Saturday, December 6, 2014

経済政策II, 第10回, 2014

講義内容
  • 経済政策と経済成長
    • 根本的なレベルで経済政策がうまくいっていないと,長期的には破滅的な結果を招くかもしれない.
    • どうすれば成長できるのかは依然として難問である.
  • 財政
    • プライマリー・バランス赤字が続いており,どこかで変化が不可欠.
  • 中立命題
    • 増税を延期しても借金が消えるわけではない.将来負担が降ってくるなら,それに備えて今のうちから節約する必要があるだろう.資金調達のタイミングをズラしても,我々の生涯所得が増えるとは限らないのである.
次週
  • 45度線モデルをやる予定.この授業の中では数学的にやや高度なトピックになるので覚悟を…

コメントより
  • 「(租税も公債も)理論上は変わらないということだが,今生活がかかっている国民からは増税の方が反発は強そうだなと思った」
    • そうなんですよね.ここは本当に悩ましく難しいポイントです.財政学の中心的な課題につながっています.
    • 我々の素直な感情としてはそうなのですが,政治家にはそうした国民感情を踏まえた上で増税を回避したり,負担があたかもないかのように「イリュージョン」を仕掛けるインセンティブがあるかもしれません.
    • 本来は中立命題がどういう仮定の下で成り立つものなのか,現実にはなぜ成り立たないのか,を丁寧に理解していく必要があります.
    • そしてまさに「今生活がかかっている」(借り入れ制約に服している)国民にとっては,中立命題は通常成り立ちません.とても鋭い洞察だと思います.
  • 「公債がどういうものかがなんとなく分かった」
    • 直接取引に携わることはほぼないかと思いますが,たとえば銀行に預金すれば,間接的に公債に投資することになります.公債の仕組みを知っておくと自分の資産がどうなっているのかもざっくり把握できるようになるかもしれません.
  • 「公債を減らすかどうかも中立命題で変わらないことが分かった」
    • もしかしたらやや誤解があるかもしれません.
      • 財政赤字は,これまでに発行してきた公債(フロー)が積み重なったストックの変数です.ストックとフローの区別に敏感になりましょう.
    • 中立命題が主張しているのは,仮に財政赤字を1兆円減らすとして,「1兆円税金で取る」選択肢と「1兆円新たに公債を発行すること(→財政赤字は結局減らない)」選択肢を比べると,負担は変わらない,ということです.公債で借り換えしても結局いつかは1兆円+利息の分だけ税金を取らねばならないのです.

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