Friday, May 2, 2014

14年4月沖縄県主要指標

 大学の近くで「あーゆーあんだすたーんどいんぐりっしゅ」と叫んでいるおじさんがいました.私にはあんだすたんどできませんでした.

前回のエントリ: 14年3月沖縄県主要指標

 個人的なエクササイズを兼ねて,沖縄県の各種統計データを使って簡単な情報生産をしているこのシリーズ.あんまりご存じない方のために改めて言っておくと,私の専門はマクロでも統計でもなく,プロとして責任あるエントリを書いているわけでは決してない.また,地理的なリスクヘッジをするため私は県内企業には投資をしないことにしているので,ポジショントークにもならない.言うまでもなく,本ブログの情報は自己責任での利用をお願いしたい.


県内企業業況判断(14年Q1)は,総事局のBSI以外は好調だ.もう少し残念なことになると思っていた.
沖縄県内企業の景況感. 点線は原系列, 実線は季節調整値. 黒線: 沖縄公庫のD.I., 青線: 内閣府沖縄総合事務局のB.S.I., 紫線: 日銀那覇支店のD.I., オレンジ線: おきぎん経済研究所.  出典: 沖縄振興開発金融公庫「県内企業景況調査」, 内閣府「法人企業景気予測調査」, 日本銀行「県内企業短期経済観測調査結果(短観)」, おきぎん経済研究所「おきぎん企業動向調査」.
  • 13年下半期頃から経常利益はいまいちで,ネットではあんまり儲かっていないように感じるが.
  • 価格付けについては,仕入れ価格は上がったけど販売価格は上げられない,という状況に若干変化が見られる.
  • 明らかに好調なのは雇用情勢で,多くの産業で人手不足感が広がっている.でも,給与が上がるにはまだまだ時間がかかりそう(後述).
  • この1年間設備投資は増えてはいるようだけど,各種DIではあまり動きがないようにも読める.

鉱工業生産(2月分)は,季節調整するといったんブレーキがかかったように見える(出荷・在庫も同様).前年に盛り上がりすぎたせいもあるだろう.
沖縄の鉱工業生産, 2010年=100. 薄灰色が原数値, 黒が季節調整値, 青がトレンド. 出典: 沖縄県「鉱工業指数」.

消費者物価指数(3月分)は,消費税増税を直前に控え引き続き上昇中.
那覇市のCPI(灰色), コアCPI(赤), コアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」

沖縄県のCPI(灰色), コアCPI(赤), コアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
  • インフレ率はコアコアで那覇市0.5%, 沖縄県0.3%程度に.増税でエクストラな3%がどこまで転嫁されることになるだろうか.
  • 価格の動きは品目によって大きく違いがあるようだ.
    • 生鮮食品の価格はかなり落ち着いてきたように見える.
    • 光熱費(特にガス)は内地ほどではないものの着実に上昇中(下図参照).今年の夏頃には一服するかな.
那覇市のエネルギー価格. 出典: 沖縄県「消費者物価指数」.

労働力調査(3月分)

沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線が季調値, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線が季調値, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
沖縄県の労働参加率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線が季調値, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
沖縄県の労働参加率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線が季調値, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
  • 男女とも失業率は若干リバウンド.
    • 男性は労働力人口から非労働力人口に移動(完全失業者数にほぼ変化なし) → 労働参加率低下.
    • 女性は非労働力人口から完全失業者に移動(就業者数にほぼ変化なし) → 労働参加率上昇.


労働市場が逼迫している割に,2013年を通じて所得は芳しくない気がするので,グラフを載せておく.
家計調査(2月分)から可処分所得をプロットすると以下の通り.
沖縄県(青)と那覇市(赤)の名目可処分所得(対数),二人以上の世帯のうち勤労者世帯.出典: 沖縄県「家計調査」.
  • 直近では増加しているものの,13年を通じて所得は停滞している模様である.
    • 那覇市はサンプルが小さい.
毎月勤労統計調査(2月分)でも,ここ1年男女とも所得・賃金は減っている模様.
男性の決まって支給する(名目)給与(単位: 万円),全産業.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.

女性の決まって支給する(名目)給与(単位: 万円),全産業.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.

男性の時給(=現金給与総額/総実労働時間),全産業 (単位: 円/時).出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.

女性の時給(=現金給与総額/総実労働時間),全産業 (単位: 円/時).出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.

  • 就業者のスキル構成が変化して,平均的な生産性が低下しているのだろうか? 賃上げの兆しが見えてくるまでもうしばらく時間がかかるかもしれない.

産業による違いが気になる人のために,ここ1, 2年給与が他の産業に比べていまいちな産業(建設,小売,学術研究・専門・技術サービス業,生活関連サービス・娯楽)をプロットした:
各産業の決まって支給する給与の,全産業のそれに対する比,男女計. 出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.
学術研究がんばって….




大型連休は従来よりも慎ましやかに過ごす人が多いかも.メイクマンが人でごった返している.

連休明けには最近那覇空港周りでトラブルを起こした某LCCで外国に調査に行く予定.安いのは有り難いんだけど,イレギュラーへの対応が何かと杜撰すぎるので不安になってきた.メールや電話でコンタクトを取る術がない(っぽい)のは異様だ.

No comments:

Post a Comment