Friday, May 15, 2015

国際経済学I,第5回, 2015

講義内容
  • 入門ミクロ: 供給
    • 需要と比較対照しながら理解しよう.
  • 均衡
    • 需要量 = 供給量,となるところ.このときの価格が均衡価格.
    • 均衡はあくまでも想像上の産物で,現実には観察できない.しかし,誤差を伴いつつも,現実経済は均衡の周りにいる,と考えてみよう.



コメントより
  • 「均衡価格 = 相場,と認識してよいか?」
    • 相場という言葉には曖昧なところがありますが,大まかなイメージとしてはそれでかまいません.モデル上はすべての消費者・生産者がまったく同じ価格に直面します.
  • 「価格が安いときに生産量が少ないのはなんとなく理解できる.しかし生産量が少ないと平均費用が高くなるために大量に作った方が利益が出るのでは.」
    • とても鋭い質問ですね.生産量が少ないときに規模の経済が働くようなとき(俗に言うS字型生産関数)にはそのような思惑が生じるかもしれません.
      • ブログで一から解説するには少し難物になりますので,中級レベルのミクロの教科書,たとえばヴァリアン(2007)『入門ミクロ経済学』勁草書房,などに挑戦してください.
    • 手短に概略を述べます.ご指摘のように,規模の経済が働く限り,企業は生産量を増やし利益を増やしにかかるでしょう.でも規模の経済によるうまみがいつまでも続くわけでなく,どこかで生産量が増えるにつれ平均費用が上昇するようになる転機が訪れます.講義で扱うような右上がりの供給曲線は,この転機を迎えた後の部分だけを見ていることになります.
      • 十分な需要がある限り,この転機を迎える前に企業が生産をやめてしまうことはありません.もっと生産すればもっとコスト削減できて儲かるのは明らかなので,生産をやめて儲ける機会を逃すようなことは考えにくいのです.なので,そもそも規模の経済が働いた状態のまま生産することはありません(要は,二階条件を満たしません).
      • 需要がそれほど多くない場合はそういうわけにもいきません.いつまでも転機が来ず,とにかく規模の経済が強烈に働いているような企業もいるかもしれません.しかしこうした企業をプライス・テイカーと仮定するのは適切でなくなってしまいます.こうした企業を分析するには,講義で学ぶものとは別の道具が必要になります.
  • 「市場での価格は需要と供給の均衡で決まり,その相場を見て需給が決まっていくプロセスだと理解した」
    • そうですね.
  • 「現実はもっと複雑な要因があり,もっと細かいグラフになる気がする」
    • 場合によっては簡単に図示できない事態になるかもしれませんね.
  • 「価格次第で経営は大きく変わるんだなと,価格の重要性がわかった」
    • 価格は単に企業の経営を左右するという以上に,経済学上きわめて重要な役割を果たします.
  • 「均衡という状態は,理想的な状態?」
    • 特殊な状況(完全競争)の下では,理想的(効率的)な状態になります.なお,この講義では,均衡が理想的になる状況のみを分析します.均衡の善し悪しについて詳細は,ミクロ経済学で学ぶことができます.
  • 「増税で供給が減るのは大変.気になる.」
    • 経済学では,供給(や需要)が減ること自体よりも,それによってムダが生まれることをとても気にします.増税とは逆に減税したり補助金を出したりすることで供給を増やせばよいのかというと,そう簡単でもない予感がしませんか?
  • 「『沖縄の業界地図』の価格はどういう理由で決めたのか?」
    • 赤字を出すリスクを小さくしつつ,なるべく儲けが出るように決めました.特に需要量と出版社・印刷会社との分配の仕方について様々なシナリオを検討するべく,プログラムを組んでシミュレーションを走らせながら決めました.需要予測をするときには,他の沖縄本やビジネス雑誌の価格帯,想定される顧客の所得水準や書籍への支出性向なども参考にしました.また,シミュレーションでは算定しませんでしたが,我々の商品が経済学でいうところの公共財・耐久財としての性質も持つことにも配慮しました.私はビジネスの経験が皆無で,だいたいこの程度のことしか考慮できませんでした.
      • このクオリティだと5000円ぐらいしてもいいんじゃない?というような声も聞こえます.950円はお買い得ですよ!!!!
  • 「『沖縄の業界地図』が思っていたよりもとても本格的で気になる」
    • 今すぐ買うべし.
  • 「需要と供給の流れを覚え,人が求めている商売をすれば上がると思う.でも必ず下がってくると思うので,安定した商売が大切だと思った.」
    • 需要が大きくかつ安定している商売をしたいですね.
  • 「何回もやることで頭に入るので無駄ではない!むしろためになった」「書き方がわかってよかった」 「少し習ったことあるけど忘れてた」「供給という言葉は聞いたことがあり懐かしいと思った」「最初はグラフは難しくてややこしかったけど,意外にわかりやすくて簡単なのかと思った」「供給は需要に似ているから理解しやすかった」
    • 忘れずにマスターしてください.紙とペンがなくても頭の中でイメージできるようにしたいものです.
  • 「グラフは書けたけど内容はあんまり意味わからなかった」「書けるように復習したい」「正直言って難しい.テストまでにはマスターしたい」
    • この講義に関しては数学的な議論は不可避です.がんばって追いついてください.
  • 「為替の話はよくわからなかった」
    • 詳しくは後期の講義でやります. 為替の話がわからなくても現時点では問題ありません(わかるに越したことはないです).
  • 「均衡について深く学べてよかった」「均衡の説明がわかりやすく興味深い」「均衡は高校でもやった」
    • 均衡という概念を(批判的に)受け入れると,経済学の理解が進むでしょう.

ちょっと進捗が遅い気がする.研究モードから授業モードに気持ちを切り替えるのが難しい…

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