Saturday, December 28, 2013

よいお年を

芭蕉の『野ざらし紀行』から木訥とした一句を.
年暮れぬ笠きて草鞋はきながら
そういうわけで年末年始は一層世俗を離れ放浪する.また来年.



今年は思うように研究が進まず苦しい一年であった(今年はaccept1本とsubmit中1本にとどまる).教育や雑務ではなく,つまらない研究こそが脅威だと痛感した.幸いにしてもっと注力したい研究トピックはいくつか湧いてきたところなので,早く次のステップに進まねばならない.

Friday, December 27, 2013

13年12月沖縄県主要指標

先月の記事: 13年11月沖縄県主要指標

スケジュール上は鉱工業生産は26日に公表予定だったが,なぜか他の指標と同じ27日にしれっと公表されていた.師走なり.

鉱工業生産(10月分)は,やや改善の兆し.しかしながら生産・出荷・在庫とも残念な状況のようだ.

沖縄の鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPでの季節調整値, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド (2010年基準). 出典: 沖縄県「鉱工業指数」, 経済産業省「鉱工業指数」.

消費者物価指数(11月分)は上昇中.物価は少なくとも春先まではマイルドに上がり続けるかもしれない(後述).
那覇市のCPI(灰色), コアCPI(赤), コアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
沖縄県のCPI(灰色), コアCPI(赤), コアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
ガソリンを投入している品目は高くなっている気がする.

完全失業率(11月分)は好調だったものを維持.女性の非正規雇用が割合として増えているような印象.
沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

有効求人倍率(11月分)も好調を維持.(先月はプログラムにミスがあり, 作図の際サンプルの分割に失敗していた) とはいえ,求人が増えている割に就職件数が横ばいという事情も大きい.ブラックブラックと騒がれてちゃなかなか雇えないよね.
沖縄のBeveridge curves, 2008/01--2013/11. 2011/12までは黒丸・オレンジの近似線, 2012/1以降は青白丸・緑の近似線. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」, 沖縄県「労働力調査」


さて,今回は実質実効為替レート, 鉱工業生産, コアCPIの3変数SVARを回してみた.識別は素朴なCholesky分解を用いている(素人なので難しいことはできません).
さっそく,為替にショックを加えてみた:

コアCPI成長率(沖縄県)の応答. 95%信頼区間(水色点線)はbootstrap 100回で.

鉱工業生産(対数)の応答.


実質増価の影響がインフレ率には3ヶ月遅れでやってきてしかもしばらく持続するというのはなかなか興味深い.一方の鉱工業生産は困ったものだ.(沖縄県のアウトプットのproxyとしてもっといいものはないだろうか?)

13年12月家計調査

前回の記事: 13年11月家計調査

今月公表の家計調査(11月分)を眺める.出張中に新技Kalman filteringを覚えたので手習いに使ってみた.Gaussian random vectorsの分散はひとまず最尤法で推定してある(signal-to-noise ratio = 0.0243).

Kalman filtering:
沖縄県の名目消費支出(対数).青太線: Kalman filter, 赤点線: HP-filterのトレンド, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.

Kalman smoothing:
沖縄県の名目消費支出(対数).緑太線: Kalman smoother.


プログラムを走らせてはみたものの,残差の正規性が怪しい(Shapiro-Wilk検定で1%有意に棄却; Kolmogorov-Smirnov検定では棄却できない).

具体的に何らかのモデルを想定しているわけではないので詮もない.

可処分所得もKalman filterにかけた.少し感動的だ:
二人以上の世帯のうち勤労者世帯の名目可処分所得(対数), 沖縄県. 青太線: Kalman filter, 赤点線: HP-filterのトレンド, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.


従来通りの作図だと以下の通りになる:
沖縄県の名目消費支出(対数). 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 沖縄県「家計調査」.
二人以上の世帯のうち勤労者世帯の名目可処分所得(対数), 沖縄県. 青線: HP-filterのトレンド, 黒太線: DECOMPでの季節調整値, 灰色: 原系列. 出典: 総務省「家計調査」.




消費も所得も概して寒々しい様子である.毎勤の実質賃金指数も,夏頃から低下傾向が続いている.

前回も言及したが,今月も引き続き耐久消費財は伸び悩んでいる.ところが他の指標を見ると,住宅,自動車,家電などは9月頃から顕著に伸びている模様である.家調では見落としてしまう部分が大きいことには注意が必要である.



先日沖縄振興策が閣議決定されてから,県内上場企業の株価は軒並み好調のようだ(私は県内企業には投資しないしポジショントークにもならない).先月末に自民県連が辺野古容認に転じたあたりで予見した規模をはるかに上回る恒常財政ショックで驚いた(ただし先のことはそれほどcredibleではない気もする.行政上のキャパシティ不足にも直面しそうだ.結局儲かったのが地主と特定の建設会社だけ,にならないことを期待する).今回の決断は大きなマクロ経済ショックをもたらしそうだけど,同時に政治的,歴史的に禍根を残すことになるだろう.(私は政治に関心がないしことの善悪を判断する文章ではないので誤解なきよう)

Friday, December 20, 2013

国際経済学II, 第12回

講義内容:
  • 購買力平価の続き
    • 裁定取引するチャンスはたまにあっても頻繁にはない.柳の下のどじょうを追い求めるのは大変.
    • ビッグマック以外を使うのが賢明であるように思われる.
  • 金利平価
    • 外貨預金をする場合は金利だけでなく為替レートの変動にも気をつけよう.
    • 日本円をドルに換算する場合は,為替レートで割る.ドルを日本円に換算する場合は,為替レートをかける.記号だけだとイメージしにくいので,具体例を代入しつつ考えるとよい.

次回:
  • 来週は休講です.次は1月10日になります.
  • レジュメ6の用意をお願いします.これまでの話とマクロ経済学とのつながりを概観します.

コメントより:
  • 「徹夜明けでつらい」
    • 私もです.

Wednesday, December 18, 2013

経済政策II, 第12回

講義内容:
  • インフレの認知
    • 「庶民感覚」や「生活実感」といった曖昧な言葉でマクロ経済学を語ってはいけない.
    • マイルドなインフレ・デフレのコストはまだ十分に解明されていない.
  • フィッシャー方程式
    • 実質利子率 = 名目利子率 - (期待)インフレ率.
    • インフレに合わせて名目利子率も変化する.マクロ経済学を語る際には,こうした変化を織り込んで考える必要がある.
次回:
  • 次の講義は1月8日になります
  • インフレのコスト, 金融政策
  • レジュメ6を最後までカバーできるか不安になってきた…

国際経済学II, 第11回

(出張で更新が遅れました.)

講義内容:
  • 購買力平価
    • どこで買っても実質的には同じ値段(一物一価の法則)になるような為替レート.
    • 「1ドル=e円」など記号を使った表記にも慣れてほしい.混乱したら適当な数字を代入してゆっくり考えよう.
    • 購買力平価は国際ミクロと国際マクロの大きな分かれ目な気がする.
次回:
  • 金利平価
  • レジュメ6も用意しておいてください

コメントより:
  • 「円とドルの関係がよくわかった」
    • ニュースを見る目も変わってくるかもしれませんね.

Wednesday, December 11, 2013

経済政策II, 第11回

講義内容:
  • 労働市場:
    • 名目賃金の調整が十分ではないような短期的世界においては,物価が雇用に影響してくる.
    • 学歴間・学歴内の相克については,様々な研究がある.講義ではAlbrecht and Vroman (2002) を下敷きにした話を扱った.過剰教育については膨大な研究があるが,最近のサーベイだとLeuven and Oosterbeek (2011)がある.
    • 労働市場をシンプルな需要と供給のモデルで分析するには限界もある.仕事はあるのに失業が生じる,という現象も踏まえた分析ができるように,労働経済学では素朴な需要と供給だけでは見えない世界にもメスを入れている.
  • フィリップス曲線:
    • 政策運営をするにあたって,通常は失業とインフレにトレードオフがあると考えられている.
    • フィリップス曲線の探究とともにマクロ経済学は発展してきた.
次回:
  • レジュメ6まで用意しておいてください.
  • レジュメ7は作成中です.冬休み中にアップロード予定.

参考文献:
  • James Albrecht and Susan Vroman (2002) A Matching Model with Endogenous Skill Requirements, International Economic Review 43, 283-305. 
  • Edwin Leuven and Hessel Oosterbeek (2011) Overeducation and Mismatch in the Labor Market, in Handbook of the Economics of Education vol.4, eds. Hanushek, Machin and Woessmann, North Holland.

コメントより:
  • 「摩擦的・構造的失業は他で習ったのでとてもわかりやすかった」
    • 学んだ知識を活かせる機会があるとうれしいですね.
  • 「失業は本人だけの問題じゃない」
    • ので政府や中央銀行も失業問題には注意を払っています.沖縄県知事も,失業率を全国並みに下げよう,と公約に掲げていましたね.
  • 「あついのかさむいのかわかりませんね」
    • 年の瀬なのに窓全開だとは思いませんでしたね.

テキストなどについて雑感:
  • その昔後輩にあげた加藤 (2006) を再度入手せねば.DeJong and Dave (2011)を片手間に読むのは重たい.
  • 学部向け種本だとBall (2011)がよい感触.なんで和訳がないんだろう?
  • 今後の講義ではIS-LMやら期待やらオイラー方程式やらを大胆にすっ飛ばしてフィリップス曲線とテイラー・ルールを(触りだけ)教える予定.IS-MPについては,最近改訂されたD. Romerのノート(テキストではなく)がとてもよさそうだが,読む暇がない.
  • 金融政策は個人的関心から離れてしまうので学問的良心に悖るしつらい.

Saturday, December 7, 2013

国際経済学II, 第10回

講義内容:
  • 国際通貨システムの現代史
    • 20世紀にもなると国際政治と国際経済が密接に関わるようになる.
    • 昔は貴金属が貨幣の裏付けとしての役割を果たしていた.現在は貨幣を発行する政府・中央銀行への信認という,手に取れないし目に見えないものが貨幣の裏付けとなっている.
    • ニクソン・ショックが大きな変わり目.このあたりから日本の高度経済成長にも陰りが見えてくる.
    • あらゆる国が変動相場制になったわけではない.ユーロ圏,香港,シンガポール,その他様々な国がそれぞれに事情に応じて様々な形の為替システムを採用している.
    • 世界中が「ドルを持ちたい」と思うと,アメリカは経常赤字になる.こうした状況が続くと,ドルの価値が信頼できないものになっていき,世界中で「ドルを持ちたい」と思えなくなるかもしれない(Triffinのジレンマ).ブレトン・ウッズ体制が長続きしなかった原因のひとつとも.
 次回:
  • PPPの話.レジュメ5の用意をお願いします.
 アンケート結果:
  • 練習問題を解いた,という人はかなり少数派…でも解いた方はみな効果ありとの反応で,かつ実際に高得点を収めていた気がする.
  • 私自身はテストの成績アップを目標に勉強するような甲斐甲斐しいタイプではなく,練習問題や過去問を解くことは少なかった.あんまり偉そうなことは言えない.(授業とは無関係のテキストをどんどん読んで例題も必要に応じて解いてたけど.何かを身につけるには,自分の手を動かして例題を解くというプロセスが必要.)
  • 期末(1/31に予定)についてはまた考えます.ご協力ありがとうございました.

Wednesday, December 4, 2013

経済政策II, 第10回

講義内容:
  • 労働市場
    • 売り手と買い手の両サイドの事情を考える.
      • 高い賃金を稼ぎたいなら,需要と供給の両方を視野に入れながら,どういうキャリアを歩んでいくか熟慮する必要があるだろう.
    • 短期的には物価の動向も重要になる.金融政策を学ぶためにはここを押さえておく必要がある.
    • 賃金が下がるスピードはなかなか遅い.
      • しかし,とても詳細な統計データを使った最近の研究では,たしかに市場全体で見た賃金は硬直的だけど,新しく採用する労働者に対する賃金は硬直的ではない,ということが示されている(Haefke et al., 2013).賃金の下方硬直性だけが失業の原因ではなさそうだ.
    • 作図の際,実質賃金に800「円」などと書いてしまったが,ここでの単位は本来名目で表記してはいけない(たとえばお米2kg分,など財単位で測るべき).名目のほうがイメージしやすいこともあって,怪しげな説明になってしまっていることをお詫びしておく.

次回:
  • 労働市場続き
  • インフレの話 (レジュメ5以降も用意してください)
コメントより:
  • 「なぜ最近最低賃金が上がったのか?職に就いている人からの目線ではないか」
    • 最低賃金は(おそらく)どの地域でも毎年改訂されています.沖縄県では,以下のように年率1~2%ずつじわじわ上昇しています:
      • 09年: 629円
      • 10年: 642円
      • 11年: 645円
      • 12年: 653円
      • 13年: 664円 
    • 厚労省の官僚や経済学者だけでなく,法学者や産業界,労働組合などから様々な人を集めて審議し,こうした水準が決められています.彼らが失業者のことを無視しているわけではなく,経済学の簡素なモデルには現れてこないような,考えるべき他の大切な要素がいろいろあるのでしょう.
      • 最近では,最低賃金で働くよりも生活保護を受給する方がまし,という状況を変えて,働く誘因を作りたい,という事情もあるようです.
      • 実際に最低賃金で働いている層としては,家事・育児が一段落した主婦などが該当します.最低賃金で働いているからといって,世帯単位で見ると貧しいわけではなさそうです.彼・彼女らは票田として政治的にも重要なのでなかなか無視できないのかもしれません.
      • 働いている人(インサイダー)とそうでない人(アウトサイダー)との間には様々な壁があるかもしれません.
    • 最低賃金に関しては様々な研究が現在もなされています.大竹ほか(2013)は最新の研究成果をまとめています.私は日本の状況についてはあまり詳しくありませんので,関心があれば類書を当たってみてください.
  • 「仕事にも需要や供給があるとは思いもしなかった.他にもこのような関係があるのかな」
    • 需要と供給の関わり合いは,人間社会の至る所に登場します.
    • もちろん需給だけで決まらない部分も多いですし,需要・供給それ自体もとても複雑なので現実社会の分析はそれほど容易ではありません.
  • 「仕事の内容や環境も影響するかも」
    • 肉体的・精神的に厳しい仕事は労働供給に影響し,賃金にも影響すると考えられます.イヤな仕事にはそれ相応の高い賃金が支払われる,というのは補償賃金(compensating wage)といい,おっしゃるようなロジックは理論的にも現実的にもありそうです.いい洞察力ですね.
  • 「現実には賃金があっさり下がらないと知って,経済は難しいと思った」
    • 失業は古くから経済学の中心的な問題であり,簡単に解決できるようなヤワなものではありませんね.
  • 「図を書くのが少し楽しくなった」
    • うれしいコメントですね.グラフを使いこなせるようになれば,物事をすっきりと理解でき,よりいっそうかしこくなれると思います.
参考文献:
  • Christian Haefke, Marcus Sonntag and Thijs van Rens (2013) Wage rigidity and job creation, Journal of Monetary Economics 60, 887-899.
  • 大竹文雄・川口大司・鶴光太郎 (編集) (2013) 『最低賃金改革: 日本の働き方をいかに変えるか』日本評論社

Monday, December 2, 2013

13年11月沖縄県主要指標

先月の記事: 13年10月沖縄県主要指標

例によって,生産,物価,雇用を漠然と眺める.

鉱工業生産(9月分)は,原数値だと私の持つサンプル(04年1月~)の中で最小値(74.5).石油製品や印刷の下落が目立つ.木材の在庫も相変わらず.
沖縄の鉱工業生産, 2005年=100. 薄灰色が原数値, 黒がDECOMPでの季節調整値, 青がトレンド, ピンクが日本全国のトレンド (2010年基準). 出典: 沖縄県「鉱工業指数」, 経済産業省「鉱工業指数」.

消費者物価指数(10月分)は上昇中.
那覇市のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
沖縄県のCPI(灰色)とコアコアCPI(青)の前年同期比のトレンド(単位: %). 薄い色が原数値. 出典: 沖縄県 「消費者物価指数」
  • 生鮮食品が急上昇中(沖縄県で17.0%, 那覇市で11.9%).
    • 野菜の価格は,主婦/主夫の生活実感に訴えかけるものがありそう.支出額自体はたいしたことなくても,スーパーで通常真っ先に目にするものなので,想起容易性が強い気がする.政治的な不安定要素になりそう.
  • コアコアも少しずつプラスに向かいつつある.

完全失業率(10月分)は好調で,私が持つサンプル(03年1月~)の中で最小値(男女計で4.9%, 男性5.4%. 女性は2番目に最小の3.9%).男性は正規雇用が,女性はパート・アルバイトが増えている感がある.規模は小さいものの,近年農業部門の雇用が伸びているのも気になってきた.
沖縄県の完全失業率, 男性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」

沖縄県の完全失業率, 女性 (単位: %). 青がトレンド, 灰色太線がDECOMPでの季節調整, 薄い灰色が原数値. 出典: 沖縄県「労働力調査」
低失業・高欠員が続いている.一般職業紹介状況のデータ(10月分)からUV曲線を12年以前(オレンジ)と以後(緑)に分けてプロット:
沖縄のBeveridge curves, 2008/01--2013/10. 2011/12までは黒丸・オレンジの近似線, 2012/1以降は青白丸・緑の近似線. 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況」, 沖縄県「労働力調査」
  • 失業率については,2012年夏頃に建設業で一挙に正規雇用が増えたのが転換点.公共投資交付金で田舎道をせっせと整備している頃だろう.
  • 建設業のハロワでの新規求人も同時期に伸び始めている.半年ほど遅れて政権交代とともに他の産業(特に飲食・宿泊・運輸・郵便など)も求人を増やし始めている.まだまだ雇用拡大がとどまる気配はない.
    • 今年の夏までは新設住宅着工戸数は全国と比べて振るわなかったものの,夏以降アパートなどがどしどし増えている模様. 道路以外の建設もようやく.
    • 建設みたいなnontradable部門でのブームで生産要素価格が上がると,tradable部門はキツくなりそうなものだけど…
  • 名目為替レートと財政政策は大事だな.詳しくはDGEモデルで分析する必要があるだろう.nominal rigidityがマターする世界で予測できない部分は大きい予感がするな.
    • 財政政策についてはimplementation lagsで裏目に出る気もする. 

ルーチンワークとして沖縄の統計を追い初めて約半年.講義の素材作成に役立つ程度のマクロ計量テクニックは身についてきたかもしれない.しかし今のところ研究に役立つ予感がまったくないのがたまらん.RじゃなくてPythonないしMatlabの修行をせねば.