Thursday, August 14, 2014

消費増税を調整した物価

古いラップトップのHDDをSSDに交換するのに果てしなく手間取っている.少し時間を持て余しているのでblogの更新を.


消費者物価指数は税込み表示である.今年4月に5%から8%に消費税率が上がったこともあり,下図の通り消費者物価指数も少なからずジャンプしている.増税によるジャンプの効果を取り除いたら物価の動きがどうなるかは気になるところだ.そこで今回のエントリでは,8%に上がった消費税を5%に下げてみて指数を計算し直した.
2014年4月で2%程度インフレ率上昇.那覇市(左)と沖縄県の消費者物価指数前年同期比.黒が総合,赤がコア,青がコアコア.出典: 沖縄県「消費者物価指数」


品目$i$のウェイトを$w_i$, 品目$i$の税込み価格を$p_i$とおくと(基準時点の価格は1とすると),消費者物価指数は以下のような式で計算される:
\begin{equation}\frac{1}{\sum_i w_i} \sum_i w_i p_i. \end{equation}
この式を元に消費税を8%から5%に下げてみる.

消費税はすべての財に一律にかかるため,財間の相対価格を歪めないという性質を持っている.ただし実際には非課税・不課税・免税となる取引もある.特に,消費者物価指数の中で無視できないウェイトを占める家賃は非課税となっており注意が必要だ.

実際に計算した式は以下の通り.
 \begin{equation}\frac{1}{\sum_{i \in \mbox{全品目} } w_i} \left[ \frac{105}{108} \sum_{i \in \mbox{課税品目} } w_i p_i + \sum_{i \in \mbox{非課税品目} } w_i p_i\right] . \end{equation}
ただし,単純化のため,非課税品目は「家賃」と「保険医療サービス」の2つと仮定した.もちろんこれですべての非課税品目を正しく処理したことにはならないし,そもそもこの式は経済学的な意味で「増税の影響を取り除いた」とは言えない.所詮は論文ではなくblogなのでご容赦願いたい.

得られた原数値の推移は次の通りになる.
消費増税の影響を取り除いた消費者物価指数.那覇市.
消費増税の影響を取り除いた消費者物価指数.沖縄県.
インフレ率に換算すると以下の通り.
消費増税の影響を取り除いた消費者物価指数前年同期比.那覇市.
消費増税の影響を取り除いた消費者物価指数前年同期比.沖縄県.
  • コアコア指数だと,4月にマイナス圏に逆戻りしていたことがわかる.
  • 5, 6月は上昇傾向にあるものの,那覇市の総合指数を除いて,1%台には届いていない.
    • 今年に入ってから為替減価も一服感あるし,まぁこんなところだろう.

 足下のインフレはともかく,将来のインフレや財政収支はどうなることやら.