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Saturday, June 3, 2017

沖縄の業界地図2017 forthcoming

すでにテレビで取り上げていただきましたが,もうじき『沖縄の業界地図2017』が出ます.
    Qプラスリポート 大学生が作った“沖縄の業界地図”とは

明日から県内の書店に並び始めるようです.近日中にAmazonや楽天Booksなどオンラインでも買えるようになるようです.


こういう表紙です:

本の販促用ウェブサイトも用意しました.どういう本かチラ見できます.
    『沖縄の業界地図』特設ページ 
まだところどころ工事中ですが,時間のあるときにテコ入れします.学生がfacebookやtwitterでも広報活動をしているようですが温かく見守ってあげてください.

基本的に前著『沖縄の業界地図』(Link 特設ページ) のアップグレード版です.2年間の準備期間を経て,今回はところどころパワーアップしています.
  • ボリュームup… 掲載企業数が800社程度から約1300社へ,ページ数が118ページが160ページへと増えています.
    • ページ数が増えたせいで限界費用が高まり,価格もわずかばかり値上げいたしました.ご迷惑おかけします.
  • インタビューも充実… 前著に比べて企業に突撃インタビューした分が増えています.象牙の塔からはわからない企業の生の声をお楽しみください.
コンセプトは前著を踏襲しています.前著と重複するところも多々あり目新しさは霞んでいるかもしれませんが,前著を手に入れた方もぜひ手にとってご覧ください.


一方で,前著には載っていたけど今回は載っていない業界・企業もあります.何らかの恨みや含むところがあるわけではなく,単にこちらの能力の限界で調査し載せる余裕がなかっただけです.申し訳ありません.

本書は2015年度から2016年度にかけてのゼミ活動の成果であり,およそ2017年2月頃までに入手できた情報に基づいて書かれています.財務情報は主に15年度のものです.16年度の決算も次々発表されている時期ですが,最新のものというわけではないのでご注意ください.この冬・春は研究に時間を割いていたこともあってリリースが予定より若干遅くなりました.
(最後のページに執筆者一覧がありますが,年度が1年ずつ間違っていました…学生諸君,すみません.)

前著よりも教員の介入が減っています.学生にかなりの程度任せっぱなしにできたので助かりました.先行研究があるってすばらしい.プロの分析に期待している方には少し物足りないかもしれませんがご容赦ください.前著よりは都市経済学色が控えめになっています.

今回インタビューした中にとあるIT企業の社長がいます.彼のほうが私よりも正確にeconomicsの核心を語ってくれています.これにはとても驚きました.学生が書いてきた原稿はだいたい朱筆で埋め尽くされるのですが,このインタビューは私のほうではほとんど何も触っていません.教員の出る幕なしです.詳しくは直接手にとってご確認ください.


いったいどういう本なのか改めてちゃんと紹介したほうがいいようにも思いますが,前著と同じ路線なので,前著が出た頃の記事を参照ください.
    沖縄の業界地図forthcoming

今やたらめったら忙しくてちゃんと紹介する暇がないので,前著が出た直後に,我がゼミの紹介文として弊学の広報誌(15年の夏頃)に寄稿した文章をそのまま以下に載せます.


沖縄ビジネス界に旋風を起こす
多くの大学教員は「夏休みは仕事がなくていいはずよー」と言われた経験を持っている。たしかに、長期休暇がやってくると教員たちの淀んだ目が輝きを取り戻す。でもそれは暇を満喫できるからではなく、研究を専らにできるかけがえのない時間だからだ。研究者にとっては仕事がないどころかむしろ「かき入れ時」なのである。

夏休みほどではないにしても、ゴールデン・ウィークもワックワクな瞬間だ。毎日研究室に缶詰、ムフフ。でも、今年は研究以外にも楽しみがあった。五月四日、ゼミで作った書籍『沖縄の業界地図』が県内の書店やコンビニに並び始めたのである。

一年前の四月、春粧のみぎり、最初のゼミ。私は黒板にでかでかと「本」とだけ書き殴り、「今年の目標はこれ。本を作ろう。売れる本を作ろう。売ろう。」と昂然と宣言した。戸惑いを隠せない学生たちを尻目に、担当範囲やプレゼンテーション(と懇親会)のスケジュールを決めて、プロジェクトは動き出した。人手が必要なこともあり、豊川明佳先生のゼミと共同で進めることとした。

『沖縄の業界地図』は名前の通り、毎年書店を賑わす「業界地図」のローカル版だ。県内の様々な業界の勢力図が一望できるようになっている。企業人や就職活動中の学生を中心に、需要は間違いなくある。だが供給がなかった。全国的にもユニークな取り組みに挑む好機だ。

教員が果たすべき使命は、沖縄の未来を切り拓く人材を育むことだ。何か新しいアイディアを産み出し形にできるよう、創造力と実行力を鍛えねばならない。我々のゼミは、アイディアを実現するというイノベーティブな知的営為を学生が実体験する場になった。試行錯誤を繰り返すことを厭わず、未知の事態に慌てず、チームと歩調を合わせ、前向きに仕事に取り組む、新聞にも日々目を通す。こうした技能を楽しみながら伸ばす機会を提供することができたと自負している。

我々はただの思い出作りではなく、リスクを背負って市場に価値を問うという真剣勝負を仕掛けた。二千部を完売するのに一ヶ月とかからなかった。美栄橋ジュンク堂では三週連続ランキング一位を記録した。ありがたやー。売れるものを作ろうという目標は見事達成されたのである。



1stアルバムは初期衝動に溢れた伝説の激レア名盤,だけど2ndでいろいろ見失ってコケた,みたいなよくある若いバンドみたいにならないことを祈ります.
1stは沖縄に対する「新感覚」さが一つの魅力になっていました.今回は1stを踏襲しているので「新感覚」さは薄れているかもしれません.さしずめKing Crimsonの「ポセイドンのめざめ」でしょうか…?
(ちなみに今回音楽ネタがところどころ紛れてますが,全部学生の仕業です.本当です.)

なお,3rdは出しません.そろそろ別のイノベーティブなことに取り組みたいと思っています.何より研究にもっとエフォートを割きます.

Saturday, May 2, 2015

『沖縄の業界地図』 forthcoming!

前年度のゼミで作ったチャーミングな書籍が上梓されます.発売日は5月4日です.
cover

リンク
旋風起こすぜ.


以下,本書のアピールポイントを率直にまとめ,敷衍します.

新規性について
  • タイトル通り,書店の就活やビジネスのコーナーを毎年賑わす「業界地図」のローカル版です.全国版は東洋経済新報社,日本経済新聞社,成美堂出版などが出すものがいくつかありますが,特定地域に特化したものだと関西版(日本経済新聞社)があるのみのようです.ローカル版といっても全国版を縮小劣化させたものではなく,むしろアカデミア特有の目配りと遊び心に溢れた,読み応えのある書籍になっています.
  • 沖縄の企業を紹介した書籍はいくつかありますが,多くの産業を網羅し一望できるようなものはほとんどありません.貴重な例外として,琉球新報社編集局政経部『沖縄の企業と人脈』1999年,があります.新聞社が作るだけあって貴重で魅力的なインタビューが豊富ですが,県内有力企業とそのグループに取材対象が偏っており,また内容的にはoutdatedになりつつあります.東洋経済の『会社四季報 未上場会社版』はより最新の情報にアクセスできますが,沖縄県の企業は数えるほどしか収録されていませんし,業界の全貌や企業間の関係は見えてきません.
  • その昔沖縄国際大学の新城俊雄ゼミでは,企業にインタビューに行き,その経営戦略を分析した卒論集のようなものをインフォーマルながら刊行していたようです.テーマは似通っていますが,沖国本では学術研究としての色合いが強いのに対し,我々は一般のビジネスパーソンや学生が手軽に手に取れるカジュアルな雑誌を志向しています.実際に県内の書店やコンビニ(ファミマとローソン)でも手に取れます.また,沖国本では特定企業管理職の経営哲学やマーケティング戦略というミクロな事例に中心的な関心がありますが,我々の新刊には企業間の戦略的な相互依存関係や産業全体を見渡すマクロな分析など,幅広い視点からの議論がふんだんに盛り込まれている点で違いがあります.統計データを多く盛り込み,定量的に業界の全体像をイメージするための手がかりが多数仕込まれている点も白眉でしょう.我々は大学時代の思い出作りをしているのではなく,リスクを背負ってmarketableな商品を生み出し実際に販売するという真剣勝負をしています.
  • そのほか沖縄企業のmanagement practicesを紹介した事例研究モノや,企業人のインタビューや列伝,社史,などはいくつかありますし参考にしました.しかしながら私が調べた範囲では,800を超える企業を収録したものはかつてありませんでした

重要性について
  • 沖縄を本拠地とする企業のほとんどは中小企業です.内地企業の支店を除けば,上場企業は数えるほどしかいません.そのため,ローカル企業についての情報にアクセスするのは容易ではありません.新聞記事や噂話で断片的に耳目に触れる程度です.
  • それでいて,人的ネットワークを重んじる風土もあってか,沖縄でビジネスをする上で企業間の関係についての情報を蓄えておくことは決定的に重要だとされています.県内でも有力企業の「系列」があり,市場での取引関係と密接に結びついています.当事者でなければ知り得ない情報に大きく依存した,不透明な市場環境という側面があります.
  • 地元で就職活動を行う学生は,信頼できかつ幅広い情報源を欠いている状況です.人生を決定的に左右する場であるにも関わらず,CMを流しているごく少数のBtoC企業しか知らず,極めて少ない選択肢にしか気づかない状態で就職活動をしなければならない学生は少なくありません.情報を生産することで,学生が地元でよりよい生活を営む可能性をどんなに広げられるでしょう.同時に,企業にとっても自社の精神やその結実を若い人材に広く認知させることからどんなに便益を享受することができるでしょう.
  • つまり,情報の価値は計り知れないほど大きいにも関わらず,埋もれてしまっている状況でした.埋もれた情報を掘り起こして可視化し,気軽に手に取れるようにしたことが本書最大の売りです.地元の企業だけでなく就職を意識した学生や潜在的な沖縄市場への参入者,そして最終消費者としての沖縄県民にとって,よりよい沖縄ライフを満喫できる手がかりを提供します.

エクスキューズ
  • ゼミ活動の一環としてのプロジェクトであるため,内容に甘いところもいくつか残されています.私の力不足のためとしてあらかじめ陳謝せねばならないところがあります.
    • 速報性: おおよそ2014年度,特に14年12月頃までの情報に基づいています.発売にいたるまでの間にも情報が次々とアップデートされてしまいました.どうしても,新聞などと比べれば速報性は劣ります.
    • 正確性: 基本的に新聞や公式ウェブサイトなどで確認できる,信頼性の高い情報のみに基づいています.言うまでもなく,あくまでもacademic integrityを遵守することが最優先事項です.しかしながら,我々は財務データなど一次情報にアクセスできる立場でもなく,本書には不正確な情報が紛れ込んでいるかもしれません.そもそも中小企業についての情報の信憑性は大企業に比べればどうしても劣りますし,情報量も極めて限定されてしまいます.
    • 網羅性: なるべく多くの業界をカバーすることを目指しましたが,時間や人的リソースの限界から,有力企業であるにも関わらず十分に調べられなかった企業は数多く残されています.また,取材に協力していただきながら,出版に耐えうる記事にしきれなかった企業もあります.
      • 私は生まれも育ちも沖縄ですが,象牙の塔一丁目一番地在住であり,地元ビジネスのことはまるで知りません.監督する側の基礎知識・人脈の不足は否めません.
  • これらは次年度以降の課題としたいと思います.ゼミ生のインタビューにご協力いただける企業は随時募集しています
  • 本書は私の本務校から資金的援助を頂戴しています.しかし言うまでもなく,本書は大学を代表するものではなく,あくまでも私たちが責任を持って世に問うものです.

教育の一環として
  • イノベーションの重要性はすでに人口に膾炙して久しいわけで,自らもイノベーションを起こさなければ示しが付きません.革新的アイディアを形にするという,我々の生きる経済にとって根源的に大切な活動を実際に経験するチャンスを提供した一年間だったと自負しています.
    • 今回はvariety expansionをしたので,今年度のゼミはquality ladderでいきたいと思います.
    • 研究面でのイノベーションをしてから物を言え,という意見はしかと受け止めます…言われなくてもやっとるわと言いたいところですがなかなか論文にまとめられずにいてつらい状況であります.もうしばらく見守ってください.
  • 私の本務校が,貴重な4年間を犠牲にしてまで卒業する価値のある大学であると胸を張って言えるようにしたいという思いもあります.

この冬~春にかけてこの本の編集作業ばかりに時間を取られていました.研究できないストレスの余り,体重がとんでもなく減ってしまいました.健康診断で「やせすぎ要観察」と言われる私がダイエットしても….
しかし命を削った分だけ面白い本ができたと確信していますのでぜひご購入を検討してください.(今後は改めて自分の研究にいそしみます.)

Tuesday, June 11, 2013

マージナル大学

学生・大学の状況を研究者がどう見ているのか知るべく,和文の学術論文を眺めてみた.
  • 居神浩 (2010) ノンエリート大学生に伝えるべきこと――「マージナル大学」の社会的意義, 日本労働研究雑誌 602, pp.27-38.
隙だらけの文章であるようには思うが,偏差値低めな大学における教育のあり方に関して,一つの意見として貴重である.メッセージはおよそ3点にまとめられる:
  1. 学習者としての主体性を確立させよ.
    • 教育サービスを消費しているだけの学生が多すぎる. 
    • このままただのノンエリートとして卒業してもまずいよ,という事実を突きつけるなどして学習する動機付けを行え.
  2. 初等教育レベルの「読み・書き・そろばん」能力を補強せよ.
    • 割り算のような教員が想像できないところでつまづいている学生に寄り添う必要がある.
  3. 将来労働市場でつらい目にあったときに役立つ能力と知識を与えよ.
    • ブラック企業のような厳しい労働環境におかれた場合,離職という選択肢だけでなく,職場環境を変えるべく「異議申し立て」をする選択肢もあり得る.労働者の権利について教育せよ.
国語・算数の重要性は同意するところである.私の勤務校は小学校教員養成学科を抱えているのだが,そこの学生が実習として我が所属学部の学生に算数などのリメディアルな教育を施してくれないものか.ステークホルダーはみな効用を高めることができるような.(文科省には怒られそうだ.)



blogを始めて1ヶ月経過した.これで31ポスト目なので,1日平均1ポストしていることになる.よっぽど孤独で退屈な日常なのだろう.内容の半分は講義録,1/3ほどは沖縄の統計ウォッチとなっている.(学生向けのコンテンツになっているとは言いがたいがやむを得ない.)

能力的な制約があるため記述統計を眺める程度のことしかできていないが,データを扱うのはいい刺激になっている.ここ1ヶ月駄文を垂れ流す中で,統計的に検証可能で,なおかつ検証したくなるような命題を導かないといけないなと気持ちを新たにした.また,印象や信念や断片的な伝聞やへぼモデルばかりに基づいて物事を語る危うさを改めて実感することにもなった.

Monday, May 13, 2013

国語力不足

沖縄県教育委員会が全国学力テスト(H24)の結果をまとめたものがある.その資料にあるグラフはなかなか衝撃的である.

次のグラフは国語のテストスコアの都道府県分布を表している.
小学校のテストスコア. 出典: 沖縄県教育委員会.
 赤い線が全国平均を表す.たとえば右上の象限に入っていれば,その都道府県の小学生は国語2科目とも全国平均より高い得点を記録した,という意味である.

沖縄県は,左下の象限にある黒い星印(★)である.小学生の段階から国語力が不十分であることが見て取れる.ほんの数点の差とはいえ,ぶっちぎりで最下位に見える.


そして中学生になると全国からさらに引き離されることになる.
中学校のテストスコア. 出典: 沖縄県教育委員会.
★のすぐ右肩に一つ点があるのを除けば,ほとんど別の国にも見える.単に方言がきつい地域であるということだけではこの悲惨な状況は説明できないはずだ.できる子供ほど県外に出て行っている,という効果はあるだろうけど定量的に重要なのかは疑問.

 もちろん国語以外の科目も同様に悲惨な状況である.もし私に子供ができても,沖縄で義務教育を受けさせたいとは思えないよね.


感覚的には,沖縄人はテストで測りきれないnon cognitive skillsもいまいちだ.ボトルネックは結局どこにあるんだろうか.