Showing posts with label intromacro. Show all posts
Showing posts with label intromacro. Show all posts

Tuesday, August 6, 2013

経済学入門I, 第16回

講義内容:
  • 財政政策
    • 一般政府の懐具合
    • SNAとの関わり
    • 投資資金を奪う効果 vs. 持て余している資源を活かす効果
  • これまでのまとめ
    • マクロを学ぶための基礎知識をインストール.
    • マクロの理解をさらに深めるには,統計やミクロも併せて学ぶとよい.
半年間お疲れさまでした.よい夏休みを!


来年度に向けての反省メモ:
  • 何かしら講義を通底する大きなテーマ・クエスチョンがあれば.
  • 他講義と比べて,広く浅くカバーするスタイルで行った.おおむね満足.他講義はハードな思考を要求しすぎているかもしれない.
  • 需要と供給でなるべく話を済ませる方向でやってきたが:
    • AD-ASはそれ以降の話とほとんどつながっていないのでカットできるかも.当初はBaumol-Blinderに沿って進めるはずだったが…結局のところ自分がAD-ASを思考の土台としてほとんど使ってないので教えにくいのである.
      • Mankiwか誰かは,ニュースを見るときは結局IS-LMが有用,みたいなことを言ってた気がするが…
    • 差分方程式の話も余計だったかも.
  • エレメンタリーなマクロ経済学教育のやり方はもっと悩む必要がありそう.後期講義を通してもっと詰めていきたい.

Monday, August 5, 2013

経済学入門I, 第15回

講義内容:
  • 貨幣市場
    • 古典派だとMが2倍になってもPが2倍になるだけ. しかし,少なくとも短期的には,Mが動けばYも動くと考えられている.
    • インフレで財政赤字をファイナンスすることがしばしば見られる.
    • そのため,インフレ率がどう決まるかというときに,政府の財政赤字の動向が重要になる.
      • 一昨年ノーベル経済学賞を受賞したThomas Sargentはこのあたりの議論の先駆者(cf. Sargent and Wallace 1981)であり,同年に受賞したChristopher Simsも多大な貢献を残している.
  • 金融市場
    • 債券の市場価格と金利の関係.
      • 額面価格は動かないが,実際に取引される価格は変動する.
    • 日本人はあまり株式や社債のようなリスク資産を保有していない.銀行の貸出が資金融通の主役である.
    • 90年代は不良債権の問題が長引いており,銀行貸出を中心とした金融システムがうまく機能していなかった.経済成長が鈍化した原因の一つかもしれない.
    • 金融市場はギャンブルの場所にもなりえるが,一方でリスクを軽減するチャンスを提供する場でもある.
  • 夏休みの読書案内
    • 小峰・村田 (2012) は数学を使わずに日本経済の理解を深めることができる.
    • 一歩進んだ学習をするには,ゴツい教科書(ジョーンズ, クルーグマン・ウェルス, マンキュー, 齊藤他など)が不可避である.
    • ケインズやマルクスやフリードマンといった古典は読まなくてよい.また,時事ネタを扱った本は地雷だらけなので要注意.
    • 話に出た経済学者は宝くじを買わない説は大竹・田中・佐倉 (2013). 最近の経済学は間口が広い.

次回:
  • レジュメ7をやれるだけやります.

参考文献:
  • 大竹文雄・田中沙織・佐倉統 (2013) 『脳の中の経済学』ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 小峰隆夫・村田啓子 (2012) 『最新日本経済入門(第4版)』 日本評論社
  • Thomas J. Sargent and Neil Wallace (1981) Some Unpleasant Monetarist Arithmetic, Federal Reserve Bank of Minneapolis, Quarterly Review 5, 1–17.

Monday, July 29, 2013

経済学入門I, 第14回

講義内容:

  • 貨幣の需給
    • 準備預金制度を中心に日本の金融システムは動いている.
    • 日銀は日銀当預にある預金(リザーブ)をコントロールしながら,マネーストック(貨幣供給)をコントロールし,ひいては物価水準をコントロールしている.
  • Googleのビジネスモデルは?
    • 俗にいうtwo-sided marketかな,という話をしましたが,典型的な例とはいえないようです.(Luchetta 2012)
    • 未読ですが,Anderson (2009)や依田(2011)が参考になりそうです.
    • 限界費用ゼロのデジタル世界は,入門講義で習う供給曲線では分析しにくい世界です.もう少し深くミクロ経済学を学習する必要がありそうです.
次週:
  • 金融市場の残り
  • 数日中にはレジュメ7をアップロードしますので用意願います.(追記: アップロードしました)
  • 課題の提出も忘れずに

参考文献:
  • Chris Anderson (2009) Free: The Future of a Radical Price, Hyperion. (高橋則明訳『フリー: 〈無料〉からお金を生みだす新戦略』NHK出版)
  • Giacomo Luchetta (2012) Is the Google Platform a Two-Sided Market? Available at SSRN: http://ssrn.com/abstract=2048683 
  • 依田高典 (2011) 『次世代インターネットの経済学』岩波書店

Monday, July 22, 2013

経済学入門I, 第13回

講義内容:
  • 労働時間による雇用調整
    • 週休二日制が導入されても,週あたり労働時間は減っていない可能性もある(Kuroda 2010).政府が法的に経済主体の行動を規制しようとしても,意図していない反応を引き起こし,当初の目的が十分果たされないことはしばしある.
    • 沖縄の平均週間就業時間は全国とさほど変わらない.南国のだらけたイメージは必ずしも正しくない.
    • ワーク・ライフ・バランスを巡る議論は,様々な労働・社会問題と結びついている.
    • 「ブラック企業は日本特有か?」という質問に講義中回答できませんでした.
      • ブラック企業(Sweatshop)は世界各国でも問題になっているようです.一方,過労死は英語でそのまま"Karoshi"とされるほど,日本に特徴的な概念のようです(似たような単語はあるかもしれません).
      • 中国では近年過労死(过劳死)が急増しているようです(eChinacities.com).ただし実数が増えているのか,従来から過労死はあったものの「過労死」という言葉を導入して初めて過労死だと認知できたケースが増えているのかはよくわかりません.
  • 摩擦的失業と構造的失業
    • 労働者や仕事の多様性も真剣に考えよう.
  • 金融市場
    • 欲望の二重の一致を克服する工夫として貨幣がある.貨幣そのものは消費の対象ではないことが,他の財・サービスと大きく異なる重要な特徴である.
      • 貨幣そのものへのあくなき欲求自体を否定するわけではありません.不況は消費と貨幣の限界代替率が…などという議論も…(cf. Ono 2001)
    • 二千円札は法的には歴とした貨幣であっても,沖縄以外では一般受容性に乏しい.
    • 「貨幣」といっても様々な測り方がありうる.現金の他に,M1は普通預金,M2+CDは銀行預金,M3は銀行以外の預金を含める,というイメージ.
次週:
  • 金融市場の続き.
  • 次のレジュメは近日中に公開できるよう準備します.

参考文献:
Sachiko Kuroda (2010) Do Japanese Work Shorter Hours than before? Measuring trends in market work and leisure using 1976–2006 Japanese time-use survey, Journal of The Japanese and International Economies 24, 481–502.
Yoshiyasu Ono (2001) A Reinterpretation of Chapter 17 of Keynes's general Theory: Effective Demand Shortage Under Dynamic Optimization, International Economic Review 42, 207-236.

Monday, July 8, 2013

経済学入門I, 第12回

講義内容:
  • 資産価値と割引現在価値
    • 現在の100万円と1年後の100万円は等価値ではない.
    • 1%の変動でも「たったの1%」とは言えないことがある.
  • 労働市場
    • 失業者の能力・努力不足ばかりが失業の原因ではない.需給の両サイドから考察しよう.
    • 完全失業率の定義
    • 完全失業率だけからは見えてこない問題(フリーター・ニート)
    • 沖縄県労働市場の特徴
次回:
  • 来週15日は公休.
  • 22日にはレジュメ5だけでなくレジュメ6も用意してください.
期末レポート:
  • 29日までに提出願います.

Tuesday, July 2, 2013

経済学入門I, 第11回

講義内容:
  • 成長モデル
    • グラフの見た目はシンプルながら,経済の動きを驚くほど豊かに記述することが可能である.
    • 複数均衡という概念を学んだ.悪い均衡からよい均衡へ移行するのは簡単ではない. 
 次週:
  • 労働市場再び.
  • レジュメ5の用意をお願いします.
  • 別途課題を配布する予定です.

Monday, June 24, 2013

経済学入門I, 第10回

講義内容:
  • 金融市場モデル:
    • S=I,すなわち経済全体では貯蓄と投資は一致する.
      • 外国との取引を明示的に考える場合は,「経常収支=S - I」と修正する.
    • 貯蓄や投資が変化する要因を考えると,利子率の動向が見えてくる.
      • 貯蓄,投資,利子というものは将来時点のことを考慮しなければならない,本質的にダイナミックなものである.現在まだ起こっていないことであっても,現在の貯蓄・投資行動に影響が及び,利子率が変動しうる.
  • 経済成長はそんなにいいことなのか?
    • 格差を是正したり幸福度を高めたり,ということには必ずしも直結しない.しかしながら,成長しないことには,絶対的貧困のような社会問題に対応するための余力もない.
    • 「Occupy Wall Street」の流れに沿った統計データはAlvaredo et al. (2013)で確認できる.
      • マネーゲームをやって危機を引き起こしているだけのがめつい金融業者風情が我々の富の多くを持って行っているなんてけしからん,という議論はたしかに共感するところもある.しかし,金融業者が運用してせっせと増やそうとしているのは我々の貯金であり,彼らの仕事が我々の年金・社会保障を支えていることも確かである.
    • 不平等に関するエッセイはいろいろあるが,最近読んでいる中ではMilanovic (2011)がおもしろい(邦訳あり).不平等や格差は非常に根深い問題であり,様々な角度から理解する必要がある.
  • 生産関数の導入
    • インプットとアウトプットの関係を表すものが生産関数である.
    • 生産関数の接線の傾きは「限界生産性」を表す.講義中に説明したものは「平均生産性」であり,両者は通常一致しない.
 次週:
  • 定常状態を説明したい.

Reference:
  • Facundo Alvaredo, Anthony B. Atkinson, Thomas Piketty, and Emmanuel Saez (forthcoming) The Top 1 Percent in International and Historical Perspective, Journal of Economic Perspective.
  • Branko Milanovic (2011) The haves and the have-nots: a brief and idiosyncratic history of global inequality, New York: Basic Books. (村上彩訳『不平等について: 経済学と統計が語る26の話』みすず書房)

Monday, June 17, 2013

経済学入門I, 第9回

講義内容:
  • 労働市場の分析
    • 需給を一致させるようなメカニズムが機能していなければ,失業が顕在化することになる.
    • 政府が労働需要を作り出すなど,何かしら対策が必要とされることになる.
    • 労働市場についてはレジュメ5でもう少し詳しく触れる.
  • 金融市場の分析
    • 金融とは,資金が余っている主体(家計)から足りない主体(企業・政府)へと「お金を融通」することである.不毛なギャンブルとは本質的に異なる.
    • 我々が銀行に貯金した資金は回り回って企業が投資を行うことに使われることにもなる.
    • 複利計算の例.利子は利子を生み,雪だるまのごとく大きくなっていく.
  • 今住宅ローンを組むべきだろうか?
    • 金額の大きな買い物とは違い,持ち家に対して「投資」をするのだと考えよう.株や国債に投資するのと同じぐらいの真剣さで情報収集することが望まれる.
    • 日本では中古住宅の市場があまり発達していない.たまたま隣人が迷惑な輩だった,たまたま失職してローンが返せなくなった,といった状況に陥った場合に,住宅を売却するのはけっこう大変.
    • もし購入することが確定しているのであれば,消費税増税(2014年4月に8%, 2015年10月に10%)前に買うのはありかもしれない.
    • 金利の動向にも注意する必要がある.長期金利(たとえば日本相互証券)は最近急上昇している.金利がこのまま上がっていけば住宅の資産としての価値は下がってしまうかもしれないし,ローンを組む際に直面する固定金利も現在上昇中かもしれない.
      • 金利上昇分以上に物価が上昇していけば実質金利としては下がるわけだが,インフレ率が将来どうなるかは今のところ不透明である.金融政策などのマクロ経済政策の動向が気になるところ.(ZLBを脱出した以降はどうなるんでしょうねホント)
    • 固定資産税(現在1.4%)も気になるところ. 
    • tenure choice(持ち家vs.賃貸)は都市経済学でも長く議論のあるテーマである.入門レベルのミクロ経済学の知見でアクセス可能なものに山崎・浅田(2008)がある.経済学の知識がなくてもわかるものとして,NHKのオイコノミアという番組で取り扱っていた回があるので探して視聴するとよいかもしれない(私がたまたま視聴した唯一の回である).
次週:
  • レジュメ4の用意をお願いします.
  • 経済成長とは何か,convergence,複数均衡,あたりを概観したい.

Reference:
  • 山崎福寿・浅田義久 (2008) 『都市経済学』日本評論社.

Tuesday, June 4, 2013

経済学入門I, 第8回

講義内容:
  • 成長と現代史
    • 成長のパターン,成長の源泉は国によって様々
  • 労働市場
    • 大卒プレミアムを理解するには,需給両面から考察する必要がある.
次回:
  • 来週(10日)は本学創立記念日により休講.
  • 17日はレジュメ4も用意願います.
雑感:
  • 沖縄はインフォーマル・セクターが多く,公式統計からは見えにくいところで雇用の受け皿になっているのかもしれない.
    • 消費課税の強化はインフォーマル・セクターで働く労働者の負担を相対的に重くするだろう.所得補足されやすいフォーマル・セクターの比較優位が高まるので,セクター間でのリアロケーションも予期される.
  • 沖縄のインフォーマル・セクターは研究テーマとしてけっこうおもしろいかもしれない.

Tuesday, May 28, 2013

経済学入門I, 第7回

講義内容:
  • 部分均衡:
    • 市場均衡と比較静学
  • AD-ASへの拡張
    • 景気変動と経済成長への導入
次週の予定:
  • 需要と供給のモデルを使いながらマクロの主要な話題をカバー
  • レジュメ4も一応用意してください.
  • 再来週は休講(本学の創立記念日)のようです.
中括:
  • 講義前半はマクロ以前に経済学,そして学問自体への入門を意識して話を組み立ててきた.
  • 講義後半では財,労働,金融という各市場を概観する.
    • IS-LMという邪悪なモデルはカバーしない予定.

Tuesday, May 21, 2013

経済学入門I, 第6回

講義内容:
  • 部分均衡分析の基本
    • 用語、グラフの読み方、シフト
    • 分析道具を準備している段階である
次週の予定:
  • 残り
    • 均衡、比較静学
  • 需給モデルを使ってマクロな市場を眺める
    • レジュメ3の用意を
その他:
  • 最近のギリシャはどうなのか,という質問にうまく答えられなかったので,いくつかマクロ指標を集めてきた.データの出処はすべてEurostatである.
 まず実質GDPの成長率.

青がギリシャ, 緑がEU27カ国, 茶色が日本である.EUと日本は概ね同じような成長経路をたどっていることが見て取れるが,一方でギリシャは2009年以降とてつもないマイナス成長が続いている.最近は少し下げ幅が落ち着いてきたように見える(ただし2013年の値は実績でなく予測).

 次に失業率.
ギリシャ(青線)の雇用情勢はどんどん悪化しているようである.働く意思と準備があっても,4人に1人は仕事が無いという状況である.想像を絶する世界である.

 そしてインフレ率(前年同月比).

 ギリシャはEU全体とくらべて低インフレが続いている.特に今年に入ってからはインフレ率がマイナス,つまりデフレーションへと突入している.
 EUでは金利がもりもり低下しているところであるが,それでもなおギリシャにとっては高すぎる水準なのかもしれない.

最後に経常収支.
経常収支(対GDP比). ギリシャ(青), EU27カ国(緑), 日本(黄).
2008年頃を境にしてギリシャは慢性的な経常赤字から経常黒字へと急速に向かっている.この裏側では,ギリシャから国外へ資本の流出,平たく言えば外国からやってきていた資金が急速に逃げていくような事態が生じている.

直近ではEUの株式市場は回復に向かっている.とはいえギリシャに限って言えばまだまだ予断を許さない状況であるだろう(もっと言えば10年単位でまだまだ苦境が続くかもしれない).