下の方のポストにも書いてある通り,このblogでは講義のフォローなどを行っている.オープンにしても恥ずかしくない内容を教えるという意味もある.
本講義に関するエントリーにはtradeとlectureというラベルをつけておく.必要に応じて活用していただければ幸いである.
講義内容
参考文献
Claudia Goldin, and Lawrence F. Katz (2010) The Race between Education and Technology. Belknap Press.
本講義に関するエントリーにはtradeとlectureというラベルをつけておく.必要に応じて活用していただければ幸いである.
講義内容
- 講義概要
- グラフを読むなど基礎的な数学力は要求する.
- レジュメはウェブからダウンロードしてね.
- 内容は昨年度とほとんど変わらない.
- 大卒プレミアム
- 大学生活の中で何かを掴もう.
- 分業や特化を通じて,誰にでも社会に建設的に貢献できることを国際経済学は教えてくれる(予定).
- 本ブログでは,ありがたくも出席カードにいただいたコメントに対して,すべてではありませんが返答をします.コメントによっては講義中に取り上げることもあります.ご了承ください.教員の話を鵜呑みにせず批判的に聞くことは大切だと思います.どんどん疑問を持ちましょう.
- 「大学進学率が上がっていて,まったくできない(眠ってたりやろうとしない)大学生もいるから,格差は縮まっていると思っていた」
- よい洞察ですね.大卒の(相対的な)供給量は増えていますし,それは学歴間賃金格差を縮小するような効果を通常持つでしょう.最近流行のピケティ『21世紀の資本』にも,教育の普及が格差を縮めると言及があるそうです(私は未読です).しかし,社会はそれ以上のスピードで変化しているのかもしれません.
- 翻訳はまだされていないようですが,Goldin and Katz (2010) などが労働市場の需給バランスの観点から整理をしています.
- 「春休みに海外インターンシップに参加して刺激を受けたが,現実も思い知った.今大学生に必要な知識・能力・スキルは何でしょうか?」
- 必要なものは将来何をしたいかによって様々です.私にはわかりません. でも海外に飛び出すほどの行動力やその経験を省みる能力は大切だと思います.
- 一般論としては,幅広い教養や,深い論理的思考能力,語学を含むコミュニケーションスキル,自己管理能力,挫折にめげない忍耐力,など挙げればきりがないほどあります.今はあまり役に立たないと思うようなスキルが将来思わぬ形で役立つこともあります.何をどう活かすかはみなさん次第です.よくわからないうちはいろんなジャンルの本を読むとよいように思います.
- 個人的な経験では,情熱を傾けられる何かを見つけることが大切なのではと思っています.高いモチベーションを維持する能力と言えるでしょうか.
- 格調高すぎるかもしれませんが,J.S. ミルの『大学教育について』が参考になるかもしれません.
- 「能力はあっても経済的に厳しく大学に行けない人はどうか.あるいは大学生活をテキトーに過ごして何もせず卒業した人は「能力がある」と言えるのか?」「大卒は能力がある証拠という表現は絶対か」
- 高い能力を持っていたとしても,それを他人に知らしめるのはそう簡単ではありません.たとえ能力はあっても,高卒であるというだけで第一印象が悪くなることはあります.また,「能力がない」人でも,「能力があるように見せかける」ことはある程度可能ですね.
- 経済学で「情報の非対称性」と呼ばれる問題の典型例です.人の持つ能力を正しく評価するのは難しいことなのです.
- とはいえ,能力の低さは遅かれ早かれ露見しますし,逆に第一印象が悪くても挽回することは可能です.
- 何もせずにのんびり過ごす時間もそれはそれで必要だと思いますよ.それだけだと寂しいですけどね.
- 絶対にそうだ,という話ではありません.学歴は完全なシグナルとしては機能していませんので,例外は多々あります.あくまでも,可能性が高いと見なされる,という程度のものです.慎重に解釈して下さい.
- 「専門的スキルを持つ専門卒が,特に知識や技術のない大卒よりも収入が低いのはなぜか」
- シグナリング的には,元々稼得能力が低い人が専門に集まっているという仮説が立てられるでしょう.また,大卒のほうが時代の変化とともに自分のスキルを更新していくことができるのかもしれません.知識はどんどん新しくなりますので,学校で身につけた専門知があっという間に使い物にならなくなることは珍しくありません.その他いろいろな理由を考えてみてください.うまくまとめていけば卒論にもなるのでは.
- 「iPhoneの生産国はどこになるのだろう」
- 私の携帯には,カリフォルニアでデザインして中国で組み立てた,と書いてあります.
- 原産地の決め方は,脱税や節税とも関連し実務上大切な論点になります.基本的には,どこで決定的な加工をしたのか,に注目します.
- 「iPhoneの利益はどこにいくのだろう」
- 利益の分配を正確に知るのは難問で,学術的にも大切なテーマです.
- ある研究によれば,総コスト178.96ドルのうち中国での組み立てには6.5ドルしか費やしていないようです.(いくらなんでもこの数字は過小評価されているように思いますが.)
- 「大学の講義もそのうち機械に取って代わられるのだろうか? 完全にそうならなくてもそういう傾向は見られるので気になる」
- 私自身は受けたことがありませんが,世の中にはDVDを流してばっかりの講義もあるようで,そうした講義はすでに取って代わられているとも言えるかもしれませんね.自前ではヘボい講義しか提供できないような大学は将来潰れていくかもしれません(スター教員には一攫千金のチャンスとなるかもしれません).一方,生講義やゼミには機械ではなかなか出せない魅力があると思いますので,プロフェッショナルな教員の需要がゼロになることはないでしょう.我々教員も安穏としてはいられません.
- (教育業務負担が減り研究業務に専念できるようになればいいのに…)
- 「現実は厳しい」
- 手助けしてくれる人もいますよ.
- 「国際経済学を学ぶ意義があまり見えてこなかった」
- 我々にとってグローバル化という現象は他人事ではなく,もう少ししっかり理解しておきましょう,というところでしょうか.説明に舌足らずなところがありました.
- 「受けやすそうな授業だが,話の中身は?だらけ」
- ミクロ経済学を別途勉強するともっと話が通じやすくなると思います.
- 「卒業できるようがんばります」「正直経済は苦手だけどがんばります」「非常に有意義な時間を過ごし学ぶことが出来た」「納得」「びっくり」「半期よろしく」
- いろいろとよろしくお願いします.
参考文献
Claudia Goldin, and Lawrence F. Katz (2010) The Race between Education and Technology. Belknap Press.
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