Friday, May 17, 2013

国際経済学I, 第5回

講義内容:
  • 部分均衡分析
    • 限界費用
    • 比較静学
    • 余剰
次週の予定:
  • 弾力性について補足
  • 部分均衡分析を使って国際貿易モデルを作る.今度こそ次のレジュメへ.
補足:
  • 講義後に「あれってアダム・スミスの話ですねー」とコメントをいただいたがその通り.
    • 経済学で通常想定する登場人物はみんな自分勝手だ.消費者は自分がうれしいかどうかを考えて行動するし,生産者は自分がもうかるかどうかを考えて行動する.
      • みんなが自分勝手に振る舞っているカオティックな状態なんておそろしい!というのが常識的発想.
    • しかし第一定理は,ある特定の条件下では,自分勝手な振る舞いがかえって社会全体にとってある意味でよい帰結をもたらすことを示している.
      • 市場メカニズムの最大のメリットはこのあたりにある.政治家や官僚といった社会全体を見渡せる人々が,愚民たちを手取り足取り指導しなくても,それなりにうまくいくのだ.
    • 経済学の祖A. Smithはこうした市場メカニズムの働きを「見えざる手(invisible hand)」と表現した.
    • もちろん,第一定理が成り立つための前提条件が,現実に成り立っているとは限らない.前提が成り立たず市場がうまくいかないことを「市場の失敗」(market failure)という.
      • 経済学は「市場はうまくいく」とは言っていない.「もしある条件が満たされれば,市場はうまくいく」と言っているにすぎない. 「もしAならばB」という形式になっていることに注意したい.Aが成り立たなければBも成り立たないかもしれないのである.

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