Thursday, May 28, 2015

経済政策I, 第6回, 2015

私はゲーム理論家ではありませんが,ご冥福をお祈りします.

講義内容
  • ゲームのルールを変える
    • 利得表自体が変わればゲームの結果も変わりうる.望ましくない結果を変えたければ,ゲームの仕組み自体に手を入れることも必要.しかし,闇雲にやってもうまくいかない可能性がある.ゲームの構造を見抜くことが大事.
  • 最適反応とナッシュ均衡
    • 支配戦略の議論が「相手の出方にかかわらず…」というものだったのに対して,今度は「相手の出方に応じて…」となっている.
連絡
  • 中間試験用の練習問題をアップしました.
    • 試験範囲は次回やる範囲までとします.

コメントより
  • 「ナッシュのニュースを見たとき驚いた.まだ生きていたんだ!」
    • 伝説的偉人と同時代に生きていたと思うとなんとなくうれしいものですね.特にナッシュはノーベル賞受賞者の中でも別格の存在でした.
  • 「じゃんけんやPKは同時に行動を起こすので,相手の反応を見て行動することにはならないのでは」「後出しは強い」
    • 相手の行動を見て自分の行動を決めることはできません.(同時手番ゲームと言います.) 後出しができるわけではありません.しかし,事前に考えをこらしておくことはできるでしょう.
    • ポイントは,「もし相手がこういう行動を取ったとしたら」と仮想的な状況を考えることです.実際に相手を観察してから決めるのではなく,相手が仮にこうしたらどうすべきか,を整理しています.
      • 「もしAならばB」という仮定法を使った議論をしています.Aが現実に起こるものだとは限りません.「もし」を使って論理的に考える技術を伸ばしましょう.
  • 「囚人のジレンマから抜け出すために,最適反応をすることで,自分の利益が最大化できる」
    • これは間違いです. 最適反応を選んで自分の利益を最大化しようとしたら,かえってうまくいかなくなる(自分の利益が最大化できない),というのが囚人のジレンマです.
    • ナッシュ均衡は,何らかの望ましい状況を記述するものではありません.(適切な知識と情報を持つ合理的な)プレイヤーたちが取るであろう行動を記述するものです.
  • 「被支配戦略がいまいち理解できなかった.得をしないものを選ばなければいいのか?」
    • 得をしないものをあえて選ぶ理由が(今考えている状況下では)ありません.
    • 得をしないものを選ばないものとして無視としたら,じっくり検討すべきシナリオを減らすことができます.
  • 「ナッシュ均衡は理解できた.が本当はもっと奥が深いと思うので次回からもがんばる」
    • その通り,奥が深いんですよ.
  • 「最適反応は生活の中で意識せずとも使っているなと思った」
    • フロイトよろしく,無意識を意識すると面白いですね.
  • 「最適反応は,すごく当たり前のことなのでわかった.ナッシュ均衡は聞いた感じ難しそう」
    • ナッシュ均衡は来週以降もっと実例を見ていきます.
  • 「最適反応は単純な感じだけどちゃんとした戦略なんだと勉強になった」
    • 文字通り,最も「ちゃんとした」戦略ですよ.
  • 「まだ支配戦略・被支配戦略を理解するのは難しい」
    • ナッシュ均衡をいったん勉強した上で,改めて支配戦略の議論に戻ると理解しやすくなると思います.
  • 「しぶしぶ行動に移すしかない,という例だと少しだけ理解できた.」
    • その通りです.
  • 「もっと勉強してできるようになりたい」「よくわからなかったので復習してから質問したい」「簡単そうで意外と難しい」
    • ぜひ.
  • 「お疲れ様です」
    • ありがとうございます.

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