講義内容
- 仮説検定
- 真実を見抜きたいけど,間違うことがある.その間違い方には2種類ある.
- 通常,片方のエラーを減らそうとするともう片方のエラーが深刻になる.両方のエラーを同時に減らすには,そもそもの判断材料をもっと充実させなければいけない.
- レジュメ3の残り(逆選択)をやります.
- 「2つのエラーの違いがまだよくわからない.どんな事実にどんな判断をしたらタイプIエラーなのか?」
- 講義資料では話をなるべく単純化するために,どういうときにどちらのエラーに分類したらよいかわかりにくくなっています.惑わせてしまいすみません.
- 本講義ではエラーが2種類ある,ということを理解していただくことがとりあえずの目標です.エラーの分類やその詳細が気になる場合は,統計学・計量経済学で仮説検定を学んでいただけるとよいと思います.以下で簡単に補足説明します.
- 「サボったかどうか」を知りたい時には,「サボってない」という仮説を立てて,それが正しいかどうか検証して判断する,という手続きを取ります.「サボってない」という仮説が正しいのに,「サボった」と仮説を否定してしまうことをタイプIエラーと言います.
- 出所は不明ですが,次の画像がわかりやすいと思います.
- 左側(タイプIエラー)は「You're pregnant (妊娠してますな)」という誤診です.右側(タイプIIエラー)は「You're not pregnant (妊娠してません)」という誤診です.
- ここでは「妊娠はしていない」という仮説を立て,それを確かめることで,「妊娠したかどうか」を判断しようとしています.
- 「勉強をサボる」,「妊娠」,「生活保護の不正受給」,などのように,「何かが生じている」ことを知りたいとします.「本当は何かが生じている」のに「何も生じていない」と判断してしまう場合,タイプIエラーと考えます.
- たとえば裁判で「犯罪を犯したかどうか」を検証する状況を考えましょう.
- 「無罪だ」という仮説が正しいのにも関わらずそれを否定して「有罪だ」と判断してしまうとき,つまり冤罪が生じてしまうとき,タイプIエラーと考えます.
- 一方,本当は「有罪」なのに,正しくない仮説「無題だ」を支持し,犯罪者を無罪放免してしまうことをタイプIIエラーと考えます.
- 経済学の話に合わせると,たとえば「アベノミクスは景気回復に効果があった」かどうかに関心があるとします.こういうとき経済学者は,統計データを駆使して「アベノミクスでいいことは何も起こらなかった」という仮説を検証します.
- 本当は仮説通りに「アベノミクスでいいことは何も起こらなかった」にも関わらず,「アベノミクスでいいことが起こった」と誤った判断をしてしまうことが,タイプIエラーです.
- 本当は仮説と違って「アベノミクスでいいことが起こった」にも関わらず,「アベノミクスでいいことは何も起こらなかった」と誤った判断してしまうことが,タイプIIエラーです.
- 個人的には,正しい仮説を捨ててしまう方をタイプIエラー,間違った仮説を支持してしまう(間違いを証明しきれない)方をタイプIIエラー,と覚えています.
- 「中間試験の解説助かった」「解説を聞くと間違ってる気がした」「試験難しかった」
- 試験が終わっても覚えておいていただけるとうれしいです.
No comments:
Post a Comment