Thursday, September 19, 2013

ビールと沖縄

沖縄県民はとにかく酒が強い,というイメージは根強い.今回のエントリでは,こうしたイメージだけで終わらせず,数字をちょっと確認してみた結果を記す.
  • 酒飲み自体は少ない?
    • 厚生労働省の国民栄養・健康調査によれば,20歳以上男性の飲酒習慣者の割合は30.8%と,47都道府県中下から4番目だ.
      • n=169人で,95%信頼区間は23.2--38.8%とのこと.2006--2010年.
    • 青森(51.6%), 鳥取(48.5%), 島根(48.3%)などに比べると大きな差があるように見える.
      • 沖縄はアル中が少ない,お酒で病院送りになった人が少ない,などを直ちに意味するわけではないので注意.
    • この統計は沖縄のBMIが全国トップであることを指摘したことで有名.
      • 私はどちらも額面通りには受け取っていない.
  • 発泡酒飲み過ぎ
    • 酒税を集めている国税庁は,お酒の消費量や生産量について詳細なデータを公表している.
    • 下のグラフは,成人一人あたりのビール(青)・発泡酒(茶色)消費量を表している.
      • 沖縄県民はあまりビールは飲んでいない.
      • しかし発泡酒の消費量はダントツである.全国平均8.2lに対し,沖縄は20.7l. これは2位の高知県18.0l, 3位の岩手県12.2lよりもさらに多い数字である.
      • 所得効果は明らか.だが,単に所得だけでは地域間格差は説明できないはずだ.
      • 友達が発泡酒を飲んでいる中で自分だけビール,というわけにもいかないわけで,ネットワーク外部性というかある種のsocial normが働く余地がある.沖縄と高知は高位均衡にいるのかもしれない.
成人一人あたりビール・発泡酒消費量 (単位: リットル), 2011年. 出典: 国税庁「国税庁統計年報」, 総務省「人口推計」.

飲む人は少ないが飲んでいる量は多い,となると…分布の形状が気になるところ.

国税庁の統計は他のお酒についても充実している.アルコール濃度で加重平均して酒飲みインデックスを作成しても面白いかもしれない.


家計調査ではビールへの支出額がトラックできる.夏期集中講義で使ったグラフを掲示しておく.発泡酒・第三のビールが登場した効果だろうか.
出典: 沖縄県「家計調査」
泡盛についても,たしか2004年頃をピークに県内消費量は減り続けていたはずだ(出所は失念).アルコール業界は厳しい戦いになっているようだ.

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