講義内容:
出席カードのコメントより:- 課税の論点
- 公平性にも様々.飲み会代金をどう精算するか?という身近な問題にもいろんな論点がありうる.
- 飲み屋だと小さな問題かもしれないが,税金を誰からどれだけ取るか,という大きな問題にも通じるところが多々ある.想像力を働かせよう.
- 中立性(効率性)と公平性を両立させることができる状況ばかりではない.現実に税制を設計する際には,効率的だが不公平,公平だが非効率,といった選択肢を比較することになる.
- 結局どちらがいいの,というときにAtkinson (1970)のような発想に至ることができれば,経済学の考え方が染みついてきた(洗脳とも言う)と言えるかもしれない.
- Atkinson (1970)は,平等な配分を達成するためならどれだけ効率性(所得)を犠牲にしてもよいか,といった問題を考えている.
- 課税の部分均衡分析
- 政府は税金を通じて家計や企業の行動を変えることができる.たとえば税金を上げれば取引数量は減るだろうし,逆に税金を下げたり補助金(マイナスの税金)を出したりすれば,取引数量は増えるだろう.
- 税金には代償がつきものだ.課税をすれば税収という「目に見える」便益は生じる.ところが,社会全体で見れば死重損失という「目に見えない」損失が生じることになる.
- 集めた税金をいかに使うか,という支出側に目を向けることも大切である.しかしここでは,税金をいかに集めるか,という徴税側の効果のみを抽出した議論になっている.一般に,何らかの政策を分析する際の戦略として,支出側と収入側とに切り分けて考えることは極めて有用である.
- 課税の帰着・転嫁
- 本当に負担しているのは誰か?
- 外部性
- 市場の失敗の最たる例.
- 「飲み会では収入に応じて支払いを変えれば平等になる」
- 応能負担という観点からはそうした支払いルールが望ましいと言えるでしょう.が,応益負担という観点からは平等ではない可能性もあります.また,具体的に金持ちがどれだけ多めに負担すべきかについて合意形成を図るのは容易ではありません.
- 「税に関しては憲法の分野と重なる部分が多い気がした」
- 私は法学の知識をまったく持っていないのでぜひ教えてください(皮肉ではなく).
- 税金を課す究極的な目的は,よりよい社会の実現であったり人々の幸せな生活であったりします.ので深いところで憲法とスピリッツを共有しているかもしれませんね.
- 国民から富を搾り取るため,という国も現実にはあるようです.ごまの油と百姓は絞れば絞るほど出るものだそうで.
- 「テストの結果が不安」
- いっそうのがんばりを期待します.
- 「おもしろかった」
- ありがとうございます.
- Anthony B. Atkinson (1970) On the measurement of inequality, Journal of Economic Theory 2, 244--263.
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