Thursday, October 31, 2013

13年10月沖縄県主要指標

先月の記事: 13年9月沖縄県主要指標

はじめに,県内企業の業況判断を3つの指標で見てみよう(今回初の試みになる).
沖縄県内企業の景況感. 点線は原系列, 実線は季節調整値. 黒線: 沖縄公庫のD.I., 青線: 内閣府沖縄総合事務局のB.S.I., 紫線: 日銀那覇支店のD.I..  出典: 沖縄振興開発金融公庫「県内企業景況調査」, 内閣府「法人企業景気予測調査」, 日本銀行「県内企業短期経済観測調査結果(短観)」.
  • サンプルが大きいのは沖縄公庫で,300~400社ほどが回答している.日銀と総事局だと100社強の回答.
    • 昔は公庫の調査には1000社ほど回答していたようだが…検出力を高める便益が費用に見合わなかったのだろう.
  • リーマンショック以来の不況は,日銀・総事局のデータだと2012年頭頃には脱出している.公庫のデータだとそこから1年遅れで脱出というところ.
    • これまでのエントリでも眺めてきたように,労働市場も2012年頃から潮目が変わってきている.
    • 財政政策かなぁ.
  • 季節調整前のデータだと,今年のQ3はどの指標で見ても大躍進している.

以下はこれまでと同様に,最近公表された指標をだらだら眺める.

鉱工業生産(8月分)は横ばい.今年前半の盛り上がりは消えたまま.
沖縄の鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPでの季節調整値, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド (2010年基準). 出典: 沖縄県「鉱工業指数」, 経済産業省「鉱工業指数」.

今年の3月頃から,木材の在庫が積み上がっているようだ.
沖縄の鉱工業在庫, 2005年=100. 黒が季調済み鉱工業在庫, 青が木材・木製品工業の在庫. 出典: 沖縄県「鉱工業指数」.
  • 生産は増えたが出荷がいまいち?
    • 建設ラッシュと整合的?
    • 住宅や家具のような耐久消費財のインプット市場に変化?

消費者物価指数(9月分)は,総合では引き続き上昇中.
那覇市のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
沖縄県のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
  • 全国ではコアコアが約5年ぶりにマイナスを脱したところ.しかし沖縄はまだまだ微妙にデフレを引きずっている.
  • 生鮮食品は魚介も野菜も上昇している.
    • 前年同期比で那覇市12.6%, 沖縄県8.2%の上昇. 
    • 最近はスーパーで買い物するときに,青野菜の値段が数十円アップしているような感覚があり,学部時代を思い出す.
  • ガス代が上がっていてコアCPIはプラス成長.
    • 飲食店などのコスト構造の中で,ガスはどのようなポジションなのだろうか.ガス価格上昇が財価格に転嫁されるのは少し想像しにくい.(価格よりは量や品質で調整するのかも.)
  • なんにせよ2%の期待インフレにはほど遠い状況が続いている.予期せざるデフレーション?

そして労働市場.完全失業率(9月分)は男女とも改善しているが,ジョブマーケットから退出した人が多そうだ.
沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
  • 就業者数が減り(前月差-0.8万人),非労働力人口が増えている(前月差+2.2万人).完全失業者が減っている(前月差-1万人, 前年同月比-20%)とはいっても,求職→就職というモードチェンジではなさそうだ.
    • 非労働力人口の中で,「通学」や「家事」よりも「その他」という項目が増えている(男性は).インフォーマル雇用やニートが増えているかも?
      • 「その他」が増えているのは若年だけではないが.
    • 男性の自営業主と,女性の家族従業者が顕著に減っている.一家離散の危機?
  • 若年雇用はポジティブ.男女計15~24歳には前月比で次のような変化が見られる:
    • 完全失業者が減
    • 非労働力人口は不変
    • パート・アルバイトは減
    • 中小企業を中心に,正規雇用が増加

一般職業紹介状況のデータ(9月分)からUV曲線を作成.先月までと違った要領で作図してある:
  1. 2008年1月までデータをさかのぼって見た.(先月は2009年1月以降のデータだった)
  2. 縦軸と横軸を入れ替えた.
  3. DECOMPで季節調整.
沖縄のBeveridge curves, 2008/01--2013/09. 2011/12までは黒丸・オレンジの近似線, 2012/1以降は青白丸・緑の近似線. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」, 沖縄県「労働力調査」
  • 有効求人倍率(季調値)は復帰後最高水準の0.57に.
    • 復帰前の63年7月に記録した0.76という異常値が私の持つデータの中での最大値.記録更新なるか.
      • 記録を更新したところでリアルな何かが変わるわけではないのだが.
  • UV曲線に沿って低失業高欠員に動いているだけでなく,UV曲線自体が外側にシフトしているように見えてきた.(今まではなんだったんだ)
    • 線の引き方は他にもありえる.(instrumentsが必要だが…)
    • でもマッチング効率の悪化が,景気回復に隠れて見えなかったとすると怖い話だ.

Shimer (2005)を手本にしつつUV曲線を定義し直し沖縄のmatching functionを推定してみようと思ったけど,利用可能なデータでは新たに失業状態へと移ったグループとそうでないグループを区別する術がなく(job finding rateが計算できない)挫折.どうしたものか.


学祭のためしばらく連休.研究を進めよう.

Wednesday, October 30, 2013

経済政策II, 第5回

講義内容:
  • 国民所得勘定
    • 生産,分配,支出,という3つの視点で経済活動を捉える.
    • 三面等価はマクロ経済学における最重要概念である.
  • 日本の財政
    • 財政の持続可能性については財政学者を中心に様々な研究が蓄積されている.
      • 講義中に紹介した論文はArai and Ueda (forthcoming)である.選挙で「経済成長すれば増税しなくても大丈夫」など主張する政治家は多いが,楽観的に過ぎるのかもしれない.
      • 他の研究に当たる場合,内閣府の「バブル/デフレ期の日本経済と経済政策」に収録の加藤 (2009)の図1-6などを参考に探すといい.
      • 20年以上前から研究者が破綻を警告してきたことは,(1) 研究者は嘘つきだ,と解釈することもできるかもしれない.しかしたとえば10年後に実際に破綻したとき,(2) 経済学は30年後の未来を予測できるんだ,と解釈できる日が来るかもしれない.
      • いずれにせよ我々は将来について深刻な不確実性を抱えている.

次回:
  • 財政の話

コメントより:
  • 「数式がたくさんでてきて難しい」
    • 足し算やかけ算を駆使して物事を定義する,というのはたしかに経済学で初めて目にするアプローチかもしれません.慣れるまではかなり苦痛かも…
    • ただ,数学的な表現を活用することは,システマティックに物事を整理し理解する上で現在人類に利用可能な中で最良の手段だと思います.いきなりすべてを理解することは難しいかもしれませんが,なんとか食らいついていくうちに思考能力はかなり向上するはずです.

参考文献:
  • Real Arai and Junji Ueda (forthcoming) A Numerical Evaluation of the Sustainable Size of the Primary Deficit in Japan, Journal of the Japanese and International Economies.

Friday, October 25, 2013

国際経済学II, 第5回

講義内容:
  • 国民所得勘定
    • 生産,分配,支出,という3つの視点で経済活動を捉える.
    • 三面等価はマクロ経済学における最重要概念である.
      • しかし,我々が対象とする,経済活動が国際的に入り組んだ状況では,「生産 = 所得」の部分で食い違いが起こる.
      • 名目GDP(生産)と名目GDI(所得)が一致していても,実質GDPと実質GDIが一致するとは限らない.対外的な購買力(交易条件)に変化があると,貿易を通じて実質的な所得に差が出てくるからである.
      • 詳しくはよりアドバンストな学習をする際に考えると良い.
    • 実際の数字を概観
      • 純輸出はけっこう小さい.が重要じゃないわけではない.
  • 国際収支表
    • 現代の国際マクロ経済の動きを掴むには,お金の流れを体系的に把握することが不可欠.国際収支の仕組みを理解するのはその前提条件として大切.
    • 基準が2008年に改訂された.講義ではニューバージョンを解説.
      • 国際収支表をより深く理解する必要がある場合,古いバージョンに基づいた解説ではあるが,日本銀行国際収支統計研究会 (2000) が最も手元に置いておきたい一冊になる.
      • vintage化した知識をアップデートするのはなかなか大変.自分も年を取った…と慨嘆したいところだが,そもそも自分こそ新しい知識を生み出し周りに勉強させる側であって愚痴を言っている場合ではない.
次回:
  • 学祭で休講になります.
  • レジュメ4も用意しておくとよいでしょう.

コメントより:
  • 「沖縄のGDPなどはどこで調べれば?」
    • 沖縄県統計資料WEBサイト」で県が諸々の公式統計をまとめています.ここから「県民経済計算」などをたどっていけば,講義中にちょくちょく紹介するような数字が得られます.
    • 総務省などの中央省庁が公表しているデータ(たいていの統計はe-Statにまとめられています)でも,「都道府県別」というくくりでまとめられていることがあります.
    • 民間企業や独法(出版社やシンクタンクなど)も都道府県別でデータを作成・公表していることがあります(無料とは限りません).
  • 「沖縄の貿易赤字は止められないのか? 世界でどうにかした案はないか?」
    • 「貿易赤字は悪,貿易黒字は善」とは限りません.
      • たとえば,たしかに貿易黒字だけど,安く買いたたかれているだけ,といった状況もありえます.
      • 貿易赤字を食い止めることを優先するとかえって別の歪みが生じることもあります.
      • 貿易は自国の商品を一方的に売りつけるものではなく,互いに「交換する」ものです.貿易黒字は我々をより豊かに,より幸せにする手段であっても,目指すべき目的となるとは限りません.
    • 貿易赤字から黒字へと転換した具体例を実際に示しておきます.次のグラフはデンマークのデータです:
    • デンマークの対外ポジション (単位: %). 出典: Lane and Milesi-Ferreti (2007)
      • 経常収支がおおまかに貿易の黒字・赤字を捉えるフローの指標です.
        • 90年を境に,経常赤字(貿易赤字)から経常黒字(貿易黒字)へと転換しています.
      • 対外純資産は,貿易で積み上げてきた資産・負債を捉えるストックの指標です. 
        • 80年代後半頃から上昇し始め, 最近では純債務国から純資産国へと転換している様子が見て取れます.
    •  同様に,ノルウェイとカナダのデータも示しておきます.
    • ノルウェイの対外ポジション (単位: %). 出典: 同上.

      カナダの対外ポジション (単位: %). 出典: 同上.
    • これらの国で具体的にどういう転換が起こったのかは私は詳しく存じません.これをヒントにしてご自身で調べてみてください.
    • 地域レベルのデータでも探せばいろいろ出てくると思います.が寡聞にしていい例は思いつきません.
    • 沖縄の移出・輸出を増やしたい,と復帰以来各所で議論されていますが,現実は甘くないようです.
      • 沖縄の主要な輸出産業は,観光関連産業になります(サービスを輸出).他に沖縄が輸出できるのは,泡盛や一部の農産品など,自然を活かした商品が多そうです.しかしこれらは規模の経済が働きにくく,また外国で経済成長が進んでも需要がなかなか増えない(需要の所得弾力性が低い)タイプの商品かもしれません.
      • 一方で,人知を凝らし洗練された商品はなかなか見当たらない気がします.
      • 輸出を増やすには,売れる物を作り,遠方にいる顧客のハートを掴み,生産・流通プロセスの無駄を省かねばなりません.これらは究極的には,自然環境や政府ではなく我々自身が深慮と機転をもって生み出していくものだと思います. 
      • 開発経済学の分野で類似の議論が積み重ねられています.「輸入代替政策」などのキーワードを頼りに調べてみるとよいでしょう. 
        • Todaro and Smith (2011)という有名な教科書には「輸入代替で工業化,という戦略がたいてい失敗したのはみんなが認めるところ」といった記述があります.安易に輸出促進を目指してもなかなかうまくいかないようです.

参考文献:
  • Todaro, Michael P., and Stephen C. Smith (2011) ``Economic Development (11th ed.)" Prentice Hall. (OCDI開発経済研究会訳『トダロとスミスの開発経済学』ピアソン桐原)
  • 日本銀行国際収支統計研究会 (2000) 『入門国際収支: 統計の見方・使い方と実践的活用法』 東洋経済新報社

Wednesday, October 23, 2013

経済政策II, 第4回

講義内容:
  • 「物価」の測り方も様々.
    • どういったアイテムの価格をどう計算するか,でけっこうな違いが出ている.
  • 「給料」の測り方も様々.
    • 雇用者報酬は,手取りの分以外(企業側が払ってる分の健康保険など)も含まれている.そういうわけで我々の実感よりは数字が大きくなる.
  • マクロ指標を眺めながら,日本経済の歩みを概観
    • 日米のバブルがターニングポイントになっているように見える.
    • 「景気がいい/悪い」という次元で経済を捉えるのは底が浅すぎる.同じ「景気がいい」でも内実は様々.
  • GDPの定義
    • 生産活動を中心にマクロ経済を捉える指標.
    • 生み出した価値こそが所得や消費の源泉になる.
次週:
  • レジュメ3の用意もお願いします
  • SNAの残り,財政の話
 コメントより:
  • 「GDPの意味がわかった」
    • より高い付加価値を生み出すことを目指して成長していきましょう.
  • 「暑かった」
    • 換気しましょう.
    • それにしても私の講義日はなかなか台風が直撃してくれませんね.

Monday, October 21, 2013

13年10月家計調査

前回の記事: 13年9月家計調査

毎度のごとく,家計調査(8月分)を眺める.事務作業が大詰めなので今回もごく簡単に.

消費支出は上昇へ転じている.(実質でも同様)
名目消費支出(対数). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.

名目消費支出のy-o-y成長率 (単位: %). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.

  • ここのところ減りまくっていた教育支出も,授業料アップでどかんと増加(前年同期比で258%)しているようだ.変動大きすぎ.
  • 名目消費支出は前年同期比で8.3%増加しているが,(名目消費支出-教育支出)だと3.2%増加(季節調整値だと3.3%)にとどまる.まだまだ厳しい.


 可処分所得は下げ止まりつつあるが,雲行きは依然として怪しい.

二人以上の世帯のうち勤労者世帯の名目可処分所得(対数). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.
  • 直接税と社会保険料が増えてきているわけではない.
  • 流動性低めの金融資産をあんまり持っておらず,株高の恩恵を受けていない世帯が多いのかもしれない.
    • 家調では金融資産や貯蓄のフローもわかる ようだが,データを整備するのが面倒くさいしサンプリングバイアス大きそうだし解釈もよくわからないので当面は触れないことにする.

 家調は他の指標とずいぶんと雰囲気が異なる.これについて少し前に何か思うところがあったのだが,すっかり失念してしまった…

Friday, October 18, 2013

国際経済学II, 第4回

講義内容:
  • マクロの数字を読むための基礎知識:
    • 名目と実質を区別しよう
      • 通貨が異なる国の間で実質GDPなどを比較するには,物価だけでなく為替レートも調整する必要がある.物価と為替を調整するには,レジュメ5で学ぶ購買力平価の考え方を使うと便利だ.実際,世銀やOECDで世界各国のデータを探せば,PPP(購買力平価)で評価した指標を見つけることができる.
    • 一人あたりで見ると,マクロの数字もイメージしやすくなる. 
    • 物価の違いを考慮したければ物価で割る,人口規模の違いを考慮したければ人口で割る.割り算は大切だ.
  • 国民所得勘定
    • 生産,分配,支出,という3つの視点で経済活動を捉える.(支出については次回)
    • GDPは付加価値の総和.
    • 新しく生み出した価値こそが我々の所得の源泉になっている.
次回:
  • レジュメ3の用意もお願いします
  • GDPの話の残り
  • 国際収支統計を理解する

コメントより:
  • 「GDPは日本の景気を知る大事なデータだと感じた」
    • よりリアルタイムに景気を反映する統計データは他にもいくつかあります.内閣府がまとめている景気動向指数はその一つです.
  • 「説明がわかりやすい」
    • ありがとうございます.でもちょっと進行が遅い気もしています.
  • 「都道府県によって賃金や物価に違いがあるのはなぜか?賃金や物価を均等化させることはできるのか?」
    • とてもよい質問ありがとうございます.
      • レジュメ5で触れる購買力平価の考え方ともつながります.
      • この問いを突き詰めていくと立派な学術論文にもなり得ます.ご質問は「地域間格差を解消するにはどうすれば?」といったディープな問いとも直結しているでしょう.
    • 要は取引費用が存在するということですが,私の専門分野でもあるのでもう少し長めに説明してみます.
    • もし「どこでもドア」を誰もが気軽に使える状況であれば,賃金や物価の地域間格差はなくなるはずです.いわゆる裁定取引がやり尽くされるからです.
      • つまり,物価に差がある限り,安い地域で仕入れて高い地域でそれを売れば,楽してぼろ儲けできます.高賃金地域にいる企業は,賃金の低い地域から労働者を連れて来れば人件費を大幅削減できるでしょう.
      • しかし,このように楽してぼろ儲けできる状況は,あったとしても長続きしません.物価の安いところでは物価が上がり,物価の高いところでは物価が下がっていくことになり,格差はそのうち消滅していきます.
    • 現実にはご指摘の通り物価に大きな差があります.これは「どこでもドア」が存在しないからです.つまり,物を運ぶ,人を移動させる,にはコストがかかるわけで,上述のような裁定取引を十分行うことができないのです.
    • 輸送費用が高すぎて,運ぶことが現実的でない商品はたくさんあります.
      • たとえば,六本木ヒルズを那覇市に運んでくることができないように,住宅や土地は動かせません.他にも,サービス業の多くは運べません.沖縄にいながらにして渋谷のヘアサロンで供給される美容サービスは利用できないのです.
    • このように,貿易できない商品がある場合,地域間で物価の水準やその動きに差が出てきます.
      • たとえば国際マクロにおいてはバラッサ・サムエルソン効果が有名です.
    • 東京のような大都市で地価や賃金が高いのは,人や企業がわんさか集まり住んでいるからこそ生じるプラスアルファの何かがあるからです.
      • 都市経済学では,このプラスアルファの何かを,集積の経済と呼びます.
    • 物価や賃金の格差をなくす,というのはこの世に輸送費用(や情報の不完全性)がある限り無理でしょう.
      • もしかしたら強引に政治的なコントロールをすればそうした無茶ができるかもしれませんが,法や統計が把握できない地下経済では政府の思い通りにならない取引が行われるかもしれません.
        • 経済学者は輸送費用がまったくないという非現実的な世界をシミュレーションすることもできます.たとえばBehrens et al. (2011).
      • 物価や名目賃金に地域格差があったとしても,人々が自由に住む場所を選べる場合,実際に住んでいるところが結局は本人にとって一番幸せ,という状況になります.
        • 日本だと,戦後,特に70年代頃から実質的な幸せ度(効用)で見た地域間格差は縮まりつつあるそうです.(Nakajima and Tabuchi 2011)
        • ただし,ある種の外部性や不完全性があれば,みんながみんな不幸な場所に住んでいる,という状況は理論上はあり得ます.
参考文献:
  • Kristian Behrens, Giordano Mion, Yasusada Murata, and Jens Südekum (2011) Spatial Frictions, CEPR Discussion Paper #8572.
  • Kentaro Nakajima and Takatoshi Tabuchi (2011) Estimating Interregional Utility Differentials, Journal of Regional Science 51, pp. 31--46.




独り言:
  • レジュメ6以降何をしようか悩ましい.割り算と一次関数以上の高度な数学を封印した状態でどこまでいけるのか.コンシューマーゲームのやりこみにありそうな,初期レベルプレイのようなものを感じる.
    • 初期レベルで学べる国際マクロってどのあたりが面白いんだろう…投機アタックか最適通貨圏かな.
    • 当初はMetzler図をやろうと思っていたが,学生にアピールしにくい気がしている.
    • もっと大胆に内容をカットしなければ.

Wednesday, October 16, 2013

経済政策II, 第3回

講義内容:
  • 時系列データを読む
    • トレンドに注目しよう.
    • トレンドを見抜くには,直線をどう当てはめられるか考えるのも手.
  • マクロ経済の循環
    • 財市場,労働市場,金融市場,と様々なルートでマクロ経済はつながっている.
    • つながっているせいで, 大変にややこしい.
    • ややこしい関係を一つ一つ解きほぐしていこう.
  • マクロで数字を見る上ための基礎知識:
    • ストックとフローを区別しよう
      • フローしか見ないのはダメ.なので,経済政策の政策目標としてGDPしか見ないのもやはりダメ.
    • 名目と実質を区別しよう
      • 給料をそのまま読んだものは名目.給料を「マンション何ヶ月分」に換算すると実質になる.
      • 実質給料は, 給料の持つ「実質的な購買力」を表すことになる.
次回:
  • レジュメ3も用意しておきましょう
  • マクロのデータを見る.
  • GDPの定義を押さえる.
コメントより:
  • 「経済は家計と企業と政府のサークルでなっている」
    • 社会は人と人とのつながりでできているわけです.
    • つながる接点が市場(しじょう)になります.
  • 「実質の計算の仕方・概念がわかった」
    • 旅行に行ったときなど,似たような計算は日常的にも無意識のうちにやっているかもしれません.
  • 「この講義のおかげで他の経済学の科目を安心して受けられる」
    • 感無量です! 期待を裏切らないようがんばります(難しくなりすぎない範囲で).
  • 「よろしくお願いします!」
    • こちらこそお願いします!

Tuesday, October 15, 2013

国際経済学II, 第3回

講義内容:
  • 国際マクロの数字を概観
    • モノの流れとカネの流れは表裏一体.詳しくはレジュメ3で.
      • お金が外に出ていく,といっても,タダで出て行っているわけじゃない.
    • お金の動きを理解するためには,金利の動きに注意する必要がある.
      • 金利の低いところで借りて高いところで運用すると,儲かるかもしれない.
      • が,こうした動きがあると,為替も動く.また,為替が動くと国際金融の流れも変わる.
  • 国際マクロの課題
    • 金融もグローバル化が進んでいる.特に戦後はそのスピードが著しい.
      • ホーム・バイアスはあるが,少しずつ解消されつつある.
    • ところがこうしたグローバル化はメリットばかりではない.グローバルにお金が動いているからこそ起こるような金融危機も経験してきた.
    • 国際マクロ・国際金融という学問分野にとって,こうした非常事態を理解し,対処し,予防することは重要な責務である.
  • フローとストック
    • フローは,時間の流れの中で起こったもの.
    • ストックは,それまでの積み重ね.
    • マクロを理解するには,フロー・ストック両方の視線が必要.とりあえずはこの区別ができるようになろう.
次回:
  • レジュメ3も用意しておいてください.
    • SNAの仕組み

コメントより:
  • 本ブログでは,ありがたくも出席カードにいただいたコメントに対して,すべてではありませんが返答をします.コメントによっては講義中にも取り上げることもあります.ご了承ください.
  • 「フローやストックの例がわかりやすかった」
    • ありがとうございます.
    • フローとストックの区別は,時間的な視野を持ってマクロ経済を見つめる第一歩になります.
  • 「日本は景気回復してるけど,借金は返せるの?」
    • 日本国全体で見た場合,日本は外国に借金しているどころか外国にお金を貸しています(レジュメ1の図17).貸した分の利払いを外国からもりもり回収している状態です.
    • 一方,日本国「政府」はご存じの通り借金しています.
      • ご指摘のように,景気が回復したりインフレになったりすると,税収が増え,政府の借金を返す能力がアップします.かといってそれだけで安心できるようにはならないでしょう.
        • 財政赤字の議論は経済政策IIという講義でもう少し丁寧に概観する予定です.
        • 詳細は財政学の教科書にあたってください.最近では,『経済セミナー』という雑誌の最新号で,政府債務特集が組まれています.図書館にもあるので手にとってはいかがでしょうか.(完全に理解するのは難しいですが,そもそも経済学者の間でも論争の多い難しいテーマでもあります)
    • 「金融のグローバル化 → リスクはあるがリターンもありそうですごい」
      • 世界的に有名な投資家ウォーレン・バフェットなどは,グローバル化の波に乗って巨万の富を築き上げています.
      • お金の動きはダイナミックで面白いですね.

    他:
    • 今年のノーベル賞は金融のボス3人が獲得しました.特にFamaのアイディアは私の思考回路に大きく影響しています.
    • 受賞を逃したあまたの研究者にも敬意を!

    Wednesday, October 9, 2013

    経済政策II, 第2回


    講義内容:
    • マクロ経済学の歴史の概観
      • 70年代頃から,人間行動を真剣に捉えるようになってきた.人間行動を分析するために,ミクロ経済学的な手法が積極的に取り入れられていった.
      • 普通の学生はそれよりも古い時代の経済学を中心に学んでいる.たしかに,マクロ経済の動きを体系的に把握するだけならそれでも十分収穫がある.しかし,政策的な含意を得るまで踏み込んで考えるにはそれだけでは不十分だ.
      • 講義では,テクニカルな議論は省略しつつも,新しい時代の経済学が何を見いだしてきたのか,そのエッセンスを伝える予定.
    • 数学の準備
      • 記号は,物事を最もわかりやすく効率的に伝えるための道具である.慣れないうちは取っつきにくいが,慣れたら記号抜きに議論するほうが難しいと気づくはず.少しずつでいいので,xやyといった抽象的な表現に馴染んでほしい.
      • 経済学は,モデル (model) を基にして分析する.モデルは何らかの数式が綾なす数学的関係の集まりである.経済学は,現実をありのままに分析するのではない.現実にフィットするような簡素なモデルを作り,そのモデルをいじくり倒すことで現実への洞察を得る.
      • 一次関数のような単純なものであっても,使い方次第では我々が思っている以上に有用である.

    来週:
    • レジュメ2の用意をお願いします.
      • マクロのグラフを概観する
    • 単位はともかく,試験は激ムズらしいです.なるべく勉強したくない人やGPAを気にする人は履修する際注意してください.

    コメントより:
    • 本ブログでは,ありがたくも出席カードにいただいたコメントに対して,すべてではありませんが返答をします.コメントによっては講義中にも取り上げることもあります.ご了承ください.
    • 「数学・経済学難しすぎ!」
      • 私も勉強し始めた頃はまったくわけが分かりませんでした.難しいと感じるのは無理もありません.
      • 参考文献に挙げているようなテキストを紐解いてみる,教員に質問する,など,必要に応じて補完してください.
      • 具体的にどこがわからなかったとコメントいただければ,改めて可能な限り説明いたします.
      • 「イージーだが曖昧で底が浅い講義」ではなく「小難しいけど学ぶ価値のある講義」を展開する予定です.履修登録するかどうかは熟慮してください.
    • 「経済学を学ぶ上で,数学を知っておかないと途中からついていけなくなる」
      • 数学を使えるに越したことはありません.が,数学を極力回避したとしても,経済学の勘所を理解することは可能です(相応の努力は必要です).数学を使った議論は見た目こそいかついですが,そこには惑わされずに,結局のところ何が大切なポイントなのかを意識して学習してください.
      • 本講義では,グラフを読み書きする能力を要求します.ガリガリ計算するわけではありませんが,グラフとじっくり向き合ってその意味するところを深く考えるトレーニングは不可避です.グラフなんて一切見たくない,という場合は途中からついていけなくなる可能性が高いです.
        • 現時点でそうした能力に不安があっても,講義になんとかしてついてこればそうした能力を著しく伸ばすことができるはずです.
      • 数学的な知識が必要になったときは,その都度簡単にではありますが講義中ないしレジュメで解説します.本講義を履修するために必要なのは,数学的な前提知識よりも,経済学に対する熱意と具体的な努力です.
      • 経済学を学ぶために改めて数学を一からやり直す必要はありませんしそもそもそんな時間はありません.必要に応じて必要なところだけやり直せば十分です.
      • 経済学の醍醐味は,中学・高校で学ぶような数学さえ扱えれば山ほど味わうことができます.数学を学ぶ価値は甚大です.
    • 「経済学の授業は数学がメイン.計算問題を解く授業をしてみては?」
      • 数学をマスターするには練習が不可欠,ということを踏まえたうれしいコメントです.
      • 本講義とは別に,中学・高校で学ぶような数学をやり直す講義があるといいなとは日々感じます.そこで学んだものはすべての経済学系科目およびその後の人生で活きるからです.
      • しかし残念ながら,私の講義中にガッツリ数学をやる予定は当面ありません.市販の教科書にはたいてい練習問題がついていますので,物足りない場合はそれにトライしてください.そこでわからないところは個別に質問いただければ対応します.
      • 実は,数学の基礎をやさしく解説するような特別レジュメをこっそり準備中です.しかし私の生産性が低いゆえに,本年度中に日の目を見ることはなさそうです.乞うご期待…
    • 「ケインズ派の経済学は経済政策のガイドには使えない」
      • そんなことない,と主張する経済学者もいます.有名どころでは,ノーベル賞受賞者のPaul Krugmanのような歴史の残る天才もいます.このあたりは議論がねじれやすい微妙なところです.
      • いろいろな立場はありますが,いずれにせよ政策運営をする際に経済学者の40年以上にわたる知的営為をことごとく無視するのはナンセンスだと思います.
        • 巷間にはそうした不誠実な議論が満ちあふれています.注意してください.
    • 「経済学の歴史はあまり知らなかったのでおもしろかった」
      • ありがとうございます.これからも「合コンでは絶対使えないおもしろトーク」をできるよう修行します.

     私のある恩師の名言に「数学はビビったら負け」というのがあります.裏を返せば「数学はやったもん勝ち」だとも思います.最初から器用にこなせる人はいません.途中であれやこれや言い訳を見つけて退却していくのも結構ですが,落ち着いて挑めばなんてことないかもしれません.「やればできる」と自分に言い聞かせてトライし続けてほしいですし,私はみなさんは「やればできる」ポテンシャルを持っていると信じています.

    Friday, October 4, 2013

    国際経済学II, 第2回

    講義内容:
    • 一次関数の基本
      • 一次関数は思いの外強力である.
      • 現実をありのままに見るのではなく,大事な部分だけを大胆に抽象化して考えよう.抽象化した数学的な関係を,経済学ではモデルと呼ぶ.
      • モデルを作れば,新しく人口5000人の町ができたらどうなるか?といったシミュレーションすらも可能になる.こうした思考実験は現実経済を理解する上でとても役に立つ.
      • 今回は例題を解いてもらった.話を聞いたり文章を読んだりするだけでなく,手を動かしアウトプットすることは大切.「練習」なので,現時点でできなくてもまったく問題ない.
      • 経済学では記号を使った表現を多用する.記号を使ったほうが便利で理解しやすいからだ.慣れるまで辛抱してほしい.
    • 時系列データ
      • マクロ経済学はミクロ経済学以上に「時間」の概念がポイントになる.
      • まずはトレンドに注目しよう.
    • 国際 + 金融
      • 国境をまたぐ取引では,異なる通貨のやりとりが不可避 → 外国為替の知識が必要.
    • 国際マクロ経済学の主要なデータを概観:
      • 金融収支 (financial account) は従来「資本収支」と呼ばれていたものに相当する(厳密には一致しない).勉強するときには言葉に注意が必要.
      • 「金融収支 < 0」 = 「お金の流出 > お金の流入」 = 「外国に“貸し”を作っている」
      • 為替レートは通貨の交換比率.パチスロの「メダル1枚 = 20円」や麻雀の「1000点 = 100円」と似ている.

    次回:
    • レジュメ2の用意をお願いします.
    • 履修登録は慎重に.テストは激ムズと評判です。

    Thursday, October 3, 2013

    13年9月沖縄県主要指標

    前回のポスト: 13年8月沖縄県主要指標, 13年7月一般職業紹介状況

    やはり忙しいので手短に.もっとさくっとVARを回せる渋い大人になりたい.

    まずは鉱工業生産(7月分).年頭の水準(DECOMP季調値で1月=95.3, 7月=94.2)に戻ってきたが,少し下がりすぎな印象も.
    沖縄の鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPでの季節調整値, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド. 出典: 経済産業省「鉱工業指数」

    先月気にしていた石油製品工業は壊滅.大丈夫か?
    沖縄の石油製品工業(青線がトレンド, 2005年=100).出典:沖縄県「鉱工業指数」.


    次に消費者物価指数(8月分).All itemだとプラスのインフレ率に.
    那覇市のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
    沖縄県のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
    内地よりは沖縄の方がわずかながらインフレぎみかなという印象.


     最後に労働市場を見る.2011年頃からの改善トレンドは変わらない.完全失業率(8月分)は前月より悪化しているが,労働参加率が上昇していることも見逃せない.

    沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

    沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
    • 非労働力人口が減って労働参加率が上昇している.
      • 労働力人口/15歳以上人口 = 59.6%. (男女計), は前年同期比で約1%上昇している.
      • 完全失業者には含まれないタイプの失業が減っていればいいね.
    • 15-34歳あたりの若年層の労働環境もじわじわ改善中.
    • そのうち13年前半の好況が反映されていくのでは.

    一般職業紹介状況のデータ(8月分)から.失業uは悪化しているが,vacancy rateの水準もまだまだ高いことがわかる.
    沖縄のBeveridge curve, 2009/01--2013/08. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」, 沖縄県「労働力調査」
    有効求人倍率は復帰以降,89年に並ぶ最高水準,とのことなので時系列で見てみよう.
    沖縄の有効求人倍率. 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」.
    • バブルじゃないといいね.
    • サービス・小売・宿泊などの部門で求人が増えている.短観でもこれらの産業はかなりポジティブであった.(今月の短観は全体的にポジティブだ)

    2011年頃から,非製造業部門を中心に沖縄の景気は拡大しているようだ.日銀の雇用人員判断DIでも,以下のように非製造業を中心に今年に入ってから人手不足感が目立ってきている.
    出典: 日本銀行那覇支店「県内企業短期経済観測調査結果(短観)」

    夫れこうした部門で労働生産性が急速に高まっているのだろうか?はたまた
      震災ショックが一段落 & LCC就航 → 観光客増加 → 観光関連産業で雇用増加,
    という経路だろうか?

     スカイマーク含むLCCのインパクトは重要かもしれない.ピーチやバニラの参入で観光サービスの輸出にかかる輸送費用が今よりさらに低下していけば,来年の消費税増税頃までは活況を呈することになるだろう.その傍ら,観光客のハートを掴めない低生産性小売店などは,input priceが上昇して憂き目を見るかも.

    Wednesday, October 2, 2013

    経済政策II, 第1回

    例によって,本blogでは講義内容のおさらい,補足,アナウンスなどを行う.RSSなどを活用して,適宜チェックしてほしい.とはいえblogまでチェックしないと単位が取れないということはないので,いちいち見ていなくても問題はない.講義ではしゃべり足りないところも多いので,ブログを書いてちょっとしたストレス解消をしている次第である.

    本講義に関するエントリーにはmacropolicylectureというタグをつけておく.必要に応じて活用していただければ幸いである.

    講義内容:
    •  講義概要
      • ディープな勉強をする機会を提供する
        • 単位がほしいだけなら履修取消をお勧めする
        • 時間をかけて取り組む価値あるレジュメを提供する
      • 救済措置なし 
        • 「卒業がかかってるんですー」などと来ても取り合わない.
        • 疾病や傷害など,特別な事情があれば遠慮なく申し出てほしい.
      • オフィスアワーは金曜1限
        • 気軽に利用してほしい.
        • ただし,私に限らず大学教員は見た目ほどヒマではないので,配慮するように.
      • 勉強の仕方
        • まずはレジュメを熟読することから.自分の言葉で説明できるよう咀嚼すること.
      • レジュメの準備
        • 3回目以降のレジュメは各自プリントアウトなりなんなりして用意するように.私が印刷するのは本日配布した分のみ.
        • パスワードを聞き逃した人は私か誰かに聞くように.パスワードはネット上(LINE含む)で公にしないように.
    • マクロ経済政策を学ぶとは
      • なかなか役に立たない.けど面白いよ!
      • 経済を俯瞰するような視点を持とう.身近な問題ばかりではないからこそ,学習する中で新鮮な発見があるかもしれない.
      • カルトじゃないので,様々な意見がありえる.それらがオープンかつ理性的に議論していること自体が大事.
      • 「有識者」や「エコノミスト」や「経済学者」に踊らされるな! 知的な誠実さを忘れるな! 
    • 「三本の矢」
      • 歴史に残る壮大な実験が進行中.
      • オーソドックスなマクロ政策を理解するのが先決.私の持論などは語らない(専門じゃないし).
    • 財政赤字
      • "シャットダウン"のような茶番劇真っ最中の国もある.お金がないと政府は動けない.
      • 政府の借金は我々個人の借金とは性質が異なる.ある程度丁寧に勉強する必要がある.
      • 財政赤字がヤバくなって機能不全に陥った国では,若者を中心に仕事がなくなったり重税にあえいだりするかもしれない.
    • 成長戦略
      • 新たなアイディアを生み出していく力が大事.それを支える経済制度 (institutions) も大事.
      • 政策として何ができるか,経済成長のメカニズムを理解した上で考えていこう. 

    次週:
    • レジュメ2も用意してください.
      • 数学のおさらい
      • SNAの理解

     参考文献補足:
    • マクロの(分厚い)教科書をじっくり時間をかけて読むとよい.