Saturday, July 6, 2013

語感トレーニングなど

最近の読書メモ.

中村明 (2011) 『語感トレーニング: 日本語のセンスをみがく55題』岩波書店
  • 日本語の痒いところをひたすら攻める本.微妙なニュアンスの違いを明らかにする中で,言葉を使って他者とコミュニケーションを図る上での勘所が帰納的に浮き上がってくる.
  • 豆知識が満載で,つい使ってみたくなるような面白さがある.試験勉強と違い,二度と使わない情報を暗記する退屈さはない.(辞書を読むような単調さはある)
  • 言葉がいかに非中立的なニュアンスをはらんでいるかが如実に分かる.かたや経済学ではxやyやfなどと抽象的な記号を用いることが通例である.日常言語が持つバイアスから距離をおき,より本質的なロジックに議論を集中することができるというメリットは大きいと改めて実感する.
  • 外国語についても本書同様の繊細なニュアンスの違いがあるはずだが,非ネイティブがそれを学び使いこなすにはかなりの努力が必要.日本語の本を読んで,かえって最近サボりぎみだった英語の勉強をせねば,と奮い立つこととなった.
  • まれに挿入されるふりがながよい.編集者の力量に敬服する.
  • 一定以上のボキャブラリと教養を持つ学生にオススメ.

沖縄インテリと日本語についてのメモ:
  • 沖縄の「知識人」が使う表現技法(特に体言止め)には独特の偏りがあるように最近感じる.
    • さらに言えば,沖縄の先哲の文章よりも,地方紙の文章に近い気がする.
  • 沖縄研究は恐ろしいほど膨大な研究が蓄積されている.しかし閉じた範囲内でしか通用しない特殊性の強いliteratureではないかと思う.それどころか特殊性こそ学問の本質,という趣すらある.
  • 言語学に詳しい誰かに,ジャーゴンの違いを越えた地域性を整理してほしいなぁ…

青木靖明 (2008)『大学生の羅針盤: 迷える大学生のために』大原出版
  • ただのポジション・トーク.カルトの勧誘と大差ない.こういう露骨に偏向した情報にとことん批判をぶつけられるような確たる教養を身につけたいものである.
  • とはいえ大学の講義に関してステークホルダー間でミスマッチがあるのは事実である.
  • 別段目的意識もなくただ与えられたカリキュラムをなぞっているだけだとつまらないのは当たり前だと思うけどな.最低限のrequirementを越えた先で何かを掴まないと.

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