Tuesday, February 28, 2017

Mathematica入門ガイド

研究真っ盛りの春休みなのだが,いかんせん今の研究,計算時間が長すぎる.
手持ちぶさたな時間を利用してプログラミングになじみの薄い経済学者向けにMathematicaのチュートリアルを作成し公開することにした.

  • Mathematica tutorial for young economic theorists: 応用経済理論屋のためのMathematica ガイド [view] [download]

今の研究で使っている様々なテクニックなんて少し時間が経てばすっかり忘れてしまうだろうからと,去年あたりから個人用備忘録として作成していた.今回公開するのはそれを初学者向けという体で加筆修正したものである.


コメントやアドバイスがあればお寄せください.

Tuesday, February 7, 2017

沖縄の経済, 準備編5: 参考文献

タイトルがまだ「準備編」だけど成績評価を終えたところである.新規開設講義だったがなんとか終えることができた.本書いてとリクエストされたが,さすがにそれは遠慮したい.講義資料は,間違っているところもところどころあるけど,しばらく公開したままにしておく.

本講義では様々な学術論文を下敷きにして,沖縄の経済について考える視座を紹介してきた.今回のエントリでは講義の流れを振り返りながら元となりそうな論文を紹介し,私の想定している枠組みの種明かしをしておく.
来年度この講義を不開講とするため,個人的な備忘録が必要だという事情もある.海外の大学ではシラバスに参考論文リストがどさっと並んでいることがよくあるが,それに近い役割も兼ねている.
ちょっと長い雑多なエントリになる.

Monday, November 7, 2016

沖縄の経済, 準備編4: 所得格差

国際学会の大舞台を目前に控え,若干の現実逃避と授業準備を兼ねて少し前に売れていた本,
  • 大久保潤・篠原章 (2015) 『沖縄の不都合な真実』新潮社
をぱらぱらめくっている.経済学に関する記述は飛躍が多くマル経テイストなので読むと何かと不満が溜まる.この手の本を種に沖縄経済論を語るアマチュアたちが論壇を賑わせてもいるようだ.

今回は,読んでいてもやもやした部分から一つレプリケーションをしたよ,というエントリ.沖縄の格差についてデータを確認し,大久保・篠原の記述は不十分であり,沖縄の格差はフローではなくストックが特徴的であることを見ていく.講義で紹介する時間はないのでブログで放出.


所得格差は縮んでいる

沖縄の所得格差に関して,第4章の「日本一の階級社会の実態」という節に以下のような記述がある(電子版で読んでいるためページ数はわからない).
 格差社会の実態を直近の統計から拾ってみましょう。総務省の全国消費実態調査によると、高くなるほど貧富の差があることを示すジニ係数が、沖縄は二〇〇九年度に〇・三三九と全国一です。〇・三三を上回るのは大阪、徳島、長崎、沖縄の四府県だけで、ここ一〇年来最悪です。…[中略]…平均所得は最低レベルなのに地方都市では最も金持ちが多い、すさまじい格差社会です。日本一高い失業率と日本一低い労働分配率が格差の象徴です。
短くまとめると
  • 沖縄はジニ係数で見る所得格差はワースト.
  • 全国消費実態調査が出典.
とのことだ.全国消費実態調査は5年に1度実施される統計で,家計調査と同じく家計の収支を把握するものだが,家計調査よりもサンプルサイズが大きく調査項目も詳しい.沖縄の二人以上世帯の場合n=715である.

折良くつい先月末に全国消費実態調査で最新(2014年)のジニ係数が公表された.私は格差を全国消費実態調査から読み取ろうとすること自体に少し違和感を覚えるが,見るだけ見てみよう.

二人以上世帯について直近15年分の所得のジニ係数の推移をプロットしたのが以下のグラフである.47都道府県+全国を一気にプロットしているのでどれがどれかわかりにくいが,やや太くて赤いものが沖縄,青いものが全国,その他都道府県がその他灰色である.
フローのジニ係数の推移.
  • 従来は大久保・篠原の指摘通り沖縄のジニ係数(赤線)はワーストであった.ところが最新のデータでは,沖縄のジニ係数は全国並に低下している.
  • 二人以上世帯のうち勤労者世帯に絞って見ても同様の傾向である.(水準はまだ高いが)
すなわち,大久保・篠原の言う沖縄の「格差社会」は直近5年間のうちに終止符を打っているように見える.彼らのロジックはもう賞味期限切れのようだ.


資産格差は大きい

所得格差が縮まったとはいえ,私は沖縄は格差社会ではない,と主張したいわけではない.私の認識では,沖縄は所得ではなく富について格差が大きい.これは最新のデータで見ても変わらない.
なお資産格差については大久保・篠原の第5章にも言及があり,私オリジナルの指摘ではもちろんない.

同じく全国消費実態調査には,所得についてだけでなく,資産(3種類)についてのジニ係数もまとめられている.さっそく見てみよう(以下すべて純資産についてのデータ).
貯蓄のジニ係数.

不動産のジニ係数.
耐久消費財のジニ係数.

  • どの資産を見ても,沖縄は資産格差が全国と比べ悪い.貯蓄と住宅については全国ワーストで,貯蓄格差はぶっちぎりである.不動産でのジニ係数は軒並み低下傾向にある全国と違い横ばいである.
  • 所得格差と違い,最新の状況は前回調査時点よりも悪化している.
2009年から2014年の間に所得格差は縮まったけれど富の格差が拡大している状況はどう理解すればよいだろうか.たとえば,次のような説明がありえる.
  1. デモグラフィ
    • 団塊の世代が退職する時期を迎え,高所得層は減ったが資産格差は持続している,という説明はありえる.貯蓄額の格差拡大は退職金が出たとすれば納得だ.
  2. 景気
    • アベノミクス当初は株高になったので,有価証券を保有する層にキャピタル・ゲインが転がり込んできたであろうことが考えられる.
    • いままで失業していたボトムの層が景気拡大に伴って就職でき所得格差は縮まったが,所詮は低賃金の非正規が多く資産格差を縮めるには至らない,のかもしれない.


公務員による支配?について

大久保・篠原第5章では,就業構造基本調査(注: 本文中には労働力調査(厚生労働省)とあるが誤記であろう.同じデータであろうものを用いてもコンマ以下の数字がなぜか合わないが…)も併用して所得分布を見て,高所得層が少なく低所得層が分厚いことを問題にしている.また,公務員の賃金所得を独自に推計し,少数の高所得者を代表するのは公務員だと主張している.

公務員は民間に比べて大卒が多い(2010年国勢調査だと,就業者に占める大卒以上シェアは全産業で17%,公務員で40%)わけで,学歴プレミアムや正規・非正規格差があれば官民に賃金格差があるのはある程度当然だ.官民格差は誇張され扇動的であるように感じる.
公務員の場合受験資格も緩く,機会の平等はそれなりに担保されている.棚ぼたやレントシーキングで不当に得た所得というわけではないだろう.収入源はがっつり捕捉されており脱税・節税も難しい.

行政職の平均年間給与は560万円程度(2015年4月, 新卒除く, 沖縄県人事委員会勧告より)で,ヒエラルキー的には公務員は中の上ぐらいではないだろうか.フリンジ・ベネフィットを含めても,おそらく公務員より電力会社のほうが安泰で高所得だ.公務員の給与程度では,一世代のうちに大きな資産を築き上げることは難しいであろう.
ちなみに就業構造基本調査(2012年度)では,雇用者のうち所得が900万円台あたり以上,世帯所得だと1250万円~1499万円以上が沖縄のtop 1%になる.夫婦ともに公務員でいい役職,というほどでないと上流階級とは言えない気がする.top 1%は主に医者,弁護士,経営者,内地大企業の支店管理職,一部の地主や投資家,タレント,あたりで構成されている気がする.


沖縄の公的部門が大きく,高度人材を(おそらく過剰に)集めている,というセクター間でのmisallocationは私は問題だと思っている.しかし「公が支配する社会経済体制」は言いすぎだと思う.公務員が低賃金の民間人を搾取しているかのようにも書かれているが,公務員の人件費は元を辿れば国からの財政移転から主に出ているし….
大久保・篠原のように観察される所得分布をながめるだけでは格差の原因や非効率性の源泉を(専門家が納得できる形で)突き止めることはできないだろう.



最後に付言しておくと,そもそも論になってしまうが,格差を地域内で捉える意味は私は勉強不足でよくわからない.
社会保障や税制を通じた制度的な再分配は国レベルで行われており地域単位でなすべきことと手段は限られている.(固定資産税は地方が課すものだけどおおむね全国と横並びだ.)
仮に沖縄が格差是正に熱心に取り組んだとすると,地域間で居住移転は自由なのだから(コストはかかるが),沖縄に低所得者が集中し,高い教育を受けた高所得者は県外に逃げ出してしまうだろう.結果的に同質的な低所得者が集まりジニ係数は低下しそうなものだ.でもそれは望ましい変化なのだろうか.
資産格差があると信用制約にひっかかる貧しい層が多く経済に悪影響を及ぼす予感もするが,金融市場は県内で閉じているわけではないので地域内格差が信用制約に与える影響は自明ではないかもしれない.(これは研究ネタにつながる話だろうか?)
人が格差を観察してから何らかのbeliefを形成し何らかの経済変数に影響する,その格差は身近な範囲しか見えない,といった議論はありそうだが,かなり難しい話になりそうである…


まとめ?

公務員の報酬体系に連動している私の所得をあげてくださいーー!!!(切実)

Tuesday, September 27, 2016

沖縄の経済, 準備編3: ボラティリティ

他の講義とは違い,沖縄経済論の講義資料はパスワードを設定せずに私のウェブサイト上で公開することにした.今年からスタートすることもありまるで練られていないが,適宜利用いただきたい.

講義準備をしながら非常に憂慮しているのは,沖縄研究においては研究成果の妥当性や研究手法の健全性を担保する仕組みが機能していないことだ.多くの研究はプロが素直に想像するようなpeer reviewに支えられていない.そのため,そもそも「研究」とみなせるクオリティのものがほとんどない.経済学のトレーニングをまともに受けていない方々が地元の新聞やTV(や大学の教壇)で俺様経済学を披瀝しているのが現状だ.こうした方々を祭り上げる側の見識も疑う.

ところがあいにく私は沖縄の研究をしているわけではなくその予定もない.沖縄経済の講義をするとなると自らの批判が自分に突き刺さってしまう.これではなんとも情けないので,せめて講義資料は一般公開しておくことにする.



今回も講義で省略することにした没ネタを紹介.

一人当たり県民所得の成長率がどれだけvolatileかを眺めてみよう.データ出典は内閣府「県民経済計算」である.

47都道府県,1972-2013年度の名目一人当たり県民所得の成長率(年率)を計算すると次の通り:

これらの系列を$\lambda=100$のHP filterでトレンド除去し,標準偏差を計算した.結果が以下の通り.47都道府県のうち沖縄は16番目に低い.(沖縄は小さくてショックに弱い,みたいな印象論を振りかざす人も見かけられるがむしろボラティリティは低い方である.)

こうして求めた成長のボラティリティは,
  1. 2013年度の一人当たり県民所得とは弱く正の相関.
  2. 1972年度の 一人当たり県民所得とはかなり弱く正の相関.
  3. 41年間の平均成長率と無相関.
  4. 2013年度の産業構造を見ると,第一次・第三次産業のシェアとは弱く負の相関,第二次産業のシェアとは弱く正の相関.
といったことがわかった.

4番目の産業構造については, Moro (2012, 2015)の議論を想定している.サービス業のシェアが高いとTFPやGDPのボラティリティが下がるとのことだ.日本の都道府県レベルでもたしかにそうした兆候は見られる.
たとえば第三次産業産出のGDPに占めるシェアとの相関を図示すると次の通り:

沖縄についてインプリケーションがあるかと言えば,あまりないかな…


References
  • Alessio Moro (2012)The structural transformation between manufacturing and services and the decline in the US GDP volatility. Review of Economic Dynamics 15, 402–415.
  • Alessio Moro (2015) Structural Change, Growth, and Volatility. American Economic Journal: Macroeconomics 2015, 7(3): 259–294.

Saturday, September 24, 2016

沖縄の経済, 準備編2: 子供の肥満

引き続きゆるふわデータエッセイ.講義で紹介するほどうまくまとまらなかったのでブログでネタ放出.

沖縄の男性は全国屈指のメタボ,と言われている.そのルーツは何だろうか.

文部科学省の学校保健統計調査を見れば,子供の身長・体重などについて都道府県別のデータが手に入る.沖縄と全国平均を比較してみよう.今回はそういうエントリ.

1. 沖縄には太った子供が多い
痩身傾向児の割合について年齢別にプロットしたのが以下のグラフである(H27年度).

9歳までは全国と大きな差はないが,10歳(小5)あたりから乖離が生じてくる.沖縄は貧しいのですべての年齢で痩せた子供が多いかとおもいきや,そうではないようだ.(標準偏差が不明であり有意な差かどうかは不明である).
なお男女別に見ても,多少のばらつきはあるものの,小学校高学年以降に差があるように見える.

肥満傾向児については以下のとおりである.
痩身傾向児と呼応しているようだ.9歳までは全国と大きな差はないが,10歳(小5)あたりから乖離が生じてくる.10歳以降に肥満が多くなるようだ.

以上のグラフからは,小学校高学年頃を境に沖縄県民は全国平均から乖離を始めることがわかる.太る方向にシフトするようだ.

2. 特定世代だけが太っているわけではない
痩身が少なく肥満が多い,のは世代効果とは言えなさそうだ.つまり,H27年度に10-15歳になる世代だけに固有の特徴とは言えない.
世代効果の有無を確認すべく,世代別に,全国との痩身・肥満出現率格差(= 沖縄の出現率 - 全国の出現率.上のグラフの赤線と青線の縦軸方向の差に対応.)を時系列で並べたものが次のグラフである.



スパゲティ状のグラフになっていてどれが誰かわからなくて恐縮だが,それぞれの折れ線はH27年度における年齢で見た世代を表している.
世代によってばらつきはあるものの,おおむねどの世代でも,痩身出現率は全国より低く(負の領域にありがち),肥満出現率は全国より高い(正の領域にありがち)ように見える.
(適当な信頼区間を作ったらほとんどの世代は全国と差がない,という結論になってしまうかもしれないが.)


3. 差が付くのは分布の裾野だけ
痩身・肥満の出現率に差があると言っても,サンプルサイズが小さくて外れ値が目立つだけかもしれない.
外れ値ではなく,体重の平均を見るとどうだろうか.以下のグラフは男女別に平均体重とその1σ区間をプロットしたものである.1σ区間に限って見ればどの年齢でも沖縄(赤)と全国(青)にほとんど違いはないと言える.

全国とはあくまでも分布の裾野の方で差が付いているようだ.沖縄の子供が平均的に太めの体格を持っているわけではない.

これらのデータからは示しようがないが,おそらく,遺伝的に太りやすいわけでもないだろう.社会的な要因で後天的に肥満児が生み出されている予感がする.
とりわけ,ごく一部の貧困世帯において,物質的にも精神的にもストレスの大きい生活が営まれているのかもしれない.およそ10歳頃から物心が付き,家庭や学校の酷さに気づき始めるのかもしれない.






あっという間に夏休みが終わってしまう.研究も講義準備もまるで進まない…


Monday, August 8, 2016

社会経済統計学I, 講評, 2016

レポートの提出ありがとうございました.様々なテーマで創意工夫を凝らしているようで面白く拝読しました.中にはいい卒論につながりそうなものもありました.
メールで簡単なコメントを返信しておきましたのでご覧ください.

[重要] ファイルをうまく送信できておらず,レポートを確認できない人が2人います
成績登録期限までに返信に気づいてください….

レポートの内容面以外で,改善すべき気になるところを思いつくままに書き留めておきます.(というより愚痴を言って採点のストレス解消をします.)
  • 課題に応えていない.
    • 標本をExcelでいじってみよう,という趣旨の課題ですが,データもへったくれもない確率日記みたいなレポートが散見されました.こうした的外れなものは採点・評価しようがなくたいていは不可ないし可になっています.
    • 仮説を持て,とわざわざ指定しているのに,仮説がどこにも見当たらない人も多かったです.要求されていることから逃げては低い評価しか得られません.
  • 参考文献.
    • 参考文献は,先行研究を整理して自身のオリジナリティを明確にする上で不可欠なものです.また,研究成果の再現可能性を担保する意味でも重要です.ところが,参考文献自体がまったくない人や,URLだけ書くなど引用の作法が怪しい人がほとんどでした.引用の仕方はググれと言いましたが.
  • 孫引き.
    • 何らかのウェブサイトから取ってきたグラフを使っている人も多くいました.そのウェブサイト自身がどこからデータを取ってきたのかを見て,オリジナルの統計に直接アクセスするようにしてください.
    • テーマによって一次情報が二次情報よりも優れているとは限りませんが,より情報源に近い方から当たるのが望ましいと思います.
      • こうした情報の階層構造を理解していない学生がいる予感もするので,どこかでちゃんと情報ソースについて講義時間を割かねばならない気がしました.
  • 適切なグラフを選べていない.
    • クロスセクションのデータを折れ線グラフにして相関を読み取ろうとしている(しかも間違っている)ケースがけっこうありました.私も身に覚えがあるので大きな声ではいえませんが,散布図使いましょう.
  • 講義で学んだテクニックがまるで使われていない.
    • 記述統計もまとめろ,と念を押したのにほぼ全員が標準偏差すら書いてくれませんでした.半年かけて無駄な授業をした気さえします.
    • 一方で何人かは重回帰に取り組んでいろいろ考察を加えてくれました.よくがんばりました.
  • 時間を費やしていない.
    • 考えを巡らし試行錯誤する時間が不足しています.4月の最初の講義から課題を指定し,月1回程度リマインドし,分析には時間がかかることも周知し,締め切り1週間前ぐらいには出せるようにせよとも促しました.にもかかわらず,締め切り直前の数時間でしたやっつけ仕事のようなレポートが多く見られました.素人のにわか仕込みで通用するような生ぬるい授業はしていません.
    • 計画的に作業ができない人は学業でも仕事でも大成できないと思います.行動経済学の格好の研究対象というか…
  • 国語力が低い.
    • レポートは平均2ページ程度で,1ページしかないケースもけっこうありました.悲惨なものだとデータとグラフだけで文章さえありませんでした.とことん説明不足です.学術的なコミュニケーション能力が粗雑すぎます.
      • 私が普段読む学術論文は10~30ページが普通で,100ページ超えも珍しくありません.長いほど偉いわけではありませんが,問いや仮説の説明,その意義,先行研究のまとめ,用いるデータの説明,枠組みの説明,結果の説明と解釈,まとめ,など必要な項目を一通り書くだけで数ページはすぐ埋まるのではないでしょうか.
    • エコノメよりも先に国語を勉強した方がいいと思います.
  • 講義タイトルを間違えている.
    • 「社会経済統計学I」という長いタイトルではありますが,ここをあえて間違う不届き者がたくさんいました.曖昧なところを逐一調べる,という手間を惜しみすぎです.わからない言葉に出会ったら辞書をひく,という習慣さえない人なのだろう,と見下されてしまうことにもなるのでは.
今回悪質なコピペレポートが2件ありました.本人にメールで警告した上で不可としました.うんざりです.

個人的には今回初めてレポートによる成績評価を行いました.ソフトウェアを自分の手で動かす機会がないと統計学はまるで身につかないと思うからです(言うまでもなく講義に出席するだけで身につくわけがありません).ただ,レポートを書くという作業自体が学生には重荷のようでもありました.私が思うアカデミック・ライティングの常識がまったく通用せず,頭痛がしました.

学術論文はおろか論文に準ずるレポートもろくに読んだことがなければ,そもそもレポートを書きようがないのは仕方がない気もします.大学でレポートを書いてもろくにフィードバックはほとんどもらえず,どこがおかしくどうすれば改善できるのかもよくわからないのが普通です.たとえやる気があってもどうしていいかわからなければストレスが大きくうまく取り組めないのかもしれません.普通の大学生活を漫然と過ごしているだけではロジカルに書かれた小文を精読する機会がなさすぎるのではないでしょうか.夏休みを利用して,新書ぐらいは何冊か読んでいただきたいものです.

本来は大学がアカデミック・ライティングを教える機会を別に用意していればいいのでしょうが,そもそもまともな水準の学術論文を書いて(銃声)

Thursday, July 28, 2016

経済政策I, 第14回, 2016

夜間にひっそりと行っているこの講義については特に情報発信はしていなかったのですが,試験前なのと,最後の講義後にいただいた質問に回答するべく更新しておきます.

これまでの講義
  • ゲーム理論の入門的な知見を学びながら,ミクロ経済政策を考える練習をする講義であった.
  • 特に講義の中心となる問題が囚人のジレンマであった.重要な応用例をいくつか学び,それらを解決する方策はそう単純ではないことも学んだ.
    • 例: 公共財供給,共有地の悲劇,逆選択,投票によるモニタリング,入札談合.
    • 解決策: 課税,社会規範の形成,シグナリング,長期的関係,など.

前回講義でもらった質問:
  • 「談合で裏切れば相手を退出させられる場合,将来独占利潤が得られるようになる.このとき協調は維持できないのでは」
    • よいところに気がつきました.分析したい状況次第では,講義で紹介した例は当てはまりません.どういった状況を考えるにしても,一般論としては,協調するメリットに比べて裏切るメリットが大きくなれば,協調はより達成しにくくなると考えられます.
    • 相手を追い出すことに成功したとしても,市場を独占し続けられるかというとそう簡単にはいきません.別のプレイヤーが新規参入してくるかもしれないからです.

週末は出張のため,質問があっても回答できないかもしれませんがご了承ください.わからないことがあれば参考文献にあたってください.