Saturday, June 27, 2015

国際経済学I,第11回, 2015

このペースだとレジュメ4が全然説明できなさそうな予感…まずい.

講義内容
  • 貿易協定
    • 多角的なGATT/WTOから,FTA/EPAにトレンドが変わりつつある.
  • 分業と絶対優位
    • アダム・スミスの議論はたしかに直感的だが,必ずしも正しくない.


コメントより
  • 「幼稚産業を保護するのもいいのではないか」
    • 将来本当に成長するという保証はないですね.衰退産業に人や資源を押しとどめ続ける被害とのトレードオフがあります.
  • 「日本は保護貿易をしてコンピューター産業やテクノロジーが強くなったと聞いたことがある.保護貿易とは,関税を高くかけることか?期限を決めて貿易をしないことか?」
    • 保護貿易には様々な形があります.高い関税を課すこともその一つですし,一時的に輸入制限することもその一つです.講義中には数量割当も紹介しました.
    • 保護貿易で強くなったという説得的な実証研究は知りません.日本政府による政策が特定の産業を強くしたとは言えない,という研究はいくつか知っているのですが…(たとえば三輪・ラムザイヤー 2002, Ohashi 2005, Esteban-Pretel and Sawada 2014).
  • 「月収20は大きく,不平等な感じがした」
    • 20という数字自体は話をシンプルにするためのもので,現実にその水準というわけではありません.誤解を招く言い方ですみませんでした.
  • 「実際に関税をかけていない国はあるか?」
  • 「分業・特化の話は勉強になった.それ以外にも今日の講義は学ぶことが多くあった」
    • 残りの講義は分業と特化のメリットをくどくどと説きます.
  • 「少し難しかった」
    • グラフでつまづいているのであれば,消費者余剰や生産者余剰を再確認してみては.
  • 「少し勉強してみたいと思った」
    • 少しと言わずたくさん…
参考文献
  • 三輪芳朗・J.マーク ラムザイヤー (2002) 『産業政策論の誤解―高度成長の真実』東洋経済新報社
  • Julen Esteban-Pretel and Yasuyuki Sawada (2014) On the role of policy interventions in structural change and economic development: The case of postwar Japan. Journal of Economic Dynamics & Control 40, 67--83.
  • Hiroshi Ohashi (2005) Learning by doing, export subsidies, and industry growth: Japanese steel in the 1950s and 1960s. Journal of International Economics 66, 297--323.

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