出張・体調不良などで更新が遅れました.このブログでは講義の振り返りや,いただいたコメントへの返信,補足説明などを行っています.
講義内容
コメントより
講義内容
- ガイダンス
- マクロ経済政策について標準的知識を学ぶ.
- 成績評価は試験2回で.
- 講義資料はウェブで配布中.印刷にコストはかかりますが,教科書を1冊買わされるより安いと思っていただければ.
- 政策の目標
- 万人が納得するゴールはなかなか設定できない.実践上はどこかで妥協が必要になるだろう.
- みんなの意見を最大公約数的にまとめようとすると,「一億総活躍」のように,昭和の記憶を呼び起こす以外にこれといって具体的な主張のない,何とでもとれるようなフワフワしたものになってしまう.
- マクロ政策の背景
- 「三本の矢」「新三本の矢」とキャッチコピーがついているけど,どれも普通のマクロ政策パッケージの延長線上にある.まずは基本を押さえることからはじめよう.
- 日本の財政赤字は世界でも珍しい状況.世代間の対立も生じる.
- キャッチアップのプロセスが終わった後に成長率が低下するのは自然.ただそれにしては低成長が続きすぎている模様.
- マクロ指標
- フローとストックの区別を意識しよう.GDPはフローの指標.
- 名目と実質の違いは,物価が鍵.
コメントより
- 「グラフを見ることでたくさん感じることや学ぶことがあり勉強したくなった」 「この講義はさらなる考察力の向上につながると感じたので,充実した学習に取り組むように努めたい」「たくさん学びついて行けるようがんばります」
- がんばりましょう.講義に参加するだけでなく教科書を読破するといいですよ.
- 「累進課税で成長悪化,とのことだがどこが悪くなるのか?」
- 私が「成長」というとき,一人あたり実質GDP成長率の動きを指します.生産も所得も消費も伸び悩む,というイメージを持っていただければ.
- 「平等って難しい」「幸せって難しい.」「全員が納得する政策はないかもしれない」「一つ一つ経済政策を通じて解決していこうと努力する今の社会はいいと思う.だけど,すべての人が幸せになるとは限らないので,とても難しいと思った」
- その通りでして.
- 「多数決は絶対ではないと初めて知った」
- 多数決を盲進することはかえって民主的でない事態を招く可能性もあります.
- 「実力によって見合う給料を決めてほしいので,安定よりも競争派.しかし逆の人もいるので,妥協点を見つけるのがよい」
- 実力に見合う給料に決まると世の中はもう少し効率的になる,というのが伝統的な経済学ですが,実際にはどうでしょうか.万人が納得する,という状況はないでしょうねぇ.
- 「プロ野球選手が1億稼いだとしたら課税でどのぐらいかかりますか?」
- わかりません.控除があるので4割そっくりそのままは納めません.
- 「やはり少し難しい」「今まで経済系の講義は難しかったけど先生の講義には素人にもわかりやすい」
- 難しいなりに継続していると,成長して私の話が通じやすくなるのかもしれません.
- 「若年失業率のグラフで,上がった下がったがわからなかった」
- 軸を確認しましょう.
- 「アベノミクスの中身は,イメージだけでなく具体的な内容の話があると覚えやすい」
- おっしゃるとおりですが,具体的な論点に踏み込むととてもテクニカルになってしまいます.中途半端に単純化して伝えようとすると,たとえば「お金をばんばん刷る」などと言うと,かえって深刻な誤解を招くリスクがあります.
- 「名前だけ知っているアベノミクス」「名前だけ知っている三本の矢」
- ニュースのキーワードそのものではなく,金融政策や財政政策の基本的な仕組みを知っておくことが大事だと言いたかったのです.
- 「財政赤字をかかえている中で東京オリンピック開催することでさらに財政赤字になるのではないですか.また,年金・社会保障は私たちが老いた頃には少子高齢化のためもらえないのではないですか」
- 鋭い.
- 「年金は希望者だけだったらいいのに」
- 若者がそう感じるのは無理もないですね.
- 「若者の声を反映できるような制度があるといいですね」
- 選挙権年齢が引き下げられましたね.
- 「企業が人を雇えなかった場合,消費者がいない場合,財政はどうなるの?」
- 話が飛んでいて答えにくいですが,人を雇えない企業は賃上げなど待遇改善をするか,待遇改善する目途を立てられなければ市場から撤退するかですね.
- 「給料が上がっても物価が同じだけ上がったら実質的には上がっていない,というのはおもしろい」
- 経済学を勉強していない人はよく錯覚します.
- 「図8(物価)の3つのグラフは,将来どのような動きをするのが望ましいのか?」
- 今の政府は,将来もっと物価が上昇してくれるとうれしいと考えているようですよ.経済学者によっても濃淡ありますが,インフレ率は通常0~4%程度で安定して推移する状況が望ましいと考えられているようです.
- 「去年国際経済学IIでやったけど忘れていた」
- そろそろ思い出してくださいね.
- 「教室が狭く座る場所がなくて外で聞いていた.広い教室で集中して学びたいので教室変更できないか?」
- 気づかずに失礼しました.現在調整をお願いしています.
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