Wednesday, January 15, 2014

経済政策II, 第14回

講義内容:
  • 貨幣市場と金融政策
    • 日銀当預を通じて日本の貨幣経済が成り立っている.日銀当預ではなんと1日あたり120兆円にも上る額の取引決済が行われている.
    • マネーの需給バランスから利子率が決まる.
      • 貨幣供給は,債券の売買を通じて行うのが基本.タダでばらまいたり,強制的に回収したりはしない.
      • 貨幣需要は,貨幣を保有する機会費用(利子率)に依存する.
        • 現金は無利子である.これは自明だがとても重要な性質.
      • 中央銀行は,貨幣供給に働きかけることで,景気循環をマネージしている.
    • 中央銀行は利子率のコントロールを通じて,景気とインフレーションをコントロールしている.利子率は投資やGDPの動向と密接なのである.
    • コントロールの方針として,テイラー・ルールのようなシンプルな方程式に基づくやり方がある.ルールに基づいた政策運営は,場当たり的に政策を左右しない,誰かの賄賂や脅迫には屈しない,という意思表示でもあるかもしれない.
    • 失業を減らすのはいいけれど, フィリップス曲線が動かなければ,インフレという別のコストが発生する.インフレに許容的な人(いわゆる「ハト派」)もいれば,インフレは庶民の大敵と見ている人(「タカ派」)もいて,彼らの政治的なせめぎ合いの中で現実の金融政策は運営されている.
  • 金融・貨幣市場の動きが財市場(インフレ)や労働市場(失業)とつながっていくような,とても壮大なストーリーになっている.こうした複雑な経済システムをより丁寧に理解していくためには,連立方程式などの数学的テクニックが避けて通れなくなる.市販のマクロ経済学の教科書を手に取り,本講義でカバーした入門レベルの内容を越えてどんどん勉強していってもらえれば幸いである.

期末試験:
  • 労働市場の需給の話から,今日カバーした分までを出題範囲とする.
    • レジュメ6の残りは来週補足説明するが,出題はしない.
  • 練習問題を作成し,アップロードした.特に今日の話は論点が多く消化不良ぎみかもしれないので,問題を解いて頭を整理してほしい.直前になってしまいすみません.
    • (独り言) 練習問題はフォーワード・ガイダンスに似ている.練習問題を充実させすぎると,学生の到達度をかえってこちらが測りにくくなる,というのはglobal gameの話に似ている.金融政策の勉強は仕事の役に立つものだ.(?)
コメントより:
  • 「日本銀行がそのような役割をしているとは初耳」
    • 日本銀行は異色な組織ですね.国民にはなかなか理解されにくい役割ではありますが,失業やインフレといったマクロ経済政策の中心的問題を考える上で,中央銀行の働きは無視できません.世界中の投資家も日銀やFRBの動きをいつも注視しています.

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