Monday, July 22, 2013

経済学入門I, 第13回

講義内容:
  • 労働時間による雇用調整
    • 週休二日制が導入されても,週あたり労働時間は減っていない可能性もある(Kuroda 2010).政府が法的に経済主体の行動を規制しようとしても,意図していない反応を引き起こし,当初の目的が十分果たされないことはしばしある.
    • 沖縄の平均週間就業時間は全国とさほど変わらない.南国のだらけたイメージは必ずしも正しくない.
    • ワーク・ライフ・バランスを巡る議論は,様々な労働・社会問題と結びついている.
    • 「ブラック企業は日本特有か?」という質問に講義中回答できませんでした.
      • ブラック企業(Sweatshop)は世界各国でも問題になっているようです.一方,過労死は英語でそのまま"Karoshi"とされるほど,日本に特徴的な概念のようです(似たような単語はあるかもしれません).
      • 中国では近年過労死(过劳死)が急増しているようです(eChinacities.com).ただし実数が増えているのか,従来から過労死はあったものの「過労死」という言葉を導入して初めて過労死だと認知できたケースが増えているのかはよくわかりません.
  • 摩擦的失業と構造的失業
    • 労働者や仕事の多様性も真剣に考えよう.
  • 金融市場
    • 欲望の二重の一致を克服する工夫として貨幣がある.貨幣そのものは消費の対象ではないことが,他の財・サービスと大きく異なる重要な特徴である.
      • 貨幣そのものへのあくなき欲求自体を否定するわけではありません.不況は消費と貨幣の限界代替率が…などという議論も…(cf. Ono 2001)
    • 二千円札は法的には歴とした貨幣であっても,沖縄以外では一般受容性に乏しい.
    • 「貨幣」といっても様々な測り方がありうる.現金の他に,M1は普通預金,M2+CDは銀行預金,M3は銀行以外の預金を含める,というイメージ.
次週:
  • 金融市場の続き.
  • 次のレジュメは近日中に公開できるよう準備します.

参考文献:
Sachiko Kuroda (2010) Do Japanese Work Shorter Hours than before? Measuring trends in market work and leisure using 1976–2006 Japanese time-use survey, Journal of The Japanese and International Economies 24, 481–502.
Yoshiyasu Ono (2001) A Reinterpretation of Chapter 17 of Keynes's general Theory: Effective Demand Shortage Under Dynamic Optimization, International Economic Review 42, 207-236.

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