Wednesday, June 3, 2015

経済政策I, 第7回, 2015

来週は創立記念日のため休講です.

講義内容
  • ナッシュ均衡エクササイズ
    • お互いに最適反応になっている場所を探そう.
    • 一方的に逸脱するインセンティブを持たないことも確認できる.そのため,一度均衡に至ったら,誰もそこから行動を変えようとせず,その状態が続くだろうと考えられる.
    • 均衡が複数ある場合,どの均衡が実際に実現するかはわからない.モデルでは考慮していない何らかの要因がそれを決めるかもしれない.
  • 公共財
    • 公共財 = 非競合性 + 非排除性, という定義に照らし合わせて考えよう.
    • ナッシュ均衡では公共財は十分に供給されない.非排除性という性質が,ただ乗りするインセンティブを生み出すから.
  • 練習問題もアップロード済みです.試験に備えてください.

コメントより
  • 「5.4.の右下のゲームで(U, R)がナッシュ均衡になる理由がわからない.解説お願い」
    • (U, R)から一方的に逸脱するインセンティブがあるかどうか確認してみましょう.
      • プレイヤーA: 相手がRのとき,U以外の戦略を選ぶとどうなるか → Mだと4, Dだと2, の利得 → Uを選ぶ(利得8)のがベスト.
      • プレイヤーB: 相手がUのとき,R以外の戦略を選ぶとどうなるか → Lを選ぶと6 → Rを選ぶ(利得6)ときと変わらない → プレイヤーBにとってはどちらを選んでも結果は変わらないので,あえてナッシュ均衡から逸脱する理由はない.
      • 以上から,どちらのプレイヤーにとっても,自分から戦略を変える積極的な理由はないことが言えます.なのでナッシュ均衡と呼べます.
    • プレイヤーBにとっては,相手がUのときの最適反応はLまたはRになっています.同ページ左真ん中側のゲームと同様に,最適反応は1つとは限りません.
  • 「ナッシュ均衡はだいたい最悪な状態なのか?」
    • 最良の状態に一致する保証はありませんが,「だいたい最悪」になってしまう必然性もありません.自分で適当な利得表を書いてみて確かめてみてはどうでしょうか.
    • 最悪かどうかではなく,より望ましいシナリオがあるかどうか,のほうが政策的には重要です.
  • 「ナッシュ均衡を探すのは難しい」「練習が必要」「複数あると難しく感じる」「全然意味がわからなかった,理解するまでに時間がかかりそう」
    • 慣れが必要です.利得表の読み方,最適反応やナッシュ均衡の定義,など基本に立ち返って考え直してみてください.
    • わからないのは恥ずかしいことでないので,機会を見て練習問題を解くか質問するかしてください.
  • 「難しいところはなかった」「全部わかった」
    • 飲み込みが早いですね.
  • 「フリーライダーにならないように気をつけたい」
    • 公共財の実例を他にもいくつか考えてみるとよいと思います.
  • 「公共財を供給されるようにするにはどうすれば?また利得をいじるのか?」
    • 対策についてはテスト明けの講義でいくつか紹介する予定です.
    • おっしゃるとおり,利得表自体を書き換えるのも一つの手です.プレイヤーが直面するインセンティブの構造を打破するのはたしかに効果的です.その具体的な手段はいくつかあります.
    • 協力しない人を攻撃する,協力したら褒め称える,などは実社会にも観察される対処法です.
      • 以前も述べましたが,この講義で繰り返しゲームをカバーするかどうかはまだ考え中です.

最近Mathematicaばかり回している.もはや,大学目の前にあるATMを見ただけで,解を探索するためのコードを連想する.ほとんど病気.
いろいろ使っていると,こんなことまでできるんだ,と感動することも多いけど,他のソフトウェアも学習した方が研究の幅が広まってよい気がする.

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