日本労働研究雑誌収録の神林・水町 (2014) にならいつつ,沖縄県のマッチング関数を試算してみた.
次のようなOLSを回してmatching functionを計算する:
\begin{equation}h_{ym} = \alpha + \beta_1 v_{ym} + \beta_2 u_{ym} + \sum_i \gamma_i d_i + \varepsilon_{ym}, \end{equation}
就職件数$h$, 有効求人数$v$, 有効求職数$u$ (いずれも対数, 季調値), は2008年1月から2014年5月分まで沖縄県「一般職業紹介状況」から取得した.$y$は年, $m$は月のindex, $d_i$は年次ダミーである.マッチングの効率性は定数項(というかダミー)の部分で測られる.神林・水町 (2014)と違い,月次ダミーは省いた
(あまり本質的な違いにはならないと思う).
OLSの結果:
Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) -0.74972 2.59545 -0.289 0.7736
v 0.57635 0.12443 4.632 1.69e-05 ***
u 0.28379 0.19641 1.445 0.1531
ydummy(2008) 0.09609 0.04521 2.126 0.0372 *
ydummy(2009) 0.08228 0.03558 2.313 0.0238 *
ydummy(2011) -0.10751 0.04443 -2.420 0.0182 *
ydummy(2012) -0.08565 0.03671 -2.333 0.0226 *
ydummy(2013) -0.14951 0.05634 -2.654 0.0099 **
d.year14 -0.18516 0.07463 -2.481 0.0156 *
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Signif. codes: 0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1
Residual standard error: 0.05906 on 68 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.3571, Adjusted R-squared: 0.2814
F-statistic: 4.721 on 8 and 68 DF, p-value: 0.0001243
神林・水町 (2014) と違い$u$の係数が有意でないが,$v$の係数は似ているように見える.
2010年を0に基準化した上で,暦年ごとのマッチング効率性を,何も考えずに計算した95%信頼区間とともにプロットした.
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沖縄のマッチング効率性の推移. 2010年=0. |
2012年頃からおかしいと思っていたものの,もう少し前から変化が生じているようにも見える.外側に動いたUV曲線が元に戻る日はいつになるんだろう.
ついでに$\beta_1 + \beta_2 =1$をWald検定してみた.
Linear hypothesis test
Hypothesis:
v + u = 1
Model 1: restricted model
Model 2: match ~ v + u + ydummy(2008) + ydummy(2009) + ydummy(2011) +
ydummy(2012) + ydummy(2013) + d.year14
Res.Df RSS Df Sum of Sq F Pr(>F)
1 69 0.23822
2 68 0.23717 1 0.0010448 0.2996 0.5859
一次同次という帰無仮説は棄却できない.
$u$や$v$がそのまんまだと何かとダメっぽいので2SLSをいくらか試してみたが,あまりうまくいかなかった.本ブログに時間を使いすぎるのは慎みたいのでこのあたりで店じまい.
Reference
- 神林龍・水町勇一郎 (2014) 「労働者派遣法の政策効果について」 日本労働研究雑誌 642, 64--82.