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Thursday, July 28, 2016

経済政策I, 第14回, 2016

夜間にひっそりと行っているこの講義については特に情報発信はしていなかったのですが,試験前なのと,最後の講義後にいただいた質問に回答するべく更新しておきます.

これまでの講義
  • ゲーム理論の入門的な知見を学びながら,ミクロ経済政策を考える練習をする講義であった.
  • 特に講義の中心となる問題が囚人のジレンマであった.重要な応用例をいくつか学び,それらを解決する方策はそう単純ではないことも学んだ.
    • 例: 公共財供給,共有地の悲劇,逆選択,投票によるモニタリング,入札談合.
    • 解決策: 課税,社会規範の形成,シグナリング,長期的関係,など.

前回講義でもらった質問:
  • 「談合で裏切れば相手を退出させられる場合,将来独占利潤が得られるようになる.このとき協調は維持できないのでは」
    • よいところに気がつきました.分析したい状況次第では,講義で紹介した例は当てはまりません.どういった状況を考えるにしても,一般論としては,協調するメリットに比べて裏切るメリットが大きくなれば,協調はより達成しにくくなると考えられます.
    • 相手を追い出すことに成功したとしても,市場を独占し続けられるかというとそう簡単にはいきません.別のプレイヤーが新規参入してくるかもしれないからです.

週末は出張のため,質問があっても回答できないかもしれませんがご了承ください.わからないことがあれば参考文献にあたってください.

Wednesday, July 29, 2015

経済政策I, 第14回, 2015

試験おつかれさまでした.

今回仕掛けたボーナスゲームは,残念ながら81人受験した中で,高得点にチェックをつけた人が回答者の20%を上回る30人いました.したがって,全員のボーナス点はゼロです.残念!これぞ共有地の悲劇.
(普通の囚人のジレンマゲームと少し違い,成績が十分よくてボーナスなしでもSの可能性が高い人は,低得点にチェックしてもよいと思いました. )


とはいえ,ボーナスなしでも平均点は十分高く,ちゃんと勉強すれば難しくないと思います.60点未満の人はそれなりの理由があるのでは.
  • 平均75.1, 中央値76.5, 標準偏差16.4. 満点は6名いた.

ボーナスゲームで高得点にチェックをつけた人がどういう人なのか,簡単なlogitとprobitを回してみた.結果,
  1. GPAが低い人は高得点を選びやすい,
  2. 欠席が少ない人は高得点を選びやすい,
  3. 期末自体のスコアや性別ダミーは無関係,
ということがわかった(一連の診断は行っていない.観察できない個人特性も無視.).
GPAが低い人ほど平均的にはフリーライダーになりやすいというのはなんとなく直感的である.しかし出席数が多い人ほど非協力的な戦略を選びやすいのはなぜかよくわからない(なお,出席数は期末のスコアにも有意に効かない).

ともあれ,約6割の人が協力的な戦略を選んだことに驚き.本学の学生は実に牧歌的だという印象を受けた.次年度は初回講義で同じことをやり,比較群を作ってはどうかなぁ.

Thursday, July 23, 2015

経済政策I, 第13回, 2015


講義内容
  • 展開形ゲームの均衡を求める
    • タイミング的に後ろのノードから考えよう.
  • 時間不整合性
    • 事前と事後とで話が食い違ってしまうことがある.そこにつけいる隙が生まれる.

コメントより
  • 「人のインセンティブは,逆方向に働きがちだと思った」
    • 自分の思い通りになるとは限らないとは思います.
  • 「どうせ誰かがやるからいいだろう,といった考えを持つ人がいるが,そんな人をつくらないような策を考えるようにしたい」
    • 問題のすべてを属人的な要因に押しつけず,フリーライダーが生じるような制度的土壌があるのか,あったならばどうすればよいのか,を考えるようにするとよいと思います.
  • 「今を生きるより今を楽しむほうがキリギリスらしい(笑)」
    • お,おう.
  • 「講義で飛ばしたところも面白そうだったので学びたいですが…自分で読んでみます」
    • 読んでみてわかりにくいところは教えてください.
  • 「複数の均衡を求めることは難しい」
    • そうですね.でも,展開形ゲームの部分では均衡は一つしかないケースしか扱っていませんが….
  • 「半年間お疲れさまでした!」
    • こちらこそ!
  • 「期末に向けてしっかり勉強します!!」「いい点が取れるようにがんばりたい」
    • がんばって!!
  • 「理解できた」
    • おう.

Wednesday, July 15, 2015

経済政策I, 第12回, 2015

おそらく8.5章あたりは時間の都合上講義ではカバーしきれないかもしれません.試験には講義でやったところまでを出題します.
8.5章では,O'Donoghue-Rabin式のセルフ・コントロール問題を取り扱っています.たとえ試験と関係なくても,レジュメ中に挙げた参考文献,特にムッライナタンやカーネマンなどを読むとよいでしょう.

講義内容
  • 展開形ゲームの見方
    • ゲームの木からストーリーを読み取れるようにしよう.
  • 後ろ向き帰納法
    • タイミング的に最後のゲームから解いていく.
    • 脅し文句がハッタリか本気かどうかは,インセンティブに注目して見抜くべし.

コメントより
  • 「最後の問題もう一度説明して」「さいごいみわからん」「均衡を出すまでは難しい」
    • 来週も似たゲームをやります.もう一度自分でも考えてみてください.
    • 最後の例のように具体的なストーリーが特にない場合でも,ゲームの木の構造から機械的に均衡を特定できるように,解く方法論を身につけてください.
  • 「後ろ向き帰納法を習っていて,楽しいというかワクワクした.どういうときに使えるか考えるのが楽しく感じる」
    • わくわくする講義でなによりです.たとえば詰め将棋で使えそうですね.
  • 「中学数学でやった樹形図に似ている」 
    • そうそう,樹形図です.
  • 「強盗がお金を取るにはどうすれば? 刺す方が利得が高くなるケースならそうなりそうだが.」
    • 拒否されたら必ず刺すとあらかじめコミットするとよい,というのが次週のポイントです.ただ,ご推察の通り,難しい問題になります.
  • 「間違った先読みをしていた.相手の立場になってみればナッシュ均衡が探せる」
    • 相手のインセンティブも考えるクセをつけましょう.
    • 現実には刺してくるタイプの人もいますので,ケース・バイ・ケースでちゃんと対処してくださいね.
  • 「シグナリングの解釈を少し誤解していた.ありがとうございます」
    • いえいえ.

Wednesday, July 8, 2015

経済政策I, 第11回, 2015

今春から立て替えていた科研費数十万円がようやく支払われたので我が家はデフォルトを免れました.

講義内容
  • 逆選択
    • 悪いタイプが生き残ってしまい,よいタイプを取引する市場が成立しなくなってしまう.売り手にとっても買い手にとっても望ましくない状況を改善するためには,工夫が必要で,ときには少なくないコストもかかる.
  • 統計的差別
    • 相手のことを観察できないときに生じる問題を緩和するべく,観察できる情報を利用することがある.結果として,根拠のない偏見とは違った形で,差別が生じる.
  • 練習問題2やレジュメ4もアップロード済みです.

コメントより
  • 「有償の保証でも逆選択対策になるのか? 有償の場合保証なしにしてしまうことがあったが,有償でも保証がないよりはマシなのかと思った」
    • 無償か有償か,というよりは安いか高いか,がより本質的だと思います.0円でなくても保証内容に比べ安ければ,品質を担保するものになるでしょう.
      • 保証プランがいくつかあってその中から選べる,という状況では,企業側がスクリーニングを仕掛けていると考えられそうです.これも非対称情報の下で生じ得る現象です.
    • その昔「ソニータイマー」なる都市伝説があったのを思い出しました.
  • 「データから危機を察知して未然に防ぐ力は大きい」
    • 保険数理や金融工学などはまさにそうした発想が根っこにあるのではないでしょうか.もちろん外挿はとても難しい問題で,限界はあるんですけどね.
  • 「データを使うことで効率よくなりそうだけど,エラーや統計的差別のような難しい問題も起こるのだと感じた」 
    • 確率は我々にとって身近でありながらとても理解しにくく間違って使ってしまいやすいものです.しっかり勉強するといいと思います.
    • 統計的差別は本当に難しい繊細な問題だと思います.あまり深く論じられずすみません.
  • 「シグナリングは他の講義でも習った.日常にも見つけられそう.」
    • シグナリングもひとつのコミュニケーション能力だと思います.(チープトークであってもコミュニケートできることはありますが.) 社会に出る前に鍛えましょう.
  • 「シグナリングは経験があったのですぐ理解できた.経済学は難しいイメージがあったが,実は生活に関係するのでとても面白い!」
    • 難しいのは確かだと思いますけど面白いですよ!
  • 「中間は手応えがなかったので期末はがんばりたい」 
    • がんばってください.私が作るテストは難しいようです.

Wednesday, July 1, 2015

経済政策I, 第10回, 2015

近々レジュメ4もアップします.講義の進度に合わせて講義計画を練り直し中です.

講義内容
  • 規範の形成
    • 協調して利害の対立を乗り越える装置として,社会規範やモラルができた,という考え方もできる.租税のようなフォーマルな制度だけが,社会の非合理性を解決する手段ではない.
  • 2種類のエラー
    • 白を黒と誤診することと,黒を白と誤診することは定性的に異なる.両方とも軽減しようと思えば,判断材料を増やす必要がある.

コメントより
  • 「タイプIエラーとタイプIIエラーがトレードオフの関係にある,というのは意外だった.考え方が変わると感じた.」
    • 開眼する瞬間が訪れる講義になったと思うとこちらとしてもうれしいです.
  • 「2つのエラーが五分五分になることはないか?」
    • とても特殊な状況ではあるかもしれませんが,五分五分にしなければいけない理由はありません.裁判の例だと,歴史的経緯も踏まえ,タイプIエラーを防ぐことのほうをより重視しているようでしたね.
  • 「どちらがどちらのエラーなのか間違えないようにしたい」「理解できるようにしたい」「わかった」
    • 仮説検定という手続きを学ばないと,どちらがどちらか区別するのは難しいと思います.この講義ではどちらか区別できなくてもOKで,区別があるということさえ理解していただければ結構です.
  • 「普通に生活しているうえでは考えたこともなかったが,考えてみると確かにそうなるという感じ」
    • 統計的意思決定理論を勉強しましょう! (私もしたい)
  • 「どちらのエラーもやってはいけない」
    • もちろん,両方のエラーを起こさないようにすることができればそれが望ましいです.がどこかで,どちらか片方を犠牲にしないともう片方のエラーを小さくすることができない,というトレードオフに直面することになるでしょう.
  • 「試験も終わったけどこれからもがんばる」
    • がんばりましょう.

Saturday, June 27, 2015

経済政策I, 第9回, 2015

講義内容
  • 公共財
    • 囚人のジレンマやチキンゲームに似た状況が生じる.いずれにせよ均衡では公共財は十分に供給されない.
    • 公共財の応用例は身近に山ほどある.解決策はケースバイケースになるが,問題の構造を体系的に把握できるようになることが解決の一助となるかもしれない.
  • 共有地の悲劇
    • 公共財との違いは,競合性を持つこと.広い意味での「混雑」が問題になる状況.
    • 公共財と同じく,フリーライダーが非効率性を引き起こす(過剰に利用する).
  • 租税の役割
    • 個人で供給できないなら,政府が供給してはどうか.

コメントより
  • 「共有資源のうち,魚は増えるけど,石油のように増えないものも共有資源になるか?」
    • 競合性と非排除性を持っていれば共有資源になります.増えるか増えないか(再生可能か否か)は共有資源の定義とは直接関係ありません.
  • 「自分のためでなく,相手のために未来のために行動できる社会になってほしい」
    • 隗より始めましょう.
  • 「メカニズムはすごく単純だけど社会には難しい人もいて,社会を運営するのはとても大変だと感じた」
    • 大変だからこそやる価値があるんですよ.
  • 「気づかないうちに,もしくは悪いなとは思っていても,日常的にやってしまうものだと思った.話し合いでどうにかすることもあるようだが,自分が一番かわいいのでそれだけだと限界が来そう.税という制度はすごい.」
    • 利害の対立を克服して協力を実現できるような仕組みを作ることは経済学の大きなテーマです.
  • 「強制的に導かせる方法がよく使われているなぁと感じた」
    • 強制するのはあまりエレガントではないですけどね.
  • 「ナッシュ均衡を知ることで資源の枯渇や税金の役割も説明できるので面白いと思った」
    • ありがとうございます.
  • 「身近でわかりやすかった」
    • ありがとうございます.
  • 「テストでナッシュ均衡がわからなかったけど復習で理解したのでよかった」
    • テスト前だったらもっとよかったですね.
  • 「点数が知りたい」
    • 質問者は満点でしたよ.講義を生ぬるく感じていらしたら,市販の教科書でよりハイレベルな内容をぜひ独習してください.

経済政策I, 第8回, 2015

出張やらなんやらで更新するのを忘れていました.

中間試験は次のような得点分布になっています.中間層が少ない.
平均73.3, 中央値77, 標準偏差17.7, というところです.満点が3人もいました,すごい.しかし約1/4は60点未満です.

解説は省略します.昨年度よりもナッシュ均衡を探すエクササイズを増やしたのが功を奏したのか,比較的よくできるようになったと思います.昨年度は半分近くが60点未満だったので…

Wednesday, June 3, 2015

経済政策I, 第7回, 2015

来週は創立記念日のため休講です.

講義内容
  • ナッシュ均衡エクササイズ
    • お互いに最適反応になっている場所を探そう.
    • 一方的に逸脱するインセンティブを持たないことも確認できる.そのため,一度均衡に至ったら,誰もそこから行動を変えようとせず,その状態が続くだろうと考えられる.
    • 均衡が複数ある場合,どの均衡が実際に実現するかはわからない.モデルでは考慮していない何らかの要因がそれを決めるかもしれない.
  • 公共財
    • 公共財 = 非競合性 + 非排除性, という定義に照らし合わせて考えよう.
    • ナッシュ均衡では公共財は十分に供給されない.非排除性という性質が,ただ乗りするインセンティブを生み出すから.
  • 練習問題もアップロード済みです.試験に備えてください.

コメントより
  • 「5.4.の右下のゲームで(U, R)がナッシュ均衡になる理由がわからない.解説お願い」
    • (U, R)から一方的に逸脱するインセンティブがあるかどうか確認してみましょう.
      • プレイヤーA: 相手がRのとき,U以外の戦略を選ぶとどうなるか → Mだと4, Dだと2, の利得 → Uを選ぶ(利得8)のがベスト.
      • プレイヤーB: 相手がUのとき,R以外の戦略を選ぶとどうなるか → Lを選ぶと6 → Rを選ぶ(利得6)ときと変わらない → プレイヤーBにとってはどちらを選んでも結果は変わらないので,あえてナッシュ均衡から逸脱する理由はない.
      • 以上から,どちらのプレイヤーにとっても,自分から戦略を変える積極的な理由はないことが言えます.なのでナッシュ均衡と呼べます.
    • プレイヤーBにとっては,相手がUのときの最適反応はLまたはRになっています.同ページ左真ん中側のゲームと同様に,最適反応は1つとは限りません.
  • 「ナッシュ均衡はだいたい最悪な状態なのか?」
    • 最良の状態に一致する保証はありませんが,「だいたい最悪」になってしまう必然性もありません.自分で適当な利得表を書いてみて確かめてみてはどうでしょうか.
    • 最悪かどうかではなく,より望ましいシナリオがあるかどうか,のほうが政策的には重要です.
  • 「ナッシュ均衡を探すのは難しい」「練習が必要」「複数あると難しく感じる」「全然意味がわからなかった,理解するまでに時間がかかりそう」
    • 慣れが必要です.利得表の読み方,最適反応やナッシュ均衡の定義,など基本に立ち返って考え直してみてください.
    • わからないのは恥ずかしいことでないので,機会を見て練習問題を解くか質問するかしてください.
  • 「難しいところはなかった」「全部わかった」
    • 飲み込みが早いですね.
  • 「フリーライダーにならないように気をつけたい」
    • 公共財の実例を他にもいくつか考えてみるとよいと思います.
  • 「公共財を供給されるようにするにはどうすれば?また利得をいじるのか?」
    • 対策についてはテスト明けの講義でいくつか紹介する予定です.
    • おっしゃるとおり,利得表自体を書き換えるのも一つの手です.プレイヤーが直面するインセンティブの構造を打破するのはたしかに効果的です.その具体的な手段はいくつかあります.
    • 協力しない人を攻撃する,協力したら褒め称える,などは実社会にも観察される対処法です.
      • 以前も述べましたが,この講義で繰り返しゲームをカバーするかどうかはまだ考え中です.

最近Mathematicaばかり回している.もはや,大学目の前にあるATMを見ただけで,解を探索するためのコードを連想する.ほとんど病気.
いろいろ使っていると,こんなことまでできるんだ,と感動することも多いけど,他のソフトウェアも学習した方が研究の幅が広まってよい気がする.

Thursday, May 28, 2015

経済政策I, 第6回, 2015

私はゲーム理論家ではありませんが,ご冥福をお祈りします.

講義内容
  • ゲームのルールを変える
    • 利得表自体が変わればゲームの結果も変わりうる.望ましくない結果を変えたければ,ゲームの仕組み自体に手を入れることも必要.しかし,闇雲にやってもうまくいかない可能性がある.ゲームの構造を見抜くことが大事.
  • 最適反応とナッシュ均衡
    • 支配戦略の議論が「相手の出方にかかわらず…」というものだったのに対して,今度は「相手の出方に応じて…」となっている.
連絡
  • 中間試験用の練習問題をアップしました.
    • 試験範囲は次回やる範囲までとします.

コメントより
  • 「ナッシュのニュースを見たとき驚いた.まだ生きていたんだ!」
    • 伝説的偉人と同時代に生きていたと思うとなんとなくうれしいものですね.特にナッシュはノーベル賞受賞者の中でも別格の存在でした.
  • 「じゃんけんやPKは同時に行動を起こすので,相手の反応を見て行動することにはならないのでは」「後出しは強い」
    • 相手の行動を見て自分の行動を決めることはできません.(同時手番ゲームと言います.) 後出しができるわけではありません.しかし,事前に考えをこらしておくことはできるでしょう.
    • ポイントは,「もし相手がこういう行動を取ったとしたら」と仮想的な状況を考えることです.実際に相手を観察してから決めるのではなく,相手が仮にこうしたらどうすべきか,を整理しています.
      • 「もしAならばB」という仮定法を使った議論をしています.Aが現実に起こるものだとは限りません.「もし」を使って論理的に考える技術を伸ばしましょう.
  • 「囚人のジレンマから抜け出すために,最適反応をすることで,自分の利益が最大化できる」
    • これは間違いです. 最適反応を選んで自分の利益を最大化しようとしたら,かえってうまくいかなくなる(自分の利益が最大化できない),というのが囚人のジレンマです.
    • ナッシュ均衡は,何らかの望ましい状況を記述するものではありません.(適切な知識と情報を持つ合理的な)プレイヤーたちが取るであろう行動を記述するものです.
  • 「被支配戦略がいまいち理解できなかった.得をしないものを選ばなければいいのか?」
    • 得をしないものをあえて選ぶ理由が(今考えている状況下では)ありません.
    • 得をしないものを選ばないものとして無視としたら,じっくり検討すべきシナリオを減らすことができます.
  • 「ナッシュ均衡は理解できた.が本当はもっと奥が深いと思うので次回からもがんばる」
    • その通り,奥が深いんですよ.
  • 「最適反応は生活の中で意識せずとも使っているなと思った」
    • フロイトよろしく,無意識を意識すると面白いですね.
  • 「最適反応は,すごく当たり前のことなのでわかった.ナッシュ均衡は聞いた感じ難しそう」
    • ナッシュ均衡は来週以降もっと実例を見ていきます.
  • 「最適反応は単純な感じだけどちゃんとした戦略なんだと勉強になった」
    • 文字通り,最も「ちゃんとした」戦略ですよ.
  • 「まだ支配戦略・被支配戦略を理解するのは難しい」
    • ナッシュ均衡をいったん勉強した上で,改めて支配戦略の議論に戻ると理解しやすくなると思います.
  • 「しぶしぶ行動に移すしかない,という例だと少しだけ理解できた.」
    • その通りです.
  • 「もっと勉強してできるようになりたい」「よくわからなかったので復習してから質問したい」「簡単そうで意外と難しい」
    • ぜひ.
  • 「お疲れ様です」
    • ありがとうございます.

Thursday, May 21, 2015

経済政策I, 第5回, 2015

本を出すと何かと大変だ.出版を生業にしている方々を改めて尊敬する.

Adobe AcrobatがPro DCにアップデートされてから困った事態が発生している.PDFにセキュリティをかけるときに「互換性のある形式」が「Acrobat 6.0およびそれ以降」しか選べなくなってしまった.しかし私がLaTeXで作るPDFは「Acrobat 5.0およびそれ以降」でないとセキュリティをかけたとたんにPDFファイルが破損する(理由は不明)ことが多いのだ(たまに破損しないことがあるがやはり原因不明.同じtexファイルをコンパイルしても破損するときとしないときがあるし,Hello, World!だけでも破損するので,コーディングのせいではないと思う.W32TeXの旧マシンでも,TeX Live 2013の現行マシンでも生じるので,ディストロの問題でもない.).
そういうわけで,古いAcrobatが入ったマシンでないとセキュリティ付きPDFを作成できないでいる.講義資料を作成する上でとても不便である.解決策がまるで見つからないし対策する時間がない…



講義内容
  • 財政再建の先送り
    • 今回見た例では,囚人のジレンマと構造はまったく同じ.
    • 人間,苦しいことは後回しにしてしまいがちである.戦略的環境の下では,こうした事態が合理的に引き起こされてしまう可能性がある.
  • 支配戦略と被支配戦略
    • これは選ぶしかないだろう,という戦略と,これだけは選んではいけない,という戦略.
  • 繰り返し消去
    • 被支配戦略は,合理的なプレイヤーなら最終的にそれを選ぶわけがない(もっとよい戦略がある).こうした選択肢を排除していくことで,合理的なプレイヤー同士で行われるゲームの帰結を導くことができることがある.

コメントより
  • 「最後なぜ戦略「上」を考えないのか?」
    • 相手が必ず「左」 → 「上」と「中」 を比べると,「中」のほうがよいから,です.説明が少し足りませんでした.
  • 「両プレイヤーは支配戦略または被支配戦略を持っているのか?」
    • いつも持っているとは限りません.こうしたケースを分析する手法は次の章で学びます.
  • 「多くの分野で使える考え方」 
    • ぜひ使ってください.
  • 「少し混乱した」「難しかった」「むずかしい~」「難しかったけど少し理解できた」「後半途中からわからなくなった!!」「選択肢が増えると表の読解も難しくなる」「囚人のジレンマよりは難しかったが,内容自体はそんなに難しくはなかった」「ゆっくり考えてみると楽しくできた」「落ち着いて考えるとわかることがたくさんある」「内容は難しかったが説明はわかりやすかった」「練習が必要」「よくわかった」 
    • 私も講義中にヤバそうだと思いました.定義と照らし合わせながらじっくり考えてみてください.
    • 表を読み解くのは一苦労ですが,我々は日常的にも似たような考え方をしているかもしれませんよ.あり得ないシナリオははじめから考慮しない,というのが基本線です.
  • 「数学推理好きなので面白かった」
    • 経済学に向いているタイプかもしれませんね.ゲーム理論は理詰めで考えることが特に要求される分野である気がします.
  • 「ゼミでやったことを復習している感じ」
    • 市販の参考図書などで次々と新しいトピックも自習してください.
    • あまり講義のネタがないのはご容赦ください.
  • 「どれから消していけばいいのか一人で見つけるのは難しい」
    • たしかに.戦略の中から2つ選んできて比較していきますので,今回のケースでは計4パターン比較する必要があります.4パターンぐらいなら,有限の計算時間で終わらせることができるでしょう.場合分けをいとわない忍耐力は大切です.
  • 「テストの問題形式はどうなるの?」
    • 未定です.履修者数が多いので長文の論述などは課しません.

Thursday, May 14, 2015

経済政策I, 第4回, 2015

講義内容
  • 囚人のジレンマ
    • この単純な例から得られる洞察は計り知れない.
    • 利己的にふるまうことが,社会にとって望ましい結果をもたらすとは限らない.こういう状況では熟慮された何らかの経済政策で誰かをもっと幸せにする余地があるはずだ.
    • 信頼したくても相手が裏切るかもしれないし,相手も自分が裏切るかもしれないと思っているかもしれないし,自分が裏切るかもしれないと思っていることを相手に読まれていることを踏まえて考えていることまで読まれるかもしれないし,さらにそう思っているかもしれないことを相手も読んでいるということも読んでいるということまで読まれているかもしれないし…と推論の果てまで思考をこらし始めるとグルグルとわけがわからないことになるかもしれない.ゲーム理論はこうした状況をも扱うことができるように構築され,また改良され続けている.
  • 利得表の読み方
    • ゲームはプレイヤー・戦略・利得からなる.この3つに着目して整理しよう.

コメントより
  • 「自分が囚人だったらと考えると複雑な気分だった.別の角度から物事を考えるにはとてもいい方法だと感じた」
    • プラトンよろしく,我々は洞窟の奥に囚われていて,真理の片鱗をぼんやりと認識しているだけなのかもしれません.知的に閉ざされた状態から脱したいものですね.
  • 「相手も同じことを考えている場合もあるので,自分の思い通りにならない.相手の裏をつくような戦略,または互いの利得が合致できるような戦略が必要になっていくのかなと思った」
    • 裏をつくより,抜け駆けして裏をつくようなインセンティブがないですよ,という状況をお互いに作り出すとよいかもしれません.
  • 「身近なことにもこの理論は当てはめることができると思った」「いろんな例を見ていきながらマスターしていきたい」
    • 例は連休前にいくつか挙げたとおりですが,今後の講義でもたくさん出てきます.
  • 「自分なら自白すると思う.先生だったらどちらを選ぶ?」
    • 普通の人よりは利己的に行動していますのでおそらく自白します.でも相手が絶世の美女なら答えは変わるでしょう.
      • 社会的利益に反するにも関わらず利己的に行動する人を見ると,とてもガッカリします.自分のことは棚に上げてそう思っているのでやはり私は自分勝手なのだと思います.
    • 実験経済学という分野で,人間が実際のところ何を考えどういう状況で何を選ぶのか,を検証する試みが行われています.
  • 「高校の頃友人3人と講座をサボったとき,他の2人に自白されみんな怒られた.自己中や利益追求は悪いだけではないです.」
    • リアル囚人のジレンマは珍しい経験ですね.
  • 「わかったし表も読めるようになった」「単純だけど考えないと難しかった」
    • 表の読解はコツをつかめば単純です.でもそのメッセージを深く考えるのは単純ではないですし大切ですね.
  • 「知ってはいたが,二人とも否認すればよいと思っていた.両方のプレイヤーに裏切るインセンティブがあり,相手を信用できるに,二人とも自白してしまうということでとてもおもしろいなと思った」 「話し合うか事前に決めておけばよい感じになると思った.それでも自分のためだけを考えると難しい問題になると思う.相手を信頼し思いやる気持ちがあればうまくいくのであれば,そのための政策を考えていくのが大切だと思った」
    • 我々が日常的にイメージする「信頼関係」が具体的にどういう意味を持っているのか,改めて考え直すヒントをゲーム理論は提供しているのかもしれません.
  • 「結局人は自分が得するように選択をするんだなぁー」「相手のことを思っていれば自白しないのでは」
    • 人間はある程度は利他的に行動します.でも,自分を犠牲にしてでも人のために何かをするというのは難しいですし,他人に犠牲を強いることはなおさら難しいと思います.
    • 利己性はとても古くから大きな哲学的課題として人類の前に立ちはだかっています.たとえば児玉聡(2012)『功利主義入門: はじめての倫理学』筑摩書房,は読みやすく経済学ともリンクしており面白かったです.
  • 「信頼関係がない限り難しいので,ほとんどの場合で囚人のジレンマは成り立ちそうだと感じた」
    • 罠にはまったまま抜け出す術を見いだせないような状況は多くあるでしょうね.
  • 「懐かしい」「久しぶりに思い出すことができた」「2年のときに習ったけどカンペキに忘れていた」「1年生の頃に習っていた」「何かの本で学んだことがある」「よくわかった」「おもしろいのでもっと知りたい」
    • 私が初めて学んだのは高校生の頃でしたが当時はよく理解できませんでした.
  • 「ライアーゲームと似ている」 
    • 途中で読むのをやめちゃったので….
  • 「パターンが多くおもしろかった」
    • 場合分けはとても大切な知的作業です.苦にせず挑んでほしいです.
  • 「業界地図の本は役立ちそう」
    • お役に立てれば光栄です.様々な仕掛けが施されているので,読み手の読解能力も問われるかもしれません.
  • 「元ネタは芸人ですか?」
    • 特定のモデルはいません.

経済政策I, 第3回, 2015

更新が遅くなってしまいました.

講義内容
  • 囚人のジレンマの例3つ
    • 世の中には様々な問題があるけれど,これらには共通する構造的な問題点があるかもしれない.構造を理解して,様々な文脈に応用できるようになりたい.この講義では,ゲーム理論の知見を経済政策へどう応用できるか,を重点的に取り上げる予定.
      • 登場人物のインセンティブを丹念に解きほぐし,それらの相互作用を掴むことはとても大切.
    • 囚人のジレンマは,個人の自由に任せるだけではうまくいかない最たる例である.前回までの話を思い出せば,そういう場合にこそ政府の出番があることがわかるはず.

コメントより
  • 「経済学を勉強すると性格が悪くなるということが印象的」 
    • 倫理学もひどいそうです.ある研究いわく,倫理学の本は図書館でなくなりやすいとか(Schwitzgebel 2009).倫理学徒は非倫理的と.
  • 「ゲームはイメージと全然違った」 「日常生活でもありそう」「納得いくおもしろい話」「おもしろかった」
    • どうせやるならおもしろく勉強していきましょう.
  • 「企業の戦略がすごい」「企業にメリットがありそう」
    • 死活問題ですから.
  • 「忍耐力は大事だと感じた」
    • いわゆるブラック企業に就職してしまった場合,あえて耐える必要はないと思います.忍耐自体はたしかに大事ですが,耐え抜くに相応しい見返りが望めないこともあります.そういう場合は耐えずに別の道を模索したほうがよいでしょうし,都合よく利用されないように忍耐以外のスキルも高める努力をしたほうがよいと思います.
  • 「協力しなければいけないときがあるから,客観的にものを見る力を身につけたい」 「話し合いが大事そう」
    • まさに.でも単に話し合うだけで解決できる問題ばかりではないかもしれませんね.
  • 「ライカムも産業誘致政策の一つ?」
    • 個別の事情についてはよく知りません.私の知る限り,基地の跡地利用は政府が主導権を握って構想・計画することが多いようです.でも周辺の他の自治体とイオンモール巡る駆け引きがあったのかはわかりません.
      • 大型ショッピングセンターの出店を嫌う自治体もあります.
  • 「もっとスピードあってもよかった」「ちょっと難しかった」
    • 話がグダグダになってしまった感があり反省しています.ただその代わり,キリが良いところで終えることができたということでご容赦ください.
  • 「ゼミでやったので復習みたいな感じ」
    • ゼミでやったことと重複するところがかなりあります.退屈だったら別の勉強をしていてください.
  • 「同棲はいろいろ大変なんだな」
    • 相手を見つけること自体が…

Reference
  • Eric Schwitzgebel (2009) Do ethicists steal more books? Philosophical Psychology Volume 22, Issue 6, 711--725.

Wednesday, April 15, 2015

経済政策I, 第2回, 2015


講義内容
  • 実証 vs. 規範
    • 区別して論じることが大切.
    • 経済学ではどちらのアプローチも深く掘り下げられているものの,後者のややこしい議論はいったん脇に置いて前者の分析を進めるタイプの研究者が多いように感じる.(ただし前者がより重要だという先験的な根拠はない.)
  • 自然主義的誤謬
    • 事実そのものから規範的な結論を導くことはできない.論証をするときにはその形式にも注意が必要.
  • 効率性 vs. 公平性
    • 価値観が対立することはよくある.経済学だけではこの対立に決着を付けることができない.本当に大切な決断をするときには,他の何かも必要になる.
連絡
  • 来週あたり教室変更があるかもしれません.
  • 5月1日は休講にします.
  • 次回はレジュメ2に突入すると思います.
  • 履修登録は今週末で締め切りになります.履修するかどうかは慎重に検討してください.

コメントより
  • 「自然主義的誤謬は自分でもよくやる」「よく見かける」「たまにいる」「気をつけたい」
    • 意図的にこうした間違いを犯す人もいますので騙されないように.
  • 「イエスかノーかで答えられないものを細かく考えさせられる授業.深い思慮を身につけたいし,講義はとてもタメになる」「自分自身の価値観を養うことが大切だと思った」「理由付けにはきちんと論理的な考え方を反映するようにしたい」
    • 個人的には,答えを焦らず慎重に考えを深めるようにしています.しかしそのせいで,判断が遅れ後悔する瞬間もありました.イエス・ノーがよくわからない不透明な状況でも果断に決められるようになりたいとも思っています.
  • 「経済学はより効率的に考えるものだと思っていたので驚き」
    • とてもnuancedな問題です.効率性を重視するのは確かですし,効率性を捨ててまで他の何かを優先するというときにはよほど深刻な事情が要求されます.一方,効率性だけが大切ではない,ということ自体にはおそらくほとんどの経済学者が合意すると思います.
      • 効率性だけを追い求めても,実践的な政策課題を解決できるチャンスは極めて少なくまた難しいものです.(たとえばStiglitz and Rosengard 2015. 最近新しくなったんですねこの本.)
  • 「遊びが学問に活かされることもあると思うと楽しくなった」
    • 学問は暇を持て余した神々の遊びという側面も.
  • 「1日は講義がよかった」
    • 申し訳ないです.
  • 「マーシャルかっこいい」「いい話だー」
    • ですね.
  • 「駅の話めちゃくちゃ楽しかった」「けっこう面白かった」「少し楽しい」
    • 簡単な例ですが,学問の限界点が垣間見える地平まで連れて行ったつもりです.楽しんでもらえて幸いです.
  • 「AとBの周りの事情も見て判断したい.だが他の考え方・見方も参考にしたい」
    • よい考えだと思います.政策を議論するときには,客観的な判断材料を増やし,様々な角度から検討したいものですし,自分以外の考え方にも謙虚に耳を傾けたいものです.
  • 「金持ちの近くに建てればよいと思っていた」
    • どうりで我が家は交通の便が悪かったのか…
新学期は慌ただしいですねぇ.

参考文献
  • Joseph E. Stiglitz and Jay K. Rosengard (2015) Economics of the Public Sector. WW Norton & Co. (藪下史郎訳『スティグリッツ公共経済学』東洋経済新報社)

Wednesday, April 8, 2015

経済政策I, 第1回, 2015

今年度もよろしくお願いします.沖縄はいよいよ夏ですね.

本blogでは講義内容のおさらい,補足,アナウンスなどを行う.blogまでチェックしないと単位が取れないということはないので,いちいち見ていなくても問題はない.  本講義に関するエントリーにはmicropolicylectureというラベルをつけておく.必要に応じて活用していただければ幸いである.

講義内容
  • 概要説明
    • 教室変更のアナウンスがあるかどうか随時確認を.
  • なぜ経済政策?
    • 問題意識を広く持とう.意識を持つだけでなく,問題解決に貢献できるようになろう.
  • 自由と経済政策
    • 個人の自由を尊重することが社会にとってよい帰結をもたらすときと,そうでないときがある.
      • 時間の都合上詳しい話はしていないが,気になる人はレジュメやミクロの教科書を参照あれ.
    • 自由を最大限尊重し政府の介入を忌避する制度もあれば,自由の負の側面を深刻に捉え積極的に政府が介入する制度もある.どちらの制度が正しいと容易に結論づけられるものではなく,複眼的に検討することが大切だと思う.

このblogでは出席カードにいただいたコメントに,すべてではありませんが,返信しています.ご了解下さい.

コメントより
  • 「政府が介入すれば安心でき信頼できるとイメージしていた.が裏目に出て失敗する事もあると聞き驚いた」 「知識のある人がない人を騙すような政治が横行していると以前から感じていた.」
  • 「政府の介入にも限度があり,見極めが大事.安倍政権に文句ばかり言っていたけど,政策をすべて成功させるのはいかに難しいか学んだ.」
    • 銀の弾丸(silver bullet)は存在しない,という言い回しがありますが,世の中スッキリ解決できるような易しい問題ばかりではありませんね.でも,批判すべきところはしてもよいのでは.
  • 「個人の自由は社会にとってよいのか悪いのか,犯罪は本当に悪いのか.昔いろいろ考えたことがあった」「ほどよい自由がよいなと思う」
    • 思想・哲学の授業ではないのであまり深入りしませんが大切なテーマだと思います.法哲学やミクロ経済学で膨大な研究の積み重ねがありますので,自分の頭でぼんやり考えるだけでなく,いくつか本を手にとってみてはいかがでしょうか.
  • 「中国やマレーシアあたりはどうなんだろうと気になった」
    • 言及し忘れましたが,マハティール・ビン・モハマド(マレーシア)や最近亡くなったリー・クアンユー(シンガポール)など,東アジアは開発独裁と呼ばれるタイプの独裁体制が敷かれていました.次回補足します.
  • 「いろんな主義があるから国同士の対立が収まらないんだな」 
  • 「勉強すればするほど高い地位を築くことが必ずしもできるわけではないが,生きる上で就職する上で必ず自分の糧になると思っている」
  • 「興味を持った」「意外と知らないことがたくさんある」「がんばりたい」「とてもおもしろい」「半年間よろしく」「社会の仕組みについて理解できるようになりたい」「たくさん本を読んで勉強したい」
    • よろしくお願いします.がんばりましょう.



Thursday, July 24, 2014

経済政策I, 第15回, 2014

期末試験お疲れさまでした.いよいよ夏休みです,有意義に過ごして下さい.
  • 71人受験,平均79.75, 中央値82.5, 標準偏差25.36. 
  • 中間試験が難しかった分だけ易化した.文句なしの満点が2人,33人は90点以上である.
  • 得点分布は以下のように,90点以上の層がとても厚い.練習問題を解いたかどうかで大きく分かれたのだろうか.
  • GPAと出席数以外に,期末の成績に影響しそうな変数は見当たらない.
  • 中間試験や出席状況も加味した最終的な成績評価は以下の通り.Sが24人,Aが12人と,期末試験を受けた学生の約半分はA以上の予定.期末試験を受けたがあえなくFとなるのは13人(そもそも出席数が足りてない,中間試験未受験,なども含む).
  • 最終的な成績も,GPAと出席数以外に有意な関係を持つ変数は見当たらない.
  • 試験問題にも出題した通りの理由で,追試や救済は行わない.

間違いの多かった問題の略説: (追記: 役目を終えたので削除しました.)

講義全体を通じての反省:
  • 試験的に昨年度と内容を大きく入れ替えたこともあり,次年度以降に向けて反省すべきところや自分の力不足を痛感するところも多かった.
    • 先のことまで考えろ,と教えたわりに,カバーしきれないほど盛りだくさんなレジュメを作成してしまった.もっと内容を取捨選択できたはず.
    • 中間試験のタイミングが悪かった.講義の進行に無駄が生じたし,履修取り消しが間に合わなかった学生も多かったかもしれない.
  • 自分の研究能力向上に役立つことを期待していたが,当てが外れたかもしれない.下手に欲を出さないことだ.
  • 個人的には国際経済学Iよりもこの講義のほうが学び甲斐があるし数学的な要求も緩やかだと思うのだが,受講者からするとどうなのか気になる.
  • この講義に限ったことではないが,もっと平易な言葉でゆっくり語れるようにトークを洗練させたい.学生のボキャブラリという羈絆に精神を消磨している.(我ながらこういう衒学的なスタイルから脱せないことに忸怩たる思いがある.)


Wednesday, July 16, 2014

経済政策I, 第14回, 2014

よく利用している近所のスーパーで,面識のない学生(バイト)に観察されていたことが判明した.仕事とプライベートがinseparableなのは精神衛生上よろしくない.
侘しい台所事情が筒抜けになっていると思うとやるせないので今夜は石垣牛を焼いている.

講義内容:

  • 時間不整合性
    • 後になって手のひらを返す,と見透かされると,事前に決めた約束が思うように機能しなくなってしまう
    • 約束は守りますよ,とコミットし,実際に守る,というところを見せていく必要もある.
    • 政府が善意でやっていることがかえって仇になる,という意味で政府の失敗にもつながる.
  • フォーク定理
    • 一回こっきりの関係では終わらない場合,新たな戦略的関係の展望が開ける.

次週:

  • フォーク定理を補足した後,期末試験を実施します.
  • 練習問題をアップロードしておきました.適宜活用してください.
  • 試験および成績について,私は一切事後的な救済は行いません.もし何らかの事情があれば,試験前に相談してください.


コメントより:

  • 「経済を学ぶことで自信になった」
    • 微力ながら助けになれたのであれば光栄です.
  • 「心理学的」
    • ミクロ経済学ではいかに人が考え意思決定を行うかが永遠の一大テーマになっています.
  • 「テストがんばります」
    • 難しいかもしれませんが諦めずに挑んでください.

Wednesday, July 9, 2014

経済政策I, 第13回, 2014

台風のせいで出席できなかった方には申し訳ないですが,普通に講義を進めました.台風の被害は火災保険である程度対応できますが,講義を欠席したダメージは同じ講義を受けている真面目な友達がいないと軽減できないので厄介ですね.

講義内容

  • 後ろ向き帰納法
    • 後ろの問題を先に処理する.
    • 点と線を使ってゲームの流れを整理したものがゲームの木である.これを読解できるようになろう.
  • サマリア人のジレンマ
    • 困った人を助けずにはいられない政府がいれば,それに甘えるインセンティブが生じる.

次週

  • レジュメ4の残りをやります.来週カバーしたところまでを試験範囲とします.レジュメで用意した分全てはできないかもしれません.

コメントより
  • 「実際には利得が変化するので必ずその答えになるとは限らないけども」
    • 現実にそのまま当てはめると危険な目に遭うかもしれません.注意してください.
  • 「後ろ向き帰納法は面白い」
    • 実践できるといいですね.
  • 「経済政策の本って売ってますか? 研究室に聞きに行っていいですか?」
    • 参考図書はレジュメ1で紹介しているとおりです.いくつかは図書館にも入れてもらっています.
    • オフィスアワーは金曜1限に設定しています.こちらの都合次第ではありますが他の時間でも対応します.
  • 「練習問題は作りますか?」
    • 予定はしています.ただしアップロードにはもうしばらく時間がかかるかもしれません.

台風で休講になると喜ぶのはなぜだろう.離散的なcake-eating problemの応用で考えられそうですがいかがなものか.

Saturday, July 5, 2014

経済政策I, 第12回, 2014

講義内容

  • 逆選択とその解決策
    • タイプが混在しているからといって紹介したシナリオ通りに逆選択が必ず生じるわけではない.
    • 情報を正しく伝えるには,時にはコストをかける必要がある.
    • 年金の逆選択問題を実際に検証するのは難しいものの,大石 (2007) などがある.
  • 統計的差別
    • 完全には通じ合えないから,簡便なものの見方をしてしまう.時には非効率な状況をも招く.
    • 問題の本質は情報のあり方であって,精神や倫理観の欠如ではないかもしれない.
  • 両性の争い
    • 来週以降は,手番が大事なゲームを考えたい.

次回
  • 期末テストは23日の予定です.

コメントより
  • 「クーラーなんとかして」
    • 教室内から室温をコントロールできないんですよね.
      • ありがたくも事務方に頼んでくれた学生がいたようですが解決には至らなかったようです.
    • 室温や在室人数をモニターして自動的に室温調整をしてくれるようなスマートな設備に投資するといくらかかるんでしょうね.
  • 「統計的差別がわかった」
    • 対策は難しいですね.
  • 「好きなタイプは?」
    • ご覧のとおり選べる立場ではありません.
参考文献
  • 大石亜希子 (2007) 『公的年金加入における逆選択の分析』千葉大学公共研究

Wednesday, June 25, 2014

経済政策I, 第11回, 2014

講義内容
  • 温暖化対策
    • どちらのエラーがより深刻なのかは,ケースバイケースで考える必要がある.
    • 講義中には法の世界で冤罪抑止を重視する理由はよくわからないと言ったものの,無実の人を(時には権力が)陥れようとすることがいかに危ういかを歴史から学んだのかもしれない…と思った.
  • 逆選択
    • 良いタイプと悪いタイプが混じっているときには,悪い方が増えて良い方が減っていくように動きそうだ.
    • 良いものを作れば売れる,と思っていると大間違い.でも,その間違いにみんなが気づいてしまうと,社会的に非効率な結果が待っているかもしれない.
次回
  • レジュメ4に入る予定です.印刷するなどして用意をお願いします.
  • 後期何しようか考え中.シラバス(昨年度とほぼ同一)よりももう少し前提知識を要しない楽しい講義にするにはどうすればいいんでしょうかねぇ.

コメントより
  • 「環境問題にも応用できるとは驚いた」
    • 統計学から得られる知見は様々な場面で有益だと思います.確率に抵抗がなければ勉強してみましょう.
  • 「温暖化の話難しい」
    • ぐだぐだですみません.
  • 「逆選択はいろんな場面で起こりそう」
    • 実生活でもしばしば巻き込まれます.損しないように振る舞いましょう.
  • 「クーラー寒い」
    • すみません.現在の教室だと室温はこちらで微調整しかねるので,窓を開ける・席を移動する・アウターを用意するなどして自衛していただければと.