Sunday, July 27, 2014

国際経済学I, 第15回, 2014

試験と採点が終わった開放感がたまらない.研究を専らとする時間を大切にしたい.(8月下旬はワークショップも予定中.髪型的につらい季節だが耐えたい.) 皆さんごきげんよう.
  • 受験者137人, 平均74.9, 中央値75, 標準偏差22.28.
  • 素点の分布は以下の通り.90点以上が28人,80-89点が28人であった.期末試験を受けて60点に満たない人は25人.
  • GPAと出席数以外に,期末の成績に影響しそうな変数は見当たらない. 
    • 講義内容の理解や授業参加というより,基礎学力が強めに反映されたかもしれない.
  • 最終的な成績分布は以下の通り.中間試験が平易だった分,好成績に落ち着いた学生は多い.昨年度よりも穏当だ.ただし,理由なく6回以上欠席している人はどんなに試験の結果が良くても不可にした.
  • 最終的な成績も,GPAと出席数以外に有意な関係を持つ変数は見当たらない.
  • 追試や救済は行わない.
間違いの多かった問題の略説 (追記: 役目を終えたので削除しました.)

今回のテストに限らず,「お金が回るようになる」という古いケインジアン的修辞を使う学生がたまにいるのが気になる.曖昧模糊としていながらなんとなくわかったつもりになれる危険な表現だと思う.

Thursday, July 24, 2014

経済政策I, 第15回, 2014

期末試験お疲れさまでした.いよいよ夏休みです,有意義に過ごして下さい.
  • 71人受験,平均79.75, 中央値82.5, 標準偏差25.36. 
  • 中間試験が難しかった分だけ易化した.文句なしの満点が2人,33人は90点以上である.
  • 得点分布は以下のように,90点以上の層がとても厚い.練習問題を解いたかどうかで大きく分かれたのだろうか.
  • GPAと出席数以外に,期末の成績に影響しそうな変数は見当たらない.
  • 中間試験や出席状況も加味した最終的な成績評価は以下の通り.Sが24人,Aが12人と,期末試験を受けた学生の約半分はA以上の予定.期末試験を受けたがあえなくFとなるのは13人(そもそも出席数が足りてない,中間試験未受験,なども含む).
  • 最終的な成績も,GPAと出席数以外に有意な関係を持つ変数は見当たらない.
  • 試験問題にも出題した通りの理由で,追試や救済は行わない.

間違いの多かった問題の略説: (追記: 役目を終えたので削除しました.)

講義全体を通じての反省:
  • 試験的に昨年度と内容を大きく入れ替えたこともあり,次年度以降に向けて反省すべきところや自分の力不足を痛感するところも多かった.
    • 先のことまで考えろ,と教えたわりに,カバーしきれないほど盛りだくさんなレジュメを作成してしまった.もっと内容を取捨選択できたはず.
    • 中間試験のタイミングが悪かった.講義の進行に無駄が生じたし,履修取り消しが間に合わなかった学生も多かったかもしれない.
  • 自分の研究能力向上に役立つことを期待していたが,当てが外れたかもしれない.下手に欲を出さないことだ.
  • 個人的には国際経済学Iよりもこの講義のほうが学び甲斐があるし数学的な要求も緩やかだと思うのだが,受講者からするとどうなのか気になる.
  • この講義に限ったことではないが,もっと平易な言葉でゆっくり語れるようにトークを洗練させたい.学生のボキャブラリという羈絆に精神を消磨している.(我ながらこういう衒学的なスタイルから脱せないことに忸怩たる思いがある.)


Tuesday, July 22, 2014

紀『土佐日記』他

 旅の味わいはその人の教養を反映すると思う.(これは西田幾多郎かだれかが書いていたことでもあるが出典を失念してしまった.) 殊に歴史を知り古人らの結節点を知っていると感慨深い旅になる.夏休みに旅行する予定がある学生は,司馬遼太郎でもなんでもいいから現地に関する本を手にとってはいかがだろうか.(もちろん旅の楽しみ方は様々あってよいのだけれど.)

 この連休は四国を周遊した.旅に備えていくつか四国関連の知識を深めたので,簡単に読書メモを残す.以下すべて青空文庫から.
  • 紀貫之『土佐日記』
 内容的には四国とほとんど関係無かったのでこのタイミングで読まなくても良かった.注釈を抜きに読むと,細々としたウィットが汲み取りにくいのでなおさらだ.
 載っている和歌の多くはなんだか趣味が悪いと感じた.「いとをかしかし.」に女子学生と共通するセンスを感じた.

  • 種田山頭火『四国遍路日記』
 フリースタイル俳句をちりばめたお遍路日記.平安セレブとはまるで見ている世界が違う.犬に噛まれた,とか,いやでいやでたまらないけど行乞した,とかパンクすぎる.
 日を追うごとに変わっていく文体に,遍路の厳しさを思う.

  • 正岡子規『歌よみに与ふる書』
 愛媛最大のカリスマ文人による芸術論.「貫之は下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集に有之候」と紀貫之をぶった切り,無批判に古い者をありがたがるな,という.単にクリエイターのプライドを若気の至りで露骨に記したというわけではない.開国維新後,異国文化からの文学的挑戦に対応を迫られていた,という歴史的文脈を踏まえて読みたい.
 万葉集でも大伴家持や柿本人麻呂は技巧を弄するところがあるとは思うけれど.

Friday, July 18, 2014

国際経済学I, 第14回, 2014

講義内容
  • リプチンスキー定理
    • 賃金は労働の需給に左右される.
    • 部分均衡の素朴な直感は必ずしも正しくない.統計データでサポートされないこともある.
      • 日本の移民受け入れをめぐる実証研究については,中村他『日本の外国人労働力』に詳しい.
    • 労働供給が増えた場合,資本移動を通じて,新たに仕事が産み出されるかもしれない.
  • グローバル化と労働
    • 人や資源がチャンスを求めて産業の間や企業の間を動く.
    • グローバル化の波に乗れない企業は淘汰されていくかもしれない.
  • グローバル化と企業
    • 輸出入以外の形でも世界進出する企業が増えている.
次週
  • 簡単に講義全体をまとめた後,期末試験を実施します.レジュメを読み直す,練習問題を解く,などして備えて下さい.来週出席できない場合は事前に相談してください.
コメントより
  • 「労働供給が下がれば賃金はもっと低下するのでは?」
    • 労働供給が減ると,労働供給曲線は左方向に動きます.ので他の条件が一定なら,均衡賃金は上がる.
  • 「保険会社まで海外進出しているとは」
    • アクサダイレクト,プルデンシャル,など外資系が日本で活動していたりもしますね.
  • 「イオンは海外を狙ってる.丸大,サンエーも早くグローバル化してほしい」
    • ローカルな企業にとっては容易なことではありませんね.大手コンビニでさえも海外進出は何十年とかけて挑む大きなプロジェクトです.
  • 「生産性の高い輸出企業に就職したい」「就職するときは多国籍企業を参考にしたい」
    • 県内には少ないですね.ポテンシャルはあると思いますが.
    • 大企業の末端として就職するのと,中小企業の中核を担うのとで,どちらがよいかは人それぞれだとは思います.有名企業ばかりに固執しないほうがよいとは思います.
  • 「グローバル化という言葉を少し違った意味で理解していた」
    • 定義が特に定まっていない,漠然とした多義語です.私は貿易取引を妨げる「壁」がなくなっていくプロセス,という意味でおおむね使っていますが,それ以外の意味も含む言葉ですね.
  • 「今日の講義は最初からのまとめみたいですごくわかりやすかった」
    • そろそろクライマックスなので前半戦で用意した伏線を次々と回収してみました.
  • 「自分の生活と経済学が密接に関わっていると感じる講義だ」 
    • そう感じて頂けると幸いです.自分にはどうせ関係がない,と思ってしまうと勉強するインセンティブは低下しがちですので.
  • 「替えがきくと就職できにくそう.誰もできない自分だけができるものを見つけたい」
    • そうですね.ただし,労働需要も大切ですので,誰もできないけど誰にも必要とされない(労働需要が少ない)人に成長すると損をするかもしれません.
  • 「試験がんばります」「試験難しそう」
    • 難易度は割り算がいくつか出る以外には中間試験と大差ない気がします.

参考文献
  • 中村二郎, 内藤久裕,神林龍,川口大司,町北朋洋 (2009) 『日本の外国人労働: 経済学からの検証』日本経済新聞出版社

Thursday, July 17, 2014

林『「沖縄シマ豆腐」物語』

引き続き読書メモ.
  • 林真司 (2014) 『「沖縄シマ豆腐」物語』 潮出版社
 島豆腐の歴史,文化,市場構造をまとめたエッセイ.海水,養豚,冊封貿易,など沖縄の食文化や歴史が島豆腐文化を支えていることがわかる.
 ゆるふわな内容なので,学生でも読みやすいはずだ.学生だけでなく,経済学のプロの関心も引く内容だ.ビジネスの細部まで記述してくれており,経済モデルに翻訳できそうな情報が多い.たとえば島豆腐生産は規模に関して収穫逓減なのかも,などと想像できて楽しい.また,貿易を通じて製法が伝達し波及する事例の一つとして,頭に入れておくと便利そうだ.
 ただ,筆者は経済学については理解が浅く,価格や競争を的外れなロジックで攻撃している.少し残念な気持ちになった.
 武庫川で沖縄人がひどい目に遭った,という話は武庫川の近くに長年住んでいた割にまるで知らなかった.明日伊丹空港に飛ぶので少し感慨深いものが去来するかもしれない.

Wednesday, July 16, 2014

経済政策I, 第14回, 2014

よく利用している近所のスーパーで,面識のない学生(バイト)に観察されていたことが判明した.仕事とプライベートがinseparableなのは精神衛生上よろしくない.
侘しい台所事情が筒抜けになっていると思うとやるせないので今夜は石垣牛を焼いている.

講義内容:

  • 時間不整合性
    • 後になって手のひらを返す,と見透かされると,事前に決めた約束が思うように機能しなくなってしまう
    • 約束は守りますよ,とコミットし,実際に守る,というところを見せていく必要もある.
    • 政府が善意でやっていることがかえって仇になる,という意味で政府の失敗にもつながる.
  • フォーク定理
    • 一回こっきりの関係では終わらない場合,新たな戦略的関係の展望が開ける.

次週:

  • フォーク定理を補足した後,期末試験を実施します.
  • 練習問題をアップロードしておきました.適宜活用してください.
  • 試験および成績について,私は一切事後的な救済は行いません.もし何らかの事情があれば,試験前に相談してください.


コメントより:

  • 「経済を学ぶことで自信になった」
    • 微力ながら助けになれたのであれば光栄です.
  • 「心理学的」
    • ミクロ経済学ではいかに人が考え意思決定を行うかが永遠の一大テーマになっています.
  • 「テストがんばります」
    • 難しいかもしれませんが諦めずに挑んでください.

Monday, July 14, 2014

堀田『インドで考えたこと』他

久しぶりに読書メモ.台風の間に積ん読をいくつか消化できたのだ.

  • 堀田善衞 (1957) 『インドで考えたこと』岩波書店
 インドから思想,哲学,文学を考える.いつ面白くなるんだろうと思ってたら最後まで面白くはならなかった.一定以上の深度に考察を深めていくことが出来ない文系インテリの姿に焦慮を抱いた.(他人ごとではない.)

  • 福澤一吉 (2010) 『議論のルール』日本放送出版協会
 国会の党首討論やテレビの討論番組を素材にして,論理的で建設的な議論をするにはどうすればよいか考える.ビジネスマン(最近だと瀧本哲史など)が書くディベートのノウハウ本と違い,アカデミックな議論の積み重ねの中で培われた議論の作法を学ぶことができる.分量も軽く,内容は学生にはややハードだが,本blog読者層全般におすすめしたい.
 政治家や芸能人(テレビに出る芸能人的学者の多くも含む)の議論は議論とは呼べない.その場を取り繕う瞬発力はすばらしいが,論点は噛み合わず,根拠も論証も怪しげなまま突き進むばかり.私はこうした議論に対して違和感と嫌悪感をおよそ中学生の頃から漠然と感じていたのだが,もし思春期頃に本書と出会っていたら今よりもっと超然的なイヤなヤツに成長していたに違いない.
 本書を読んでいて,「説明する」という言葉の意味が我々と一般人とで異なることにようやく気づいた.試験問題やレジュメを作るときには注意せねばならない.