Friday, July 18, 2014

国際経済学I, 第14回, 2014

講義内容
  • リプチンスキー定理
    • 賃金は労働の需給に左右される.
    • 部分均衡の素朴な直感は必ずしも正しくない.統計データでサポートされないこともある.
      • 日本の移民受け入れをめぐる実証研究については,中村他『日本の外国人労働力』に詳しい.
    • 労働供給が増えた場合,資本移動を通じて,新たに仕事が産み出されるかもしれない.
  • グローバル化と労働
    • 人や資源がチャンスを求めて産業の間や企業の間を動く.
    • グローバル化の波に乗れない企業は淘汰されていくかもしれない.
  • グローバル化と企業
    • 輸出入以外の形でも世界進出する企業が増えている.
次週
  • 簡単に講義全体をまとめた後,期末試験を実施します.レジュメを読み直す,練習問題を解く,などして備えて下さい.来週出席できない場合は事前に相談してください.
コメントより
  • 「労働供給が下がれば賃金はもっと低下するのでは?」
    • 労働供給が減ると,労働供給曲線は方向に動きます.ので他の条件が一定なら,均衡賃金は上がる.
  • 「保険会社まで海外進出しているとは」
    • アクサダイレクト,プルデンシャル,など外資系が日本で活動していたりもしますね.
  • 「イオンは海外を狙ってる.丸大,サンエーも早くグローバル化してほしい」
    • ローカルな企業にとっては容易なことではありませんね.大手コンビニでさえも海外進出は何十年とかけて挑む大きなプロジェクトです.
  • 「生産性の高い輸出企業に就職したい」「就職するときは多国籍企業を参考にしたい」
    • 県内には少ないですね.ポテンシャルはあると思いますが.
    • 大企業の末端として就職するのと,中小企業の中核を担うのとで,どちらがよいかは人それぞれだとは思います.有名企業ばかりに固執しないほうがよいとは思います.
  • 「グローバル化という言葉を少し違った意味で理解していた」
    • 定義が特に定まっていない,漠然とした多義語です.私は貿易取引を妨げる「壁」がなくなっていくプロセス,という意味でおおむね使っていますが,それ以外の意味も含む言葉ですね.
  • 「今日の講義は最初からのまとめみたいですごくわかりやすかった」
    • そろそろクライマックスなので前半戦で用意した伏線を次々と回収してみました.
  • 「自分の生活と経済学が密接に関わっていると感じる講義だ」 
    • そう感じて頂けると幸いです.自分にはどうせ関係がない,と思ってしまうと勉強するインセンティブは低下しがちですので.
  • 「替えがきくと就職できにくそう.誰もできない自分だけができるものを見つけたい」
    • そうですね.ただし,労働需要も大切ですので,誰もできないけど誰にも必要とされない(労働需要が少ない)人に成長すると損をするかもしれません.
  • 「試験がんばります」「試験難しそう」
    • 難易度は割り算がいくつか出る以外には中間試験と大差ない気がします.

参考文献
  • 中村二郎, 内藤久裕,神林龍,川口大司,町北朋洋 (2009) 『日本の外国人労働: 経済学からの検証』日本経済新聞出版社

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