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13年10月家計調査
家計調査(9, 10月分)を眺める.しかしこれまでと違い,2000年1月までさかのぼったデータを用いている.
消費支出は停滞ぎみだが前年よりはよい.実質でも那覇市でも同様.
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沖縄県の名目消費支出(対数). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」. |
前年同期比では9月は10%程度, 10月は3%程度増加している.
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名目消費支出のy-o-y成長率 (単位: %). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」. |
- 9月, 10月分について:
- 9月の消費支出は好調であったが,生活が豊かになったというわけではなさそうだ.
- 好調の主要因は,住宅の「設備修繕・維持」という項目が突出して伸びていたことだろう.「設備修繕・維持」を除くと,マイルドな増加にとどまる.
- 今年は夏に台風が少なく,10月に台風が多かった珍しい気候であった.10月の「設備修繕・維持」は平常通りの水準に戻っている.台風ではなく単に外れ値だったのかもしれない.
- 生鮮食品の物価が上がっていることもあり,食料支出は名目と実質で景色が異なる.(名目支出は増えているが実質はほどほど)
- VAT増税確定が10月1日であったが,10月に耐久消費財の消費が急に増えた跡は見られない.
- 新たに増やした2005年以前のデータについて:
- これまでは谷底からスタートしたデータであった.0年代前半はすさまじい勢いで消費が縮小していた様子である.
- 0年代を通じて,少子高齢化が目覚ましい.
- 18再未満人員は減り,65歳以上人員は増えてきている.
- 世帯主の年齢も,2000年平均で50.3歳だったものが,直近1年では54.6歳(那覇市では57.2歳)に高齢化している.
- 論文を念頭に置いて分析する場合,demographicな移り変わりも無視できなさそうだ.
可処分所得は今年に入ってから芳しくないまま.貯蓄を取り崩しにかかっている.
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二人以上の世帯のうち勤労者世帯の名目可処分所得(対数), 沖縄県. 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 総務省「家計調査」. |
雇用(建設と介護が中心か)は回復しているけど生産と消費は弱いまま,というところ.毎勤の賃金もさえないし,雇用以外はいったんピークアウトか.円安は残っているが,観光もそろそろシーズンオフ.マクロ政策にもそろそろ転換点がやってきそうなムード.来年春頃までは順調かと思っていたが,少し悲観的になってきた(採点に疲れているせいかもしれない).
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