Friday, June 6, 2014

経済政策I, 第8回, 2014


講義内容:
  • 共有地の悲劇
    • 立食パーティーの食事はあっという間になくなるものだ.少数のテーブルを少人数で囲むときと違って,誰がどれだけ食べたか判然としないからかもしれない. 
    • 最近混雑著しい大学駐車場も,共有地の悲劇に陥っているのかもしれない.他人への思いやりや話し合いだけでは解決できそうにない問題だ.
  • 公共財の解決策
    • 徴税能力を持つ政府の出番.
    • 公共財の問題はそう簡単には解決できない.詳しい分析はメカニズム・デザインというミクロの応用分野を中心になされている.
    • 政治学者Elinor Ostromは,共有地のガバナンスを考えたことで2009年にノーベル賞を受賞した.最近騒動になった団体は話が別だが,政府に依らない自治自体は時に重要である.たとえば猪木 (2001).
      • (某団体の場合,社会全体の利益を追求する自治を行う意思と誘因と能力に深刻な疑問があり,「自治」とは名ばかりにすぎない気がする.もとより大学が学生の利益を最大化するとは限らないが.)
  • 非対称情報
    • どんなに理を尽くしても,判断を誤る可能性がある.しかも,誤り方には2種類ある.
来週
  • 中間試験を実施予定.
  • レジュメの後ろの方にある「まとめと補足」や脚注にあるマニアックな議論から重箱の隅をつつくような出題はしません.基本的に,講義の内容を理解したかどうかを問います.
    • 国語の試験ではないので文章の巧拙は問いません.また,数学の試験でもないので,利得表の読解を除き,何かしら計算が必要な問題は出題しません.
    • もちろん,講義内容を深く理解するには,一定の読解力と計算能力が必要です.

コメントより
  • 「みんなが考えて使えたらいいのに」
    • 考えることはとても大切ですね.社会に数多存在する問題に気づき,その仕組みを理解し対処することがこの講義の大きな目標であります.
  • 「経済の話で宗教の話はしっくりこない」
    • 囚人のジレンマのような問題を解決するために,人々の信念や価値観を補正する何らかの仕掛けを社会は用意してきたかもしれません,という話でした.
    • やや突飛に感じるのは無理もありません.が経済学はスケールの大きな議論を展開することもできることを知ってほしかったのです.たとえば青木(2014).もちろん,経済学以外でもそうした議論はあります.19世紀の政治思想家トクヴィルがその一例ですね.
  • 「非対称情報は情報の非対称性と言わない?」
    • どちらでもかまいません.「非対称な情報」と一言ひらがなを加えると,堅苦しさが若干緩和されるかもしれません.
  • 「用語が多くてわからなかったけど話を聞いてたらわかってきた」 
    • 経済学の専門用語は軒並みわかりにくいと思います.言葉を覚える苦行がある程度は必要であることをご了承ください.
  • 「もう少し聞こえやすくマイクを使って」
    • マイク(というかトーク)は苦手なんです.すみません.
参考文献:
  • 青木昌彦 (2014) 『青木昌彦の経済学入門: 制度論の地平を拡げる』 筑摩書房
  • 猪木武徳 (2001) 『自由と秩序: 競争社会の二つの顔』中央公論新社

明日から採点ウィークに突入してしまう…教員のモラル・ハザードを防ぐ仕組みも必要ですねぇ.

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