Friday, May 31, 2013

国際経済学I, 第7回

講義内容:
  • 小国開放で貿易利益の解説
    • 基本的には×印のグラフを眺めているだけ.難しすぎて無理,と諦めずにじっくり取り組もう.
  • ロビー活動
    • 理想や正義ばかりが政治を動かしているわけではない.
中間試験:
出席カードのコメントから:
  • 「TPPで日本の農業に勝ち目はない」
    • 一般論として,経済問題を勝ち負けの二項対立で捉えないほうがよい.勝ったからといって幸せになれるとは限らない.
    • 農家にも様々ある.たとえば近年沖縄では紅茶を育て,世界に売り出す試みがなされている.(株)沖縄ティーファクトリーの琉球紅茶は世界で戦えるクオリティを誇る,と感じる(らしい).創意工夫を凝らしリスクを取ったとしても勝機をまったく見いだすことができない,というほど「勝ち目がない」状況であるとは思わない.
      • 私の実感で言うと,国産の農産品は価格は高いがその分クオリティも他国の追従を許さないほど高い.low-end consumers向けの製品と棲み分けをすることでかえって利潤を高めることもできるかもしれない(e.g., Ishibashi and Matsushima 2009).
    • モデルでは明示的に扱われていないが,輸送費用も現実には無視できない.当たり前のことだが,日本の農家は日本という一大消費地に距離的に世界一近い,というアドバンテージを持っている.鮮度が求められるプロダクトに生産をシフトするなど,戦い方はいろいろあるはずだ.
      • 輸送費用の重要性について日本の農業のデータで丹念に調べた研究にKano et al. (forthcoming) がある.
      • 私の実感ベースでは,沖縄は県産の野菜が強い.県外から運んでくるコストが,県内で生産するコストと比べて十分高いのではないか.
    • TPPの議論は政治的な色彩が強すぎる.賛成にせよ反対にせよ,一方的な考え方ばかり追って踊らされるだけにならないようにしたい.偉い人が言っているからと鵜呑みにしてはいけない.
    • 「勝てないから反対である」という段階で考えることをやめるのではなく,「勝ち負けとはもっと具体的に言うとどういうことか」,「なぜ勝つ必要があるのか」,「他の産業が勝つチャンスを潰していないか」,「貿易相手国の生活は無視していいのか」,「どうすれば勝てるようになるのか」などと考えをいっそう深めていってほしい.
  • 「オリンピックの競技選びの場でもロビー活動が活発らしい.きれいな言葉ではないね.」
    • スポーツが金にまみれている,肝心の選手は儲からない,というのは悲しいが現実である.スポーツをドラマティックに仕立てビジネスをする側の世界では,フェアプレイを遵守させるようなルールが不十分なのである.
    • スポーツ選手の中でも,ごく一握りのスーパースターだけはとてつもなく儲かる可能性がある.Rosen (1981)以来,スーパースターの経済学という研究も数多くなされている.
  • 「ダイコクドラッグにいいのどスプレーがあるよ」
    • 助かります.

References:
  • Ikuo Ishibashi and Noriaki Matsushima (2009) The Existence of Low-End Firms May Help High-End Firms, Marketing Science 28, 136-147.
  • Kazuko Kano, Takashi Kano, and Kazutaka Takechi (forthcoming) Exaggerated death of distance: Revisiting distance effects on regional price dispersions, Journal of International Economics, http://dx.doi.org/10.1016/j.jinteco.2013.02.002
  • Sherwin Rosen (1981) The Economics of Superstars, American Economic Review 71, 845-858.

Thursday, May 30, 2013

Herfindahl-Hirschman index in Okinawa

沖縄県市町村民所得(cf. 22年度沖縄県市町村民所得)では,市町村レベルで産業別NDPのデータが利用できる.このエントリではHerfindahl indexを計算し、結果を眺める.

セクター$s$のHHI ($= H^s$)の定義は,
\[H^s := \frac{1}{R} \sum_{r=1}^R \lambda_r \left( \frac{\lambda_r^s}{\lambda_r} \right)^2 ,\] ただし
  • $R$: # of regions (欠損値がなければ$R=41$市町村),
  • $s$: sectorのインデックス,
  • $r$: regionのインデックス,
  • $\lambda$: シェア.
    • $\lambda_r^s := \mathrm{NDP}_r^s / (\sum_r \mathrm{NDP}_r^s)$,
    • $\lambda_r := \sum_s \lambda_r^s$.
また,欠損値は面倒くさいので省いた.

$H^s$は$(0,1]$の値を取り,大きいほど特定の空間に経済活動が集中していることを意味する.解釈上の問題もいくつかはらんでいるのだが,手軽に計算できるので他の長大な計算の合間にとりあえずやってみたという次第である.

計算結果をまずは全産業で眺めてみよう:
出典: 沖縄県「市町村民所得」
  • 農林水産業や鉱業は,他の産業に比べてHHIが高い! 特に林業は名護と国頭でシェア6割を達成しているため,ずば抜けて高い値を取っている.
    • 収穫一定・完全競争部門のほうが集積している,とナイーブに解釈することはできないものの…first natureの強さを実感する.

次に農林水産業・鉱業を除いて作図し直した.
出典: 沖縄県「市町村民所得」
  • 製造業,情報通信業,生活インフラ,のHHIが高め.
    • 製造業は那覇市よりも西原,浦添,糸満,といった那覇都市雇用圏の郊外エリアに集中している.那覇都市雇用圏以外では,コザ,うるま,名護,の存在感があるが,これらは県を挙げて企業集積に資源を費やしているエリアでもある.
      • 西原は琉大も近いし那覇も近いし土地も安いしある程度社会インフラが充実している,というアドバンテージがあるのだろう.沖縄で最も製造業のNDPが高い行政区域となっている.
  • 金融や情報通信はやはり那覇市に集中している. HHIも相対的には高め.
  • 島嶼部では政府サービス生産者がNDPの主要部分を占めている.
    • たとえば渡名喜村のNDPの約50%は政府サービス生産者が生み出している.すごい.

那覇という中心地に高度なサービス業が立地し,その周りで製造業が営まれ,peripheral areasで一次産業,という沖縄県の空間構造がおぼろげながら見えてきたというわけだ.

H13年からデータがあるので,時系列でHHIの推移を眺めることもできるはずだがこのエントリはここまで.

(MathJaxを導入してみた.携帯など閲覧環境によっては数式が一部表示されないかもしれない.)

問題発見演習I, プレゼン

講義中に言及した,歴史に残るビジネスマン,Steve Jobsの有名なスピーチ:

テレビではなかなか味わえないタイプの,人を魅き込むトークである.



TEDでは,ちょっと大げさながら洗練されたプレゼンが鑑賞できる.
経済学者の話は少なめであるが,日本語字幕が付くものにはたとえば以下のようなものがあるようだ:

経済学に限らず,評判のよいものから観ていくといいかもね(自分で探そう).

Wednesday, May 29, 2013

経済政策I, 第7回

講義内容:
  • 部分均衡分析の実践
    • PC市場の分析
      • 我々の生活はパソコンに取り囲まれている.講義では我々の生きていく世界を経済学のモデルで把握してみた.
      • パソコンを使う側の都合(需要)だけでは,パソコン市場の動向をうまく説明できない.パソコンを取り巻く需給に目を配って初めて見えてくるものがある.世界を理解するためには我々が日常的に認識できる領域の外側へ出ていかねばならない.
      • 数年後には,遊び道具としてだけでなく仕事道具としてもパソコンと付き合っていくことになる.書類を作る,メールを打つ,といった最低限のタスクをこなすだけで満足せず,パソコンの潜在能力を引き出すような使い方を編み出すべく知恵を絞りたい.
        • 独力でプログラミングから保守まで切り盛りする必要はない.テクニカルなタスクは外注すればよいし,一人でできないことはチームで取り組むなりプロのアドバイスを受けるなりすればよい.
    • 肥満税
      • 実際に政策を動かす場合,需要の価格弾力性も考慮しなければいけない要素の一つとなる.
    • 医療保険
      • 保険本来の役割はリスクヘッジにある.が本講義で扱うには難しすぎるので,補助金政策の一例として扱っているところ.
    • 部分均衡分析のグラフを深いレベルで使いこなす作業を繰り返している.最初からうまくできる人はいない.いたずらに不安にならず,慣れるまで試行錯誤を繰り返そう.

中間試験について:
  • 6月12日に中間試験を予定.
    • 出題範囲: 5日の講義でカバーしたところまで.(5章を除く)
    • 出題形式: 選択問題+若干の論述,を予定.
    • 持ち込み可.暗記科目ではないので暗記は不要.内容の理解を問う.
    • 試験対策としては,一度以上レジュメを読み返し,よくわからないところを解消しておく,といった作業が望まれる.持ち込み可だからといってぶっつけ本番にならないように.重箱の隅をつつくようなことはしないので,マニアックな内容までカバーしなくてもよい.
    • 本ブログは試験とは直接関係しない.ブログの隅々までチェックしないと解けないような問題は出さない.
    • 解答にはボールペン(黒または青)を使用してほしい.シャーペン・鉛筆は極力使わないように.理由は,試験終了後の不正な改変を予防する,スキャン時に読み取りやすくする,社会人はボールペンがスタンダード,である.

出席カードのコメントから:
  • 「テストはどんな形式か詳しく説明せよ」
    • 現時点で決まっていることは上述の通り: やった内容をまんべんなく出題,選択問題が中心,論述問題は短め,というペーパーテストを予定.配点は未定.全体的な分量は控えめ.
    • 暗記力は問わない.専門用語は字面でなくその意味内容を押さえて欲しい.
    • 計算は問わない.何かしらグラフを読み書きしてもらう可能性が高い.経済学の試験であって数学の試験ではない.
      • もちろん,グラフを理解するときにはある程度の数学的素養が必要になる.
  • 「需要が非弾力的なときは,増税しても需要側も供給側も損をする」
    • 税負担の帰着については次のレジュメで触れる予定.とりわけ需要が非弾力的な場合,消費者側が重い税負担を被ることになる.
  • 「黒板の音がうるさい」
    • 気をつけます.
  • 「ほしい物が低価格で手に入れられることが理想だ」
    • まったくである.
    • なるべく低コストで同じ成果が得られないか考えることは,経済学でいう費用最小化問題に相当する.
      • 費用最小化問題を直視せず,無駄な労力をむしろポジティブに捉える気質の人は,ブラック企業でスポイルされてしまうかもしれない.
      • もちろん,一見無駄に見える努力が不可避な場面は存在するのだが.

Tuesday, May 28, 2013

経済学入門I, 第7回

講義内容:
  • 部分均衡:
    • 市場均衡と比較静学
  • AD-ASへの拡張
    • 景気変動と経済成長への導入
次週の予定:
  • 需要と供給のモデルを使いながらマクロの主要な話題をカバー
  • レジュメ4も一応用意してください.
  • 再来週は休講(本学の創立記念日)のようです.
中括:
  • 講義前半はマクロ以前に経済学,そして学問自体への入門を意識して話を組み立ててきた.
  • 講義後半では財,労働,金融という各市場を概観する.
    • IS-LMという邪悪なモデルはカバーしない予定.

Monday, May 27, 2013

22年度沖縄県市町村民所得

市町村民所得が公開された.この統計は県民経済計算と同じく,沖縄公式統計界の総力戦といった趣がある.

とりあえず一人あたり名目GDPNNI, 市町村民所得(要素価格表示)(訂正)をプロット.
出典: 沖縄県「市町村民所得」
地図にしてあれっと気づいたのが東村(265.1万)と大東諸島(南大東が347.6万, 北大東が396.8万).那覇(233万)よりも断然高い.(ど田舎だけどそれ以上に人口が少ない.村内での所得の偏りも大きいかもしれない.)

一番低いのは今帰仁(147.2万).全国(272.9万)の半分ぐらいであるが,このあたりの風土はGDPでは測れないよさがある.

  • 追記(May 28, 2013):
    • GDPとNNIを間違えていた.訂正してお詫び申し上げる.
    • 東村の場合,NNIとNDPが違った傾向をたどっている.NNIは増加しているがNDPは停滞気味.村外からの純所得が増えている状態か?
    • 固定資本減耗ってどう推計しているんだろう?このデータってクロスセクションで使えるの?

他の条件は一定

どの講義でも強調している考え方に,「他の条件は一定にして(ceteris paribus)」というものがある.これは経済学に限らず,科学において不可欠な思考法である.

中谷『科学の方法』から科学実験に関する一節を引用しよう(pp.143-145).
 前にもたびたびいったように,この自然界に実際に起こっている現象は,決して再現可能ではないのである.同じことを二度実験してみても,同じ結果が出るとは限らない.一枚の紙をある高さから落としてみても,同じ落ち方は,二度とはしない.しかしそれを再現不可能といってしまえば,もはや科学の入る余地がなくなってしまう.それでこういう場合には,自然界にはちゃんとした法則があって,再現可能なのであるが,何かほかの理由で,同じ結果が得られなかったのだと考える.それでほかの妨害を除いてやれば,すなわち外界の条件を一定にしてやれば,同じ現象が起るはずだとするのである.ほかの条件をなるべく一定にして,ある現象を起こさせてみる.それが実験なのである.もちろん条件を完全に一定にすることは,不可能である.少くも時間的にはちがっているわけである.しかしなるべく条件を一定にしてやったならば,だんだん再現可能に近い状態が得られるであろうとして,この条件をなるべく簡単に,あるいは一定にしてやってみるわけである.
(中略)
 具体的な例を一つあげよう.糸を与えられて,その長さを精密にはかるという問題が課せられたとする.これはなかなか厄介な問題であって,糸というものは,実際にはかってみればすぐわかるように,その長さを精密にきめることは,ほとんど不可能に近いものである.むしろ精密な長さというものがないといった方が,よいかもしれない.糸をだらんとさせておけば,その長さははかれない.そうかといって,ぴんと張ると,その張り方によって,いろいろに伸びるわけである.それに湿度も効いてくる.糸がしめったり,かわいたりすると,長さが伸び縮みする.また温度も効いてくる.それで精密にはかってみると,張力により,湿度により,温度によって,長さがみな違った価に出てくる.こういう場合に,一回一回違った価になるといってしまえば,何も測定した意義がないことになる.それで他の要素を一定にしておいて,その中の一つの要素だけを変化させてみる.たとえば一定の湿度及び温度の下で,張力をだんだん変えて,長さをはかってみる.あるいは張力を一定にしておいて,湿度をいろいろに変えてはかってみる.そういうふうに長さの測定を,各要素ごとに,その要素の函数として,精密に行う.そうすれば,いろいろな要素が重なり合った,ある条件のもとにおける糸の長さというものを,きめることができる.
ちなみにこの文章は野矢(2006)にも出てくる.この本もお勧め.論理的思考力を底上げしよう.

References:
  • 中谷宇吉郎 (1958) 『科学の方法』岩波新書
  • 野矢茂樹 (2006) 『新版 論理トレーニング』産業図書

Friday, May 24, 2013

国際経済学I, 第6回

講義内容:
  • 小国開放経済
    • 現実を抽象化し,より本質的な部分だけ抜き出してきて考察する,という経済学的なアプローチの仕方を実践.
    • 財・サービスの流れを妨げる「壁」の役割に注目.
    • 小国と大国の違い
    • グラフを読む,理解する,という作業は難しく感じるかもしれない.慣れるまでは多少の辛抱も必要.たちどころに理解する必要はないので,焦らずゆっくり取り組もう
  • 利潤と利益の違い
    • 帰属家賃のように,たとえ実際にお金がかかっていなくても,実質的には費用と考えたほうが自然なことがある.経済学ではそうした費用も利潤にカウントする.
  • 出席数がすでにピンチな人は,履修キャンセルを検討するとよいだろう(取り消せるのは5月いっぱいだったっけ?).理由なく講義回数2/3以上出席していないと単位は認定しない,という履修規定は例外なく遵守するのであしからず.理由があれば欠席届を適宜出そう.
中間試験のお知らせ:
  • 6月7日(金)に予定.
    • 試験範囲: 5月31日までに学んだ範囲.
      • およそレジュメ1~2ぐらい. レジュメ3に入るかどうかは来週の講義次第.
    • 出題形式: 選択問題 + ちょっと論述,の予定.数式の計算は求めない(四則演算ぐらいはできたほうがよいと思うけど…).
  • カンニングはやめてください.もし発見したら厳しく取り締まらねばなりません.
出席カードの質問への回答:
  • Q: 「現在閉鎖経済の国はあるか?あったとしたらうまくいっているか?」
    • A1: モデルのような閉鎖経済は存在していない.
      • 世界から孤立ぎみな北朝鮮ですら中国・韓国と貿易取引が行われている.(cf. wikipedia)
      • 歴史をさかのぼれば,江戸時代には日本は鎖国しており,外国との取引が著しく制限されていた.
        • とはいえ字面通りに完全に孤立していたわけではなく,沖縄含め「四口」という4つの貿易ルートが存在していた.
      • 江戸時代を閉鎖経済とし,ペリーが来て開港したのを自由貿易開始のタイミング,と捉えるとイメージしやすいかもしれない.実際,江戸末期のデータを用いて貿易の効果を測った学術論文も存在する(Bernhofen and Brown 2004, 2005; Bernhofen et al. 2012など).
      • 閉鎖経済は,無人島で自給自足するロビンソン・クルーソーや,山ごもりをする大山倍達などのような極端な状況を意味する.沖縄の島嶼部もそれに近い生活が営めるが,水や電気を島の外から引いてくる前の閉鎖経済生活は,物質的には極めて貧しいものであった.
    • 「閉鎖経済」と「自由貿易」という2つの仮想的な状態を分析し比較するのは,「貿易の効果」を抽出するためである.現実には「貿易をするorしない」という極端な二者択一に迫られるわけではないものの,こうした仮想的な思考実験(シミュレーション)は現実への洞察を与えてくれる.
      • 漸進的に自由貿易へと向かっていく,というよりリアルな分析ももちろん可能であるし,たくさんなされている.
    • A2: もし閉鎖経済国家があったとしても,そこで豊かな生活は望むべくもない.将来にわたって持続的に我々が日々を幸せに送ることができることをもって"うまくいく"を定義すると,うまくいかないだろう.
      • たとえ個人レベルで仙人のような外界と隔絶した隠遁生活を送ることが可能であっても,国家レベルで閉鎖経済を営んでいくのは不可能だ.もし日本が何らかの異常事態によって突然閉鎖経済に移行した場合,リーマンショックや震災どころじゃない大混乱が生じるであろう.原油が輸入できなくなるだけでほとんどの産業は立ちゆかなくなる(cf. 堺屋太一の『油断!』という小説では原油の絶えた仮想世界が体験できる).平均寿命は40歳を下回るんじゃないかな.
      • 香港やシンガポールのように,対外的にオープンな国・地域のほうがむしろうまくいっているようにも見える.が,自由貿易と経済成長の関係はさほど単純ではなく,経済学が解明すべき重要テーマの一つである.
  • 未だに科目名を「国際政治学」や「国際政治経済学」などと間違えている人がいる.いやはや.

References:
  • Bernhofen, Daniel M. and John C. Brown (2004) A Direct Test of the Theory of Comparative Advantage: The Case of Japan. Journal of Political Economy 112, 48-67.
  • Bernhofen, Daniel M. and John C. Brown (2005) An Empirical Assessment of the Comparative Advantage Gains from Trade: Evidence from Japan. American Economic Review 95, 208-225.
  • Bernhofen, Daniel M., John C. Brown, and Masayuki Tanimoto (2012) A Direct Test of the Stolper-Samuelson Theorem: The Natural Experiment of Japan. mimeo.
  • 堺屋太一(1975)『油断!』日本経済新聞社.

Wednesday, May 22, 2013

沖縄県統計グラフコンクール

沖縄県統計グラフコンクールなるものがあるらしい.なんでも他府県でもやっていて,全国コンクールまであるようだ.自由研究のような投げっぱなしの課題よりも数百倍実になると思う.大学生にとってもグダグダな課題よりは数百倍ためになるのでは.

Excelで作図できる中高生もごろごろいるようであるが,作品の多くは根性手動プロットである.その手間は確率や組み合わせ数理の学習に割いた方がいいと思うよ.

えっ,私も一般枠で応募資格ありだって…?!

Tuesday, May 21, 2013

経済学入門I, 第6回

講義内容:
  • 部分均衡分析の基本
    • 用語、グラフの読み方、シフト
    • 分析道具を準備している段階である
次週の予定:
  • 残り
    • 均衡、比較静学
  • 需給モデルを使ってマクロな市場を眺める
    • レジュメ3の用意を
その他:
  • 最近のギリシャはどうなのか,という質問にうまく答えられなかったので,いくつかマクロ指標を集めてきた.データの出処はすべてEurostatである.
 まず実質GDPの成長率.

青がギリシャ, 緑がEU27カ国, 茶色が日本である.EUと日本は概ね同じような成長経路をたどっていることが見て取れるが,一方でギリシャは2009年以降とてつもないマイナス成長が続いている.最近は少し下げ幅が落ち着いてきたように見える(ただし2013年の値は実績でなく予測).

 次に失業率.
ギリシャ(青線)の雇用情勢はどんどん悪化しているようである.働く意思と準備があっても,4人に1人は仕事が無いという状況である.想像を絶する世界である.

 そしてインフレ率(前年同月比).

 ギリシャはEU全体とくらべて低インフレが続いている.特に今年に入ってからはインフレ率がマイナス,つまりデフレーションへと突入している.
 EUでは金利がもりもり低下しているところであるが,それでもなおギリシャにとっては高すぎる水準なのかもしれない.

最後に経常収支.
経常収支(対GDP比). ギリシャ(青), EU27カ国(緑), 日本(黄).
2008年頃を境にしてギリシャは慢性的な経常赤字から経常黒字へと急速に向かっている.この裏側では,ギリシャから国外へ資本の流出,平たく言えば外国からやってきていた資金が急速に逃げていくような事態が生じている.

直近ではEUの株式市場は回復に向かっている.とはいえギリシャに限って言えばまだまだ予断を許さない状況であるだろう(もっと言えば10年単位でまだまだ苦境が続くかもしれない).

Monday, May 20, 2013

5月家計調査

 沖縄県の家計調査が更新された(2013年3月分).家調は(1)小サンプル(n=299世帯), (2)真面目に回答する誘因に乏しい(めんどくさい), (3)SNAと概念が異なる, といった短所があるが,参考までに眺めてみる.

 消費支出の推移を見た.実質のほうはCPI総合でデフレートした.
2人以上世帯の名目消費支出(黒), 実質消費支出(青). 出典: 沖縄県「家計調査」, 「消費者物価指数」.
成長率(前年同期比)で見ると次の通り.
実質消費支出の成長率.
 今日公表された3月分の消費支出は,前年同期比では4%ほど下がっているようだ.とりわけ家具などの耐久消費財への支出が削られている.利子率が上がってると…

 実質消費支出のautocorrelation functionを見てみよう.
もちろんランダム・ウォークには見えない.

 対数を取って季調ARIMAを走らせてみた.(ARIMA(1,1,2)(1,0,1)[12]で)
 係数の95%信頼区間は次の通り.なんだかいまいち.

              ar1        ma1        ma2      sar1      sma1
2.5 %  -1.1570016 -0.3268198 -0.8440349 0.8901117 -1.258272
97.5 % -0.2276799  0.5308698 -0.3469504 1.0739710 -0.403217

ついでに1年分の予測をぶん回すと次の通り.




 最後に.ここまでの時系列での概観とは別に,沖縄と日本について,消費の比と物価の比を比べてみた.(Backus and Smithのような完備市場のモデルを想定.)
消費支出の比の対数の差分と,CPI総合の比の対数の差分(前年同期差). 出典: 総務省「家計調査」「消費者物価指数」.
無相関に…

Reference:
  • David K. Backus and Gregor W. Smith (1993) Consumption and real exchange rates in dynamic economies with non-traded goods, Journal of International Economics 35, 297-316.[link]

Friday, May 17, 2013

ピーマン市場のダイナミクス

講義でピーマン市場の動向を眺めてみた.
ピーマンの卸売数量(t)と卸売価格(1kg). 出典: 農林水産省「青果物卸売市場調査報告」

 この図は「見せかけの相関」を表しているに過ぎない可能性もある.実際,ピーマンのデータでは数量も価格も「単位根 (unit root)」と呼ばれる性質を持ち,上のように直線を当てはめてどうこう論じるのは本当はキケンである.
 とはいえ,一次関数が教科書の中だけの存在でないとか,部分均衡は世の中の動きを見る有用なテクニックになりそうだとか,そういったことをひとまずは感じ取って欲しい.



レジュメでは2004年までのデータしか扱っていなかったが,先ほど農水省のサイトを調べたら2011年までデータを補充することができた.もののついでに,
  1. 2004年までのデータから7年後までを予測したもの(紫の点線)と,
  2. 実際の推移(黒い実線)
を比較してみた.(真剣な予測ではなく私のエクササイズにすぎない.)
VAR(1)による数量の予測(点線)と実際(実線).

VAR(1)による価格の予測(点線)と実際(実線).

 実際には予想よりも数量が大きく落ち込み,その一方で価格が上昇している.2000年代を通じて供給が急速に引き締まっているようである.原油価格上昇の影響なのだろうか.

国際経済学I, 第5回

講義内容:
  • 部分均衡分析
    • 限界費用
    • 比較静学
    • 余剰
次週の予定:
  • 弾力性について補足
  • 部分均衡分析を使って国際貿易モデルを作る.今度こそ次のレジュメへ.
補足:
  • 講義後に「あれってアダム・スミスの話ですねー」とコメントをいただいたがその通り.
    • 経済学で通常想定する登場人物はみんな自分勝手だ.消費者は自分がうれしいかどうかを考えて行動するし,生産者は自分がもうかるかどうかを考えて行動する.
      • みんなが自分勝手に振る舞っているカオティックな状態なんておそろしい!というのが常識的発想.
    • しかし第一定理は,ある特定の条件下では,自分勝手な振る舞いがかえって社会全体にとってある意味でよい帰結をもたらすことを示している.
      • 市場メカニズムの最大のメリットはこのあたりにある.政治家や官僚といった社会全体を見渡せる人々が,愚民たちを手取り足取り指導しなくても,それなりにうまくいくのだ.
    • 経済学の祖A. Smithはこうした市場メカニズムの働きを「見えざる手(invisible hand)」と表現した.
    • もちろん,第一定理が成り立つための前提条件が,現実に成り立っているとは限らない.前提が成り立たず市場がうまくいかないことを「市場の失敗」(market failure)という.
      • 経済学は「市場はうまくいく」とは言っていない.「もしある条件が満たされれば,市場はうまくいく」と言っているにすぎない. 「もしAならばB」という形式になっていることに注意したい.Aが成り立たなければBも成り立たないかもしれないのである.

Thursday, May 16, 2013

price discrimination

Mathematicaの日本版高すぎ.予算以前に,カードの利用限度額的に厳しい.

日米で価格が2倍近く違う.先進国の中でも群を抜いて日本向けが高い.


教科書的な第三種価格差別だとすると,日本在住研究者は価格弾力性が低いことを意味するのである.maple, maximaなど代替ソフトにスイッチするコストが高い,予算が制度的にうまく設計されていない,などが考えられる.足下を見られているようでいい気分ではないが,おつりが来るぐらい使うので結局Wolframに貢ぐことに.

どうやって裁定取引すればいいんだろう.

土地の価格

 Gini係数を求めた際には,住宅市場の混雑があるのではと推測していた.そこで住宅の"価格"が本当に上昇しているかどうかもう少し踏み込んで見てみよう,というエントリー.

 まず公示地価の時系列データを眺めると,(名目)地価は低下し続けている模様が見て取れる.
住宅地の価格水準の推移, 沖縄(黒)と全国(青), 2010年=100. 出典: 沖縄県「地価調査・地価公示」
商業地の価格水準の推移, 沖縄(黒)と全国(青), 2010年=100. 出典: 沖縄県「地価調査・地価公示」

 ただし地価は将来の情報もふんだんに含んでいるので,これだけを見て即座に地代やその流列が低下しているとは言えない.(そもそも地価は,土地のファンダメンタルな需給以上に,株式との裁定が効いてくる印象がある.)



 次にCPIを見てみた.
出典: 沖縄県「消費者物価指数年報」

CPIで見る住居価格の推移はどこか奇妙である.
  • 人口が増加している那覇市(青系統の線)ではゼロ年代には価格低下傾向にある.
  • 沖縄県全体(オレンジ系統の線)では上昇傾向.
    • なぜかリーマン・ショック後に上昇傾向に転じている.
  • 帰属家賃を除こうが除くまいが大差はない.
 那覇市では需要が増えているのに価格が低下していて,さらに,県では需要が減りそうなタイミングで価格が上昇しているわけで,なかなか奇妙である.


 そこで,住宅価格をCPI総合で割って,相対価格に直してみた.
出典: 沖縄県「消費者物価指数年報」
すると,那覇市も沖縄県も同じような挙動をしてしていることが見て取れるようになった.2000年前後は那覇市のCPIが県よりも割高なのである.
  • 相対価格で見ると,長い目で見れば右上がりのトレンドが読み取れる.住宅は他の財・サービスに比べて割高になっているのである.
  • しかし「都市部に集積」という仮説と整合的であるとは即断できない.
    • 那覇市だけなら「集積 → 住宅需要up → 住宅価格up」と自然な流れが見て取れる(後件肯定の誤謬に注意は必要).
    • ところが「都市部への集積」は「沖縄県全体での住宅需要増加」を必ずしも意味しない.
    • 都市化以外で,右上がりのトレンドを説明する要因が何かを考える必要が出てきたというわけだ.また,住宅需要以外のファクターに及んでいる都市化の影響について考慮する必要もある.(めんどくせー)
  • 2007-2008年頃に,リーマン・ショックの影響が見て取れるようになった.「不況 → 住宅需要down → 住宅価格down」が生じたというところだろうか.景気回復に伴って住宅価格も上昇傾向にある.
    • 2008年以降の上昇は,消費税増税を織り込んだ効果もあるかもしれない.
    • 「不況 → 公共事業増・低金利 → 住宅供給増 → 住宅価格down」という経路もありえるがもう少し吟味が必要.
      • 都道府県レベルで建築資材などの資本財価格を見るにはどうしたらいいんだろうか.
    • ただ住宅の需給以前に,CPI総合のほうで大きな動き(2%程度)があって,そこの原因を掘り下げて考える方が自然かもしれない.

memo:
  • 世帯構成の動きも気になるけど,国勢調査って解読するだけでも1ヶ月分ぐらいの労力を使う気がするので手が出ない…
  • 非定常時系列データの分析(しかも耐久財の)までは手が回らない…けどn<20の年次データで検定や予測ってハリボテ感あるよね.

Wednesday, May 15, 2013

経済政策I, 第6回

講義内容:
  • 部分均衡分析の続き.
    • 供給曲線と限界費用の対応関係
    • 比較静学
    • 第一定理
  • 市場で取引するメリットは,「余剰」という概念で捉える.
補足:
  • 何らかの経済政策を行うときに,今後は
    1. 均衡」はどうなるか
    2. 余剰」はどうなるか
    という2点に注目していく.政策がもたらす効果を実証的観点と規範的観点の2点から考察するのである.
来週の予定:
  • 弾力性について補足.
  • レジュメ3へ移る.第5章はいったん飛ばす.
    • やっと経済政策っぽい内容ができる.下準備が長すぎた.
    • 第5章はこのままスルーしてもいいかもしれない.Pareto efficiencyって,経済学では使えても実社会ではあんまり使う機会がない気もする.
    • もちろん実践的でないからといって,学ぶ意味がないわけではないのだが.教える場合はレジュメを作り直すかもしれない.
    • レジュメ5で学ぶゲーム理論のほうがより脳みそのトレーニングに役立つと思うので,そちらを優先する予定.
  • 梅雨入りした.この時期にダレてしまうと卒業が危ぶまれることにもなりうるので注意が必要である.
  • blog開設した,と宣伝し忘れた…

第5章をめぐるテクニカルなつぶやき:
  • Pareto efficiencyそのものより,その背後にある個人主義というかwelfarismというアイディアが大事だと考えている.
  • たとえばKaplow and Shavell (2001)は「welfarismに基づかなければ,どんな政策評価もPareto principleに反する」という衝撃的な命題を示している.
    • たいていの経済学者は効率性以外の概念,たとえば公平性やら正義やらケイパビリティやらも考慮する必要性を感じてはいる.
    • しかしそういった価値観を持ち込んだ上で政策運営を行うと,誰かが損する状況が必ず生じてしまうのである.万事うまくいく,ということはありえないのだ.
      • 状況によっては「国民みんなが損をすることが最も望ましい」などという北朝鮮も真っ青の政治判断が行われる可能性があるということだ.
      • 証明は単純で超スマート.welfarismをうまく定義したらJPEか…
  • 現実にはPareto improvingな政策なんてほとんど存在しないという意味で,実践的な概念ではないと思う.しかしながら,政策を運営をする際に損するグループがほぼ必ずどこかにいる,という鎌倉新仏教を彷彿とさせるような認識を持っておかないと政治はできない.

Reference:
  • Louis Kaplow and Steven Shavell (2001) Any Non-welfarist Method of Policy Assessment Violates the Pareto Principle, Journal of Political Economy 109, 281-286. [link]

Monday, May 13, 2013

国語力不足

沖縄県教育委員会が全国学力テスト(H24)の結果をまとめたものがある.その資料にあるグラフはなかなか衝撃的である.

次のグラフは国語のテストスコアの都道府県分布を表している.
小学校のテストスコア. 出典: 沖縄県教育委員会.
 赤い線が全国平均を表す.たとえば右上の象限に入っていれば,その都道府県の小学生は国語2科目とも全国平均より高い得点を記録した,という意味である.

沖縄県は,左下の象限にある黒い星印(★)である.小学生の段階から国語力が不十分であることが見て取れる.ほんの数点の差とはいえ,ぶっちぎりで最下位に見える.


そして中学生になると全国からさらに引き離されることになる.
中学校のテストスコア. 出典: 沖縄県教育委員会.
★のすぐ右肩に一つ点があるのを除けば,ほとんど別の国にも見える.単に方言がきつい地域であるということだけではこの悲惨な状況は説明できないはずだ.できる子供ほど県外に出て行っている,という効果はあるだろうけど定量的に重要なのかは疑問.

 もちろん国語以外の科目も同様に悲惨な状況である.もし私に子供ができても,沖縄で義務教育を受けさせたいとは思えないよね.


感覚的には,沖縄人はテストで測りきれないnon cognitive skillsもいまいちだ.ボトルネックは結局どこにあるんだろうか.

Sunday, May 12, 2013

Race Against the Machine

村井氏の翻訳で日本語でもアクセスできるようになった『機械との競争』を読み了えた(原著で読んだので訳の良し悪しまでは存じ上げない).

Erik Brynjolfsson and Andrew McAfee (2011) Race against the machine: How the digital revolution is accelerating innovation, driving productivity, and irreversibly transforming employment and the economy, Digital Frontier Press.
書籍のwebsite

著者らの意向で電子ブックは$5もしない低価格で読める.英語は平易で分量も軽く,さらりと読み終えることができた.経済学を知らなくても十分楽しめるはずである.

読んでいて頭をよぎったのはMalthusの人口論だ.人口はどんどん増えていくのだが,土地は有限なので食糧生産が人口増加に追いつけない.人口が増えても豊かにならん,ということでMalthusian trapと呼ばれる.

Brynjolfsson and McAfeeのポイントは,Moore's lawよろしくICT技術がどんどん向上してきたしこれから先もしていくと予想されるのに,普通の人間がそれに追いつかないということだ.コンピューターと競合するような単純な仕事をやっているようでは,遠からず仕事を失い人生が詰むことになる.(特に私の勤務校では機械に代替される仕事にしかありつけずloserになる危険性の高い学生が少なくないかもしれない.)

では我々はどうすべきか.「against the machine」と機械に正面から挑むのではなく,「with the machine」と機械を活用する仕事をするとよいはずだ.ICTの発達は普通の労働者には脅威だが,それを使いこなす側には大きなチャンスをもたらしてくれる.

機械に食われないためには,もう少し具体的にどういう能力を磨くべきか.たとえば5月2日の日経新聞で東大の柳川先生は
正解」のない問題に対して答える能力こそが、コンピューターに代替されない能力である。
と述べている.問題解決能力は将来野垂れ死なずに生き抜いていく上で大事なスキルである.そしてこのスキルは閉鎖的な環境で不毛な日常を送っているだけでは身につけられないと思う.解決すべき喫緊の問題に直面しないのだから.学生時代の間に,大きな壁にぶち当たるまで真剣に何かに取り組むといいだろう.

Brynjolfsson and McAfeeの議論は特に目新しいものではない.Acemoglu and Autorやら,Goldin and Katzやら,スーパー経済学者たちも長年取り組んできた問題である.そして私も各講義初回に似たような話をしたはずだ.




ちなみに"Rage" against the machineのほうは,私が中学生の頃にはすでに伝説的バンドとなっていた.ただその真価がわかったのは大人になって本格的にリズム・トレーニングをしてからである.

アカデミック・スキルズ: 「講義ノートの取り方」

問題発見演習に相当する講義の慶応バージョンがYouTubeで視聴できるようだ.

先週の我が講義とは違った角度からノートテイクの大切な部分をまとめてある.考える材料を自分自身で作るんだ,という気概は必要だよね.他人が書いたノートのコピーではよく理解できないものである.

ノートの原則を付け加えるならば,やはり寝ないことだと思う.気怠い時間は読書や落書きでやり過ごすべき.(睡眠や携帯ゲームは意識が遠くに行きすぎてダメだと思う.)寝てたらノートを取れないばかりか何も理解できないので,時間という貴重な資源を無駄に浪費することになってしまう.
講義中に寝る原因は,睡眠不足や肉体疲労というよりも,話を理解するための意欲と能力の不足ではないだろうか.教える側にも問題はあるのだけれど,所詮自分とは関係のない世界の話だと思ってしまうと,無意識のうちに脳が入ってくる情報を遮断してしまうような気がする.多少わからない部分があっても,起きてさえいればどこかで教員が再度要点を簡潔にまとめてくれるかもしれないし,後の話を聞いた上で振り返るとそれまでわからなかった部分の意味もおぼろげにわかってくるかもしれない.

Saturday, May 11, 2013

国際経済学I, 第4回

講義内容:
  • 部分均衡分析の基礎.
    • 需要曲線・供給曲線の意味.
    • ワルラス的な価格調整メカニズム.
  • グラフを読めないと悲しい末路を迎えるので,かなりスローペースで進めている.
    • 入門ミクロの教科書ならほぼ間違いなく最初の方に載っている内容である.わからなければ各自補足されたし.
次週の予定:
  • 余剰と弾力性の概念をマスターした後,いよいよ小国開放経済を学ぶ.
    • レジュメ2を用意するように.
    • 関税の話が終わった頃に中間試験があるかも.
    • 前期はRicardo modelとRicardo-Viner modelをカバーして終わりかなという予感.もし時間が余れば,H-Oはスルーして,Ricardo-Vinerで使うMacDougal diagramを活用できる話をカバーする予定.
テクニカルな補足:
  • 均衡からちょっとやそっと外れても,均衡に戻っていく力が働いている.こうした均衡を安定的(stable)と呼ぶ.
  • 均衡は必ずしも安定的であるとは限らない.しかし通常我々が注目するのは安定的な均衡である.
その他:
  • 研究室でblog作ってる間に雷雨が…

Gini coefficient

沖縄の空間構造を把握する第一歩として,市町村レベル(41地域)の全人口についてGini indexを計算してみた.
出典: 沖縄県「市町村別推計人口」

 微妙な変化であるものの,10年近く上昇傾向にある.
  • 那覇およびその通勤圏で人口が増加している.
  • コザ,北谷,名護も増加傾向.
  • 北部や島嶼部は人口減少ぎみ.
都市化がじわじわ進んでいることが推察される.


残念ながら,都市化の進展はあまりよい帰結をもたらしていないかもしれない.
沖縄の県内総支出の内訳を見ると,集積の不経済にがっつり資源を浪費している予感がする.
出典: 沖縄県「県民経済計算」
  • 消費(右軸, GDP比)が低迷している一方で,住宅に対する支出がじわりと拡大している.
    • 交通・通信費は目立った増加こそしていないようだ.
      • 自動車用ガソリン価格は10年ほど上昇傾向にある.
    • 沖縄県は一人あたり実質GDPも長年停滞している.

集積のメリットを生かせないまま,住宅市場の混雑という集積のデメリットを被っているように思えるのである.(結論を下すにはもっと詳細な検討が必要である.)


いかんせん10年近く沖縄を離れていたので,知らないことばかりである.計量のプロではないが,沖縄の主要な統計指標を今後とも注視していく…予定.

overview

目的:
  • 講義に関する情報の発信.
    • 講義中に触れられなかった内容のコンプリメント.
    • 講義に関するアナウンス, e.g., 休講,補講,試験. 
      • RSSを利用可能な場のほうが,最新情報を迅速に伝えやすい気がする.
  • 講義とは関係ない情報の発信.
    • 研究にまつわる話を伝える.自らの理解を深めることにもなる.
      • たとえば論文や書籍,研究系ブログの簡単な紹介など.
    • 沖縄経済に関する考察を社会に公表する.
      • 大学紀要や県内金融機関のレポート以外で,経済学の知見を生かして地域経済を分析し定期的に発信しているところがあれば教えて欲しい(プロフェッショナルなレベルに限る).
      • 純粋に沖縄経済の動きを知りたいという好奇心と,職業上の義務感による.Krugmanのまねごとをしたいわけではない…たとえいくら試みても模して及ばぬものであることは明白である.
畢竟しゃべり足りないことを書き留めるblogである.

運営方針:
  • てーげーで.飽きたら撤去.
    • そもそも私は応用ミクロ理論家である.データを扱うエントリではアマチュアくさいところが目につくかもしれないが,不慣れのためとしてご諒恕願いたい.
  • 研究業務の妨げにならない範囲で.
    • 学問的な厳密さには必ずしもこだわらず,気楽に発信する.
    • 講義ノートに反映されなかった没ネタなどを記録として残す.
  • 直近のニュースについてあーだこーだ論じるのは控える.
  • 愚痴ばかりこぼさない.日常的な話題は控える.
  • コメントには必ずしも返信しない.トラックバックってどうしたらいいの.