者がまったく同じ価格に直面します.
  • 「価格が安いときに生産量が少ないのはなんとなく理解できる.しかし生産量が少ないと平均費用が高くなるために大量に作った方が利益が出るのでは.」
    • とても鋭い質問ですね.生産量が少ないときに規模の経済が働くようなとき(俗に言うS字型生産関数)にはそのような思惑が生じるかもしれません.
      • ブログで一から解説するには少し難物になりますので,中級レベルのミクロの教科書,たとえばヴァリアン(2007)『入門ミクロ経済学』勁草書房,などに挑戦してください.
    • 手短に概略を述べます.ご指摘のように,規模の経済が働く限り,企業は生産量を増やし利益を増やしにかかるでしょう.でも規模の経済によるうまみがいつまでも続くわけでなく,どこかで生産量が増えるにつれ平均費用が上昇するようになる転機が訪れます.講義で扱うような右上がりの供給曲線は,この転機を迎えた後の部分だけを見ていることになります.
      • 十分な需要がある限り,この転機を迎える前に企業が生産をやめてしまうことはありません.もっと生産すればもっとコスト削減できて儲かるのは明らかなので,生産をやめて儲ける機会を逃すようなことは考えにくいのです.なので,そもそも規模の経済が働いた状態のまま生産することはありません(要は,二階条件を満たしません).
      • 需要がそれほど多くない場合はそういうわけにもいきません.いつまでも転機が来ず,とにかく規模の経済が強烈に働いているような企業もいるかもしれません.しかしこうした企業をプライス・テイカーと仮定するのは適切でなくなってしまいます.こうした企業を分析するには,講義で学ぶものとは別の道具が必要になります.
  • 「市場での価格は需要と供給の均衡で決まり,その相場を見て需給が決まっていくプロセスだと理解した」
    • そうですね.
  • 「現実はもっと複雑な要因があり,もっと細かいグラフになる気がする」
    • 場合によっては簡単に図示できない事態になるかもしれませんね.
  • 「価格次第で経営は大きく変わるんだなと,価格の重要性がわかった」
    • 価格は単に企業の経営を左右するという以上に,経済学上きわめて重要な役割を果たします.
  • 「均衡という状態は,理想的な状態?」
    • 特殊な状況(完全競争)の下では,理想的(効率的)な状態になります.なお,この講義では,均衡が理想的になる状況のみを分析します.均衡の善し悪しについて詳細は,ミクロ経済学で学ぶことができます.
  • 「増税で供給が減るのは大変.気になる.」
    • 経済学では,供給(や需要)が減ること自体よりも,それによってムダが生まれることをとても気にします.増税とは逆に減税したり補助金を出したりすることで供給を増やせばよいのかというと,そう簡単でもない予感がしませんか?
  • 「『沖縄の業界地図』の価格はどういう理由で決めたのか?」
    • 赤字を出すリスクを小さくしつつ,なるべく儲けが出るように決めました.特に需要量と出版社・印刷会社との分配の仕方について様々なシナリオを検討するべく,プログラムを組んでシミュレーションを走らせながら決めました.需要予測をするときには,他の沖縄本やビジネス雑誌の価格帯,想定される顧客の所得水準や書籍への支出性向なども参考にしました.また,シミュレーションでは算定しませんでしたが,我々の商品が経済学でいうところの公共財・耐久財としての性質も持つことにも配慮しました.私はビジネスの経験が皆無で,だいたいこの程度のことしか考慮できませんでした.
      • このクオリティだと5000円ぐらいしてもいいんじゃない?というような声も聞こえます.950円はお買い得ですよ!!!!
  • 「『沖縄の業界地図』が思っていたよりもとても本格的で気になる」
    • 今すぐ買うべし.
  • 「需要と供給の流れを覚え,人が求めている商売をすれば上がると思う.でも必ず下がってくると思うので,安定した商売が大切だと思った.」
    • 需要が大きくかつ安定している商売をしたいですね.
  • 「何回もやることで頭に入るので無駄ではない!むしろためになった」「書き方がわかってよかった」 「少し習ったことあるけど忘れてた」「供給という言葉は聞いたことがあり懐かしいと思った」「最初はグラフは難しくてややこしかったけど,意外にわかりやすくて簡単なのかと思った」「供給は需要に似ているから理解しやすかった」
    • 忘れずにマスターしてください.紙とペンがなくても頭の中でイメージできるようにしたいものです.
  • 「グラフは書けたけど内容はあんまり意味わからなかった」「書けるように復習したい」「正直言って難しい.テストまでにはマスターしたい」
    • この講義に関しては数学的な議論は不可避です.がんばって追いついてください.
  • 「為替の話はよくわからなかった」
    • 詳しくは後期の講義でやります. 為替の話がわからなくても現時点では問題ありません(わかるに越したことはないです).
  • 「均衡について深く学べてよかった」「均衡の説明がわかりやすく興味深い」「均衡は高校でもやった」
    • 均衡という概念を(批判的に)受け入れると,経済学の理解が進むでしょう.

ちょっと進捗が遅い気がする.研究モードから授業モードに気持ちを切り替えるのが難しい…

Thursday, May 14, 2015

経済政策I, 第4回, 2015

講義内容
  • 囚人のジレンマ
    • この単純な例から得られる洞察は計り知れない.
    • 利己的にふるまうことが,社会にとって望ましい結果をもたらすとは限らない.こういう状況では熟慮された何らかの経済政策で誰かをもっと幸せにする余地があるはずだ.
    • 信頼したくても相手が裏切るかもしれないし,相手も自分が裏切るかもしれないと思っているかもしれないし,自分が裏切るかもしれないと思っていることを相手に読まれていることを踏まえて考えていることまで読まれるかもしれないし,さらにそう思っているかもしれないことを相手も読んでいるということも読んでいるということまで読まれているかもしれないし…と推論の果てまで思考をこらし始めるとグルグルとわけがわからないことになるかもしれない.ゲーム理論はこうした状況をも扱うことができるように構築され,また改良され続けている.
  • 利得表の読み方
    • ゲームはプレイヤー・戦略・利得からなる.この3つに着目して整理しよう.

コメントより
  • 「自分が囚人だったらと考えると複雑な気分だった.別の角度から物事を考えるにはとてもいい方法だと感じた」
    • プラトンよろしく,我々は洞窟の奥に囚われていて,真理の片鱗をぼんやりと認識しているだけなのかもしれません.知的に閉ざされた状態から脱したいものですね.
  • 「相手も同じことを考えている場合もあるので,自分の思い通りにならない.相手の裏をつくような戦略,または互いの利得が合致できるような戦略が必要になっていくのかなと思った」
    • 裏をつくより,抜け駆けして裏をつくようなインセンティブがないですよ,という状況をお互いに作り出すとよいかもしれません.
  • 「身近なことにもこの理論は当てはめることができると思った」「いろんな例を見ていきながらマスターしていきたい」
    • 例は連休前にいくつか挙げたとおりですが,今後の講義でもたくさん出てきます.
  • 「自分なら自白すると思う.先生だったらどちらを選ぶ?」
    • 普通の人よりは利己的に行動していますのでおそらく自白します.でも相手が絶世の美女なら答えは変わるでしょう.
      • 社会的利益に反するにも関わらず利己的に行動する人を見ると,とてもガッカリします.自分のことは棚に上げてそう思っているのでやはり私は自分勝手なのだと思います.
    • 実験経済学という分野で,人間が実際のところ何を考えどういう状況で何を選ぶのか,を検証する試みが行われています.
  • 「高校の頃友人3人と講座をサボったとき,他の2人に自白されみんな怒られた.自己中や利益追求は悪いだけではないです.」
    • リアル囚人のジレンマは珍しい経験ですね.
  • 「わかったし表も読めるようになった」「単純だけど考えないと難しかった」
    • 表の読解はコツをつかめば単純です.でもそのメッセージを深く考えるのは単純ではないですし大切ですね.
  • 「知ってはいたが,二人とも否認すればよいと思っていた.両方のプレイヤーに裏切るインセンティブがあり,相手を信用できるに,二人とも自白してしまうということでとてもおもしろいなと思った」 「話し合うか事前に決めておけばよい感じになると思った.それでも自分のためだけを考えると難しい問題になると思う.相手を信頼し思いやる気持ちがあればうまくいくのであれば,そのための政策を考えていくのが大切だと思った」
    • 我々が日常的にイメージする「信頼関係」が具体的にどういう意味を持っているのか,改めて考え直すヒントをゲーム理論は提供しているのかもしれません.
  • 「結局人は自分が得するように選択をするんだなぁー」「相手のことを思っていれば自白しないのでは」
    • 人間はある程度は利他的に行動します.でも,自分を犠牲にしてでも人のために何かをするというのは難しいですし,他人に犠牲を強いることはなおさら難しいと思います.
    • 利己性はとても古くから大きな哲学的課題として人類の前に立ちはだかっています.たとえば児玉聡(2012)『功利主義入門: はじめての倫理学』筑摩書房,は読みやすく経済学ともリンクしており面白かったです.
  • 「信頼関係がない限り難しいので,ほとんどの場合で囚人のジレンマは成り立ちそうだと感じた」
    • 罠にはまったまま抜け出す術を見いだせないような状況は多くあるでしょうね.
  • 「懐かしい」「久しぶりに思い出すことができた」「2年のときに習ったけどカンペキに忘れていた」「1年生の頃に習っていた」「何かの本で学んだことがある」「よくわかった」「おもしろいのでもっと知りたい」
    • 私が初めて学んだのは高校生の頃でしたが当時はよく理解できませんでした.
  • 「ライアーゲームと似ている」 
    • 途中で読むのをやめちゃったので….
  • 「パターンが多くおもしろかった」
    • 場合分けはとても大切な知的作業です.苦にせず挑んでほしいです.
  • 「業界地図の本は役立ちそう」
    • お役に立てれば光栄です.様々な仕掛けが施されているので,読み手の読解能力も問われるかもしれません.
  • 「元ネタは芸人ですか?」
    • 特定のモデルはいません.

国際経済学I,第4回, 2015

講義内容
  • 入門ミクロ: 需要
    • ここでの家計は,価格を見てどれだけ消費するか決める存在.こうした家計の行動をグラフに表現したものが需要曲線である.
    • 人間は価格だけに反応しているわけではないが,それでも,価格に反応する部分だけを抽出して絵に描いたものが需要曲線である.もちろん,グラフに価格以外の情報が直接出てこないからといって,消費者が価格だけを気にしていることは含意しない.
    • 価格を自分では動かせず,価格を受け入れるより他ない人をプライス・テイカーと呼ぶ.我々が今後分析していく登場人物はみなプライス・テイカーであると仮定する.つまり,現実にはプライス・テイカーではない例が散見されるが,そういう人のことは便宜上いったん無視し,いなかったことにする.
コメントより
  • 「ミクロで習った」「高校で習った」「復習になった」「今までよりしっかり理解できた」「細かく理解できた」「おもしろくて意味がわかりやすかった」「需要法則がわかった」
    • 経済学は取っつきにくい学問ですので,入門的な内容でも繰り返し学ぶとよいように思います.重複があってすっかり退屈だという方はしばらく辛抱してください.
    • 今後,特にレジュメ2ではグラフをたくさん使うので,今のうちに不安なところは解消しておきましょう.
  • 「左方上がりなのか右方下がりなのかわからない部分があった」
    • どちらも正しいです.グラフの傾きがマイナスであることこそがここでは重要なので,日本語の上下左右が逆転することそのものをさほど気にする必要はありません.
    • 私がグラフを見るときにはほぼ無意識に,原点から右,あるいは原点から上へと視点が動きます.ですので,右下がりと表現した方が自分の認知パターンにそぐうことになります.
  • 「シフトのグラフの書き方がいまいち掴めない」「シフトが難しかったので復習したい」
    • 何かが起こる前の状態と,何かが起こった後の状態とを楽に比較できるような作図をすることがここでの目的です.
    • シフト云々以前に,グラフが表すものの意味を自分の言葉で説明できるようになるといいと思います.
    • 供給を学ぶときもシフトの例を挙げます.今の段階ですぐにはピンとこなくても,何度も手を動かしながらゆっくりマスターしてください.私の講義だけで不十分な場合は,ミクロの入門教科書にトライしてみてください.
  • 「現実はもっと複雑らしいが、複雑なグラフも気になる」
    • たとえば次のグラフは昔私が研究で用いたものですが(最終的には没にしましたが),連続でも単調でもない状況を記述しています.場合によってはもっと複雑なケースを考えることもあります.
    • グラフは複雑であればよいというわけではありません.複雑な世の中の,より本質的な部分のみをシンプルにまとめ上げたグラフこそが好まれます

経済政策I, 第3回, 2015

更新が遅くなってしまいました.

講義内容
  • 囚人のジレンマの例3つ
    • 世の中には様々な問題があるけれど,これらには共通する構造的な問題点があるかもしれない.構造を理解して,様々な文脈に応用できるようになりたい.この講義では,ゲーム理論の知見を経済政策へどう応用できるか,を重点的に取り上げる予定.
      • 登場人物のインセンティブを丹念に解きほぐし,それらの相互作用を掴むことはとても大切.
    • 囚人のジレンマは,個人の自由に任せるだけではうまくいかない最たる例である.前回までの話を思い出せば,そういう場合にこそ政府の出番があることがわかるはず.

コメントより
  • 「経済学を勉強すると性格が悪くなるということが印象的」 
    • 倫理学もひどいそうです.ある研究いわく,倫理学の本は図書館でなくなりやすいとか(Schwitzgebel 2009).倫理学徒は非倫理的と.
  • 「ゲームはイメージと全然違った」 「日常生活でもありそう」「納得いくおもしろい話」「おもしろかった」
    • どうせやるならおもしろく勉強していきましょう.
  • 「企業の戦略がすごい」「企業にメリットがありそう」
    • 死活問題ですから.
  • 「忍耐力は大事だと感じた」
    • いわゆるブラック企業に就職してしまった場合,あえて耐える必要はないと思います.忍耐自体はたしかに大事ですが,耐え抜くに相応しい見返りが望めないこともあります.そういう場合は耐えずに別の道を模索したほうがよいでしょうし,都合よく利用されないように忍耐以外のスキルも高める努力をしたほうがよいと思います.
  • 「協力しなければいけないときがあるから,客観的にものを見る力を身につけたい」 「話し合いが大事そう」
    • まさに.でも単に話し合うだけで解決できる問題ばかりではないかもしれませんね.
  • 「ライカムも産業誘致政策の一つ?」
    • 個別の事情についてはよく知りません.私の知る限り,基地の跡地利用は政府が主導権を握って構想・計画することが多いようです.でも周辺の他の自治体とイオンモール巡る駆け引きがあったのかはわかりません.
      • 大型ショッピングセンターの出店を嫌う自治体もあります.
  • 「もっとスピードあってもよかった」「ちょっと難しかった」
    • 話がグダグダになってしまった感があり反省しています.ただその代わり,キリが良いところで終えることができたということでご容赦ください.
  • 「ゼミでやったので復習みたいな感じ」
    • ゼミでやったことと重複するところがかなりあります.退屈だったら別の勉強をしていてください.
  • 「同棲はいろいろ大変なんだな」
    • 相手を見つけること自体が…

Reference
  • Eric Schwitzgebel (2009) Do ethicists steal more books? Philosophical Psychology Volume 22, Issue 6, 711--725.

国際経済学I,第3回, 2015

ここ最近はブログにうつつを抜かしているどころではありませんでした.たとえば
  • 2015年のRyukyu Economics Workshopを盛況の内に終えることができました.ご参加くださったみなさままことにありがとうございました.
  • 『沖縄の業界地図』琉球新報に取り上げられました.ありがとうございました.想像以上に売れているようです.
  • メインのPCを交換しました.サクサク動くようになった代わりに,エクスプローラーがクラッシュしまくるようになりました.Windowsもうやだ.
  • 台風で非常勤先の講義が休講になりました.台風で自分の講義が休講になるのは初めての経験かも.
  • 歳をとりました.Avinash Dixitが「いつも23歳のつもりで取り組んできた」とおっしゃていたので私も永遠の23歳を標榜し続けますが.
連休のような,研究に集中できる時間がますます貴重になってきたと感じます.


講義内容
  • 関数,一次方程式
    • 経済学でよく使われる前提知識を確認した.本講義では傾きや計算問題は特に出てこない予定だが,知っておくと本講義よりも一歩進んだ世界にアクセスしやすくなる.
  • 市場の概要
    • 売り買いという,市場で行われる基本的な取引行動とその帰結を分析する技を速習する.

コメントより
  • 「傾きって何?」
    • 角度のことだと思っても構いません.傾きは,直線と横軸との角度を表しています.
    • 直角三角形をご覧下さい.結論を先取りすると,三角形左上にある右上がりの辺の傾きは,$a$と書かれている部分になります.数学的には,$a = Y \div X$という関係を満たす$a$のことです.
      • この三角形は右下で直角になっています.まずは右下の直角部分を挟んでいる2つの辺に注目しましょう.横の長さが$X$,縦の長さが$Y$となっています.
      • 次に,直角ではない,残された右上がりの辺に注目します.この辺(斜辺と呼びます)と,下のほうにある長さ$X$の辺の間の角度は直角ではなく,$a$と書かれています.
      • この$a$が,(右上がりになっている辺のX軸方向に対する)傾きと呼ばれます.傾きは$X$と$Y$の比率を表します.具体的には,$a = Y \div X$,となります.
      • 2本の直線が交わっているとき,直線の向きがどれだけお揃いなのかを測るものが角度です.たとえば下のように,黒線と青線が交わっているとき,この2直線がなす角度を$a$や$b$で表します.ここでは$a$のほうが$b$よりも小さくなっており,見た目的には鋭く尖った感じがします.左側のほうが右側に比べ,黒線と青線が似たような方向を向いています.左側のほうは右側と比べて「傾きが小さい」といいます.
      • ついでに,平行な二つの直線があって,それらを通る直線を引いたときにできる角度はまったく同じものになります.
  • 「傾きと切片以外にヒントはないの?」
    • 傾きと切片がわかれば他のヒントは必要ありません.傾きと切片の情報だけで十分なのです.
      • 傾きがわからなくても,直線がどこを通るのかについての情報が2つあれば,直線を書くことができます.直線が通る場所2カ所の座標がわかれば,傾きも自動的に計算できるからです.
  • 「グラフ自体に数字はないの?」
    • 座標軸を書かなくてよいのか? という趣旨の質問でしょうか.定規を使って目盛りを一つ一つ書いていってももちろん構いません.しかし誤解がない場合は省略されることがあります.講義中黒板に逐一目盛りを書き込む時間はありません.
    • $a$や$b$のように定数を記号で表すことにあまり馴染みがない場合,$a=1$や$b=2$などと,適当な数字を当てはめて考えてもよいでしょう.
  • 「一次方程式はあんまりやりたくないと思ったけど,やり方が分かったのでよかった」
    • 時間と練習は必要ですが,理解できるといいですね.
  • 「コツを掴めば簡単」「いい復習になった」
    • それはよかったです.
  • 「中学校では「なぜ,数学をやるのか」と思っていた.でも経済学に役立つと考えると面白いかも」
    • 数学は経済学以外でも役立つ重要な学問だと思います.
    • 料理や洗濯をするときでさえ一次方程式的な思考は自然と使っているような気はします.道具は使いようです.
  • 「一次関数でだいたいの価格が分かるってすごいね」
    • おうよ.

Saturday, May 2, 2015

『沖縄の業界地図』 forthcoming!

前年度のゼミで作ったチャーミングな書籍が上梓されます.発売日は5月4日です.
cover

リンク
旋風起こすぜ.


以下,本書のアピールポイントを率直にまとめ,敷衍します.

新規性について
  • タイトル通り,書店の就活やビジネスのコーナーを毎年賑わす「業界地図」のローカル版です.全国版は東洋経済新報社,日本経済新聞社,成美堂出版などが出すものがいくつかありますが,特定地域に特化したものだと関西版(日本経済新聞社)があるのみのようです.ローカル版といっても全国版を縮小劣化させたものではなく,むしろアカデミア特有の目配りと遊び心に溢れた,読み応えのある書籍になっています.
  • 沖縄の企業を紹介した書籍はいくつかありますが,多くの産業を網羅し一望できるようなものはほとんどありません.貴重な例外として,琉球新報社編集局政経部『沖縄の企業と人脈』1999年,があります.新聞社が作るだけあって貴重で魅力的なインタビューが豊富ですが,県内有力企業とそのグループに取材対象が偏っており,また内容的にはoutdatedになりつつあります.東洋経済の『会社四季報 未上場会社版』はより最新の情報にアクセスできますが,沖縄県の企業は数えるほどしか収録されていませんし,業界の全貌や企業間の関係は見えてきません.
  • その昔沖縄国際大学の新城俊雄ゼミでは,企業にインタビューに行き,その経営戦略を分析した卒論集のようなものをインフォーマルながら刊行していたようです.テーマは似通っていますが,沖国本では学術研究としての色合いが強いのに対し,我々は一般のビジネスパーソンや学生が手軽に手に取れるカジュアルな雑誌を志向しています.実際に県内の書店やコンビニ(ファミマとローソン)でも手に取れます.また,沖国本では特定企業管理職の経営哲学やマーケティング戦略というミクロな事例に中心的な関心がありますが,我々の新刊には企業間の戦略的な相互依存関係や産業全体を見渡すマクロな分析など,幅広い視点からの議論がふんだんに盛り込まれている点で違いがあります.統計データを多く盛り込み,定量的に業界の全体像をイメージするための手がかりが多数仕込まれている点も白眉でしょう.我々は大学時代の思い出作りをしているのではなく,リスクを背負ってmarketableな商品を生み出し実際に販売するという真剣勝負をしています.
  • そのほか沖縄企業のmanagement practicesを紹介した事例研究モノや,企業人のインタビューや列伝,社史,などはいくつかありますし参考にしました.しかしながら私が調べた範囲では,800を超える企業を収録したものはかつてありませんでした

重要性について
  • 沖縄を本拠地とする企業のほとんどは中小企業です.内地企業の支店を除けば,上場企業は数えるほどしかいません.そのため,ローカル企業についての情報にアクセスするのは容易ではありません.新聞記事や噂話で断片的に耳目に触れる程度です.
  • それでいて,人的ネットワークを重んじる風土もあってか,沖縄でビジネスをする上で企業間の関係についての情報を蓄えておくことは決定的に重要だとされています.県内でも有力企業の「系列」があり,市場での取引関係と密接に結びついています.当事者でなければ知り得ない情報に大きく依存した,不透明な市場環境という側面があります.
  • 地元で就職活動を行う学生は,信頼できかつ幅広い情報源を欠いている状況です.人生を決定的に左右する場であるにも関わらず,CMを流しているごく少数のBtoC企業しか知らず,極めて少ない選択肢にしか気づかない状態で就職活動をしなければならない学生は少なくありません.情報を生産することで,学生が地元でよりよい生活を営む可能性をどんなに広げられるでしょう.同時に,企業にとっても自社の精神やその結実を若い人材に広く認知させることからどんなに便益を享受することができるでしょう.
  • つまり,情報の価値は計り知れないほど大きいにも関わらず,埋もれてしまっている状況でした.埋もれた情報を掘り起こして可視化し,気軽に手に取れるようにしたことが本書最大の売りです.地元の企業だけでなく就職を意識した学生や潜在的な沖縄市場への参入者,そして最終消費者としての沖縄県民にとって,よりよい沖縄ライフを満喫できる手がかりを提供します.

エクスキューズ
  • ゼミ活動の一環としてのプロジェクトであるため,内容に甘いところもいくつか残されています.私の力不足のためとしてあらかじめ陳謝せねばならないところがあります.
    • 速報性: おおよそ2014年度,特に14年12月頃までの情報に基づいています.発売にいたるまでの間にも情報が次々とアップデートされてしまいました.どうしても,新聞などと比べれば速報性は劣ります.
    • 正確性: 基本的に新聞や公式ウェブサイトなどで確認できる,信頼性の高い情報のみに基づいています.言うまでもなく,あくまでもacademic integrityを遵守することが最優先事項です.しかしながら,我々は財務データなど一次情報にアクセスできる立場でもなく,本書には不正確な情報が紛れ込んでいるかもしれません.そもそも中小企業についての情報の信憑性は大企業に比べればどうしても劣りますし,情報量も極めて限定されてしまいます.
    • 網羅性: なるべく多くの業界をカバーすることを目指しましたが,時間や人的リソースの限界から,有力企業であるにも関わらず十分に調べられなかった企業は数多く残されています.また,取材に協力していただきながら,出版に耐えうる記事にしきれなかった企業もあります.
      • 私は生まれも育ちも沖縄ですが,象牙の塔一丁目一番地在住であり,地元ビジネスのことはまるで知りません.監督する側の基礎知識・人脈の不足は否めません.
  • これらは次年度以降の課題としたいと思います.ゼミ生のインタビューにご協力いただける企業は随時募集しています
  • 本書は私の本務校から資金的援助を頂戴しています.しかし言うまでもなく,本書は大学を代表するものではなく,あくまでも私たちが責任を持って世に問うものです.

教育の一環として
  • イノベーションの重要性はすでに人口に膾炙して久しいわけで,自らもイノベーションを起こさなければ示しが付きません.革新的アイディアを形にするという,我々の生きる経済にとって根源的に大切な活動を実際に経験するチャンスを提供した一年間だったと自負しています.
    • 今回はvariety expansionをしたので,今年度のゼミはquality ladderでいきたいと思います.
    • 研究面でのイノベーションをしてから物を言え,という意見はしかと受け止めます…言われなくてもやっとるわと言いたいところですがなかなか論文にまとめられずにいてつらい状況であります.もうしばらく見守ってください.
  • 私の本務校が,貴重な4年間を犠牲にしてまで卒業する価値のある大学であると胸を張って言えるようにしたいという思いもあります.

この冬~春にかけてこの本の編集作業ばかりに時間を取られていました.研究できないストレスの余り,体重がとんでもなく減ってしまいました.健康診断で「やせすぎ要観察」と言われる私がダイエットしても….
しかし命を削った分だけ面白い本ができたと確信していますのでぜひご購入を検討してください.(今後は改めて自分の研究にいそしみます.)