Thursday, January 15, 2015

経済政策II, 第14回, 2014

疲労困憊で講義後に一瞬気絶しました.(たまにランニングしているせいもありますが)体重が落ちている気もします.

講義内容
  • インフレ・デフレ
    • シンプルな総需要・総供給モデルだと,デフレはあくまでも結果.近年の政策論争はとてもねじれたところから出発している印象を受ける.
  • フィリップス曲線
    • 理論でも実証でも,不景気・高失業とデフレには相関がしばしば観察される.
    • 曲線上の点なら,政策的に選べる.しかし曲線から乖離したところへは,金融政策だけで移動するのは困難.金融政策はパワフルだけど万能ではない.
      • ただし,現在の日銀はこれをやろうとしている.この試みが成功したかどうかはまだ学術的に決着が付いていない.(というより専門外なのでよく知らない.ゼロ金利脱却後にどうなるかを確認しないうちに勝利宣言しても不毛に思うけど.)
  • インフレのコスト
    • 「インフレで実質的な所得が下がる」や「インフレで貸し手が実質的には損をする」という議論には,暗黙のうちに根拠の弱い仮定が置かれている.
    • インフレに応じて名目金利が上がることをフィッシャー効果と言う.
      • プロの世界でも,インフレの厚生費用は関数形にも大きく依存するしうまく捉えられない,という印象がある(私はプロではない).
次週
  • 期末試験を予定.健闘を祈ります.
  • 貨幣の役割,準備預金制度のあらまし,などをカバーする予定でしたが時間切れでした.9章は試験には出しません.時間管理能力がなくてすみません.

コメントより
  • 「授業と関係ないが,大学を中退して就職する友人が複数いて悩ましい.中退して就職するのと,大学を卒業してから就職するのとではどちらのほうがよいと思うか? 中退しているのに就職できてうらやましいと思った」
    • 時と場合によるので,中退が吉と出るか凶と出るかを一概に断ずることは出来ません.たとえば早稲田大学では,普通に卒業する奴は三流で,中退してやっと一流になれるという俗諺もあります.
    • 残念ながらうちは早稲田ではありません.入学したという事実だけでは,秀でた能力を持っていると証明することはできません(シグナリングにならない).むしろドロップアウトすることで,たとえば以下のような悪印象を伝えてしまうかもしれません:
      • 授業についていくだけの基礎学力が足りないのではないか.
      • 大学生活をエンジョイするためのコミュニケーション能力が足りないのではないか.
      • 高い目標を設定し,前向きに努力を継続するような根気強さがないのではないか.
      • 自分を律することができず,時間や締め切りを守れなかったり,健康状態や精神衛生を健全に保つことができなかったりするのではないか.
    • また,就職できてもそのまま終身雇用というわけではありません.大卒に比べてドロップアウトは解雇されやすいかもしれません.再就職も簡単ではないでしょう.
    • 一方で,こうしたデメリットを上回るだけのメリットがあればドロップアウトもひとつのよい転機になるでしょう.
      • 大学で学んだことがまるで生かせない仕事であれば,早めに働き始めたほうが有利に働くこともあるでしょう.たとえばトラック野郎がマクロ経済学を勉強しても仕事に直接活かせるものはほとんどないでしょう.
      • あるいは,今は景気が良いので就職しやすいが,来年は景気がきっと悪くなるはずだから来年の就活まで待っていられない,という確信があれば就活の時期を早めるのもありでしょう. 労働市場に出るタイミングは重要です.
        • 仮にご友人の経験通り「景気が良ければ,大卒でなくてもOK」が成り立つとしても,「景気にかかわらず,大卒でなくてもOK」とは言えませんね.
    • なお,以上は私の勝手な想像であり,エビデンスに基づいたアドバイスではありません.労働経済学を勉強した上で自分の責任と信念で判断していただけるとありがたいです.
    • 個人的には,大学を卒業するメリットは,労働市場で報われることよりもむしろ,学問を通じて知的に成熟できることにこそあると思います.知的好奇心と無縁の人生を歩むことは,金銭的に貧しいことよりもはるかに恐ろしいです.おっしゃるように大学卒業は就職の必要条件ではありませんが,就職だけを目的としない気概を持ってほしいと思いますし,自分の人生にとって本当に必要な何かに時間と労力を注ぐことができる機会を最大限活用してほしいと思います.
  • 「インフレの方がいいと思った.日本はいったいいつになったら完全にインフレになるのかなと思ったり」
    • 日銀に質問してください.
  • 「最近ニュースでは,モノの値段が上がっているとよく見るが,総需要は増えてない気がするし,所得も変わっていない気がする.実際に物価だけが上昇することはあるか?」
    • 物価や所得の動きは,感覚や気持ちだけでは捉えられないと思います.たとえ統計データを見てもそう簡単にはわからないものです.ニュースの煽りに乗らないようにしましょう.
    • 実際に沖縄の所得の動きを数字で確認してみましょう.縦棒が,2012年11月のタイミングを表します(日銀総裁交代後の金融緩和は13年4月にスタートします).
    • 沖縄の男性の名目所得(決まって支給する給与), 単位: 万円. 黒線が季節調整値,青線がトレンド.薄い線が原数値.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.

      沖縄の女性の名目所得(決まって支給する給与), 単位: 万円. 黒線が季節調整値,青線がトレンド.薄い線が原数値.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」.
      • 13年夏頃までは賃金が上昇したように見えますが,それ以降はいまいちのようですね.
    • このグラフだけだとわからないことが多いので, 所得の変化率を見てみましょう.
      沖縄の名目所得の変化率とインフレ率.青実線が男性の所得,赤点線が女性の所得,緑がインフレ率(那覇市の消費者物価指数).すべて前年同期比,単位 %. 出典: 沖縄県「消費者物価指数」
      • 2010年~2013年頃までは,男性の名目賃金とインフレの動きは連動しているように見えます.インフレに応じて名目賃金も調整されるかも,という話と整合的ですね.しかし,13年夏頃~14年夏頃(消費増税決定前のアベノミクス初期)は,物価と賃金が逆の動きをしているようです.(最近は賃金がプラス成長圏内に戻ってきています.)
      • 結局のところ,単純に記述統計だけを見て安易な結論を得るのは難しいようです.
    • 元々のご質問はインフレだけ生じて実質的には豊かにならない・むしろ貧しくなることはあるか,ということですが,十分ありえる話ではないでしょうか.ただしそれが常とは限らないと思います. 
  • 「インフレが悪いと言われているが,企業が賃金を上げたり,名目金利がインフレに応じて動いたりすると,実際はそうでもないとわかった」
    • ナイスな要約能力ですね.
  • 「沖縄の成人式ってどう思いますか?」
    • 参加したいけどおっさんなのでできません.
    • 10代が人生のピークにならないように願います.

Friday, January 9, 2015

国際経済学II,第14回, 2014

ようやくこの講義も終わりです.最適通貨圏の議論が消化できませんでしたが期末試験には出しません.また,来週はセンター試験のため休講です.

講義内容
  • 円安になると景気が良くなる,と言うはやすし.現実はそこまで単純化できない.
  • パススルー
    • 企業・産業によって,為替の変化にどう対応するかはけっこう異なる.
  • Jカーブ効果
    • 短期的な動きと長期的な動きが反対になることもある.
    • ただしJカーブがいつでもどこでもわかりやすい形で生じるわけではなく,統計的に検出するのは難しい.
      • 今日一瞬名前が出てきたFRB議長イエレンもその昔,Jカーブなんてねーよ,という論文を書いていた(Rose and Yellen 1989).
  • こうした価格・貿易収支の動きを再現できるような理論モデルを開発するのも,国際マクロの大切な仕事である.
  • 固定相場制とトリレンマ
    • 為替レートの変動,がレジュメ4以来の大きなテーマであった.ではもし動かないようにしたらどうなるの,と政策的含意を考える.
    • 金利平価が理解のポイント.国家間で裁定取引できる(資本移動できる)ときは,金利と為替の動きがリンクする. 固定相場にして世界の為替市場にくっついちゃうと,独自の金融政策は難しくなるのだ.
      • 政府(中央銀行)は通常,金利を操作することで景気をコントロールしている.詳しくはマクロの教科書を一読あれ.
      • 固定相場にすると,この景気コントロール能力を失ってしまう,ということ.
    • 国際金融の有名な命題であるだけに,様々な検証がなされている.実際,自由に資本が移動する中で,完全に外界と隔絶した金融政策を行うことは変動相場制であっても難しい.
コメントより
  • 「今日の講義で固定相場をするとその日(?その後?読めません)はどうなるの?」
    • せっかくのところすみませんが,文字が潰れて質問の意図がわかりません.
    • 為替介入のオペレーションとしては,財務大臣がやると決断して,日本銀行が実務を行う,たとえば東京外国為替市場で円や米ドルの売り買いを行う,という流れになります.
  • 「今日は,良い講義だったと思います」
    • ありがとうございます.
  • 「昔は1ドル360円だったよね? 今は変動であれ200円にすら満たないがどうして現在はそれほどまでにレートが落ちたのか?」
    • 難問ですね.私は確信を持って答えることが出来ません.
    • 一見答えになっていないような答えですが,「たまたまそうなった」という可能性がけっこうあるようにも思いました.寓話的に言うと,牧志でしたたかに酔っ払って記憶を失い翌朝目が覚めたら安里にいた,という状況があったとき,目が覚めた場所が久茂地であったとしても不思議はなく,安里にいた理由は「たまたま」としか言いようがない,という感じでしょうか.(?)
  • 「為替の企業に与える影響力がすごいということを再認識できた」「輸出先で値上げをするのはなるほどなと思った」
    • 企業がどういう理由でどういう価格戦略に出ているのかは私も気になるところです.
  • 「トリレンマのところは難しかった」
    • 時間の都合もあって,普段より話の展開が早くなってしまいました.
  • 「Jカード効果という言葉をはじめてきいた」
    • 私もです.
  • 「あけましておめでとうございます」「今年も一年よろしくお願いします」
    • おめでとうございます.よろしくお願いします.
参考文献
  • Andrew K. Rose and Janet L. Yellen (1989) Is there a J-curve?, Journal of Monetary Economics 24, 53-68.

Wednesday, January 7, 2015

経済政策II, 第13回, 2014

今年もよろしくお願いします.


準備が遅くなりましたが,レジュメ5と練習問題2はアップロード済みなので用意して授業に臨んで下さい.

講義内容
  • 労働市場の指標いろいろ
    • 完全失業率,労働力率(労働力人口比率),など指標の定義を正確に理解しておこう.
    • どういう人が完全失業者ではないのか,を考えると理解が進むはず.
    • 労働市場でも需要と供給は大切.
    • レジュメ7.4~7.7章は時間の都合上省略.テストにも出題しない.

コメントより
  • 「完全失業率 = 仕事をしていない人 / 成人,だと思っていた」
    • 専門用語は定義を正しく押さえるのが大切です.日常用語としての「失業」は「完全失業」とは食い違います.
  • 「沖縄は失業率がひどいなと思った.沖縄で職に就くのは厳しいと思いますか?」
    • 人によります.やりたい仕事にもよります.福祉や建設など人手不足の業界もありますが,平均的には全国と比べて厳しいでしょうね.個別の事情は就職支援課かキャリア教育の先生に聞いてください.
    • 就職すること自体を目的とするのではなく,人生を通じて何を成し遂げたいのかを考えるといいと思います.
    • キャリア形成の支援も様々あります(たとえば沖縄県キャリアセンター)ので,適宜利用して下さい.


過労ぎみで心の余裕がないので,しばらくブログの更新は手を抜きます.

Friday, December 26, 2014

国際経済学II, 第13回, 2014

クリスマスに限ったことではないが,プレゼントは無駄を伴う,とはWaldfogel (1993, 2005)やOffenberg (2007). 消費行動の深いところまで考えさせられるよい論文である.でもいざ贈与の研究についてAndreoni and Payne (2013) のサーベイをちらっと眺めると,この世界で研究するのは大変だと思う.

講義内容
  • 金利平価続き
    • 金利裁定を使って無限に儲けることはできない,という条件を満たす為替レートを考える.
    • 現実には数式には現れないリスクも踏まえて投資が行われているため,必ずしも数式通りに実際の為替レートが動くというわけではない.
      • クリスマス・プレゼントの話と似て,経済学のすぐれた理論には現実をよく説明するという理由ではなく,現実との乖離が無視できないほどありその残差を埋める営為に知的な喜びを保証してくれるからこそ支持されているものがある.一般均衡理論しかり,シカゴ学派しかりだ.誰もその現実的な妥当性そのものは信じても愛してもいない(にも関わらず,すべての経済学者が理論をナイーブに信じているという藁人形論法に依拠した「経済学批判」が後を絶たない).経済理論はデータで検証できてなんぼだ,と思っていた時期もあったが,最近は個人的なテイストが原点回帰しつつある.
    • かけ算・割り算ができれば,為替レートの動きが少しわかるようになる.算数は大事.
  • 為替と株の動き
    • 日本の場合,けっこう連動しているように見える.
      • ただし,因果関係は自明ではない.
    • 株価や配当については,金融論の授業や教科書で改めて勉強してほしい.配当から株価の本来あるべき水準(ファンダメンタルズ)が決まる,という議論自体は現実的な妥当性はともかくとしても標準的な話である.
次回
  • 1月9日にまたお会いしましょう.16日はセンター試験のため休講.良いお年を.
コメントより
  • 「$1\mbox{億} \div e$ドルを$\displaystyle \frac{1\mbox{億}}{e}$ドルと変形してもよいか?」
    • よいです.レジュメ1の脚注3(6ページ)も参照してください.
  • 「円安になったら必ずドル高になるのか? 互いに反比例をする,で正しいか?」「円安になればドル高ですね」
    • 1ドル = e円という式のみから「円安かつドル安」という状況を表現することは不可能です.ので,片方が安くなれば必ず片方は高くなります.為替レートはあくまでも2つの通貨間の交換「比率」であり,相対的なものなのです.
      • 1ドル = e 円,は自国通貨(日本円)で見た外国通貨(米ドル)の価格,ということで自国通貨建て(円建て)の為替レートと言います.
      • アメリカ人にとっての自国通貨建て(ドル建て)レートに直すと,e円 = 1ドル,言い換えれば1円 = (1/e)ドル,になります.(1/e)が上昇すればドル安となります.(1/e)が上昇するときには必ずeは低下,つまり円高になります.
    • しかし3国以上ある状況を考えると話は複雑になります.たとえばユーロが強くなった結果「円安ユーロ高」と「ドル安ユーロ高」が同時に起こることはあります.つまり(ユーロと比べて)円安とドル安が共存することはあります.
      • あくまで,(ドルと比べて)円安と,円と比べてドル安,は両立しないということです.
    • 要するに,りんごとみかんが両方とも安くなることはありますが,「りんごの値段÷みかんの値段」 と「みかんの値段÷りんごの値段」が同じ方向に動くことはありえないということです.
    • 「$x$と$y$が反比例」とは,「$x \times y$が一定」になることを意味します.たとえば$(1/x)$ドル$=y$円,とすると,為替レートは1ドル$=x \times y$円,と計算できます.「$x \times y$は常に一定($=1$)」なので,定義通りに反比例であると言うことはできます(少々わかりにくいですが).
  • 「プレゼントは何がどう無駄なのかもうちょっと詳しく」「ブログを最近見つけたのでそこで解説してほしい」
    • たとえば私がよかれと思ってあなたに1万円分経済学の教科書をプレゼントしたとします.これ,福沢先生1人よりもうれしいと感じるでしょうか?
      • もちろんあなたが彼女にあげたプレゼントが(もし存在するとすれば)完全に無駄である,というわけではありません.誤解なきよう.
      • 現実には情報の非対称性があるわけで,あえて無駄そうなコストをかけることが実は有益である(たとえばシグナリングになる)ことも十分ありえます.(そもそも経済学はお金で買えない人間関係も分析対象です.)
      • 無差別曲線が出てくるレベルのミクロ経済学を勉強すると,意味が通じると思います.しかし片手間のブログで解説するには厄介です.元ネタの論文は上述の通りですので,筆者の名前などで検索してみてください.
    • 現実には,現金給付のほうが本当によいかどうかは時と場合によります.これは政策的に重要な争点にもなります.たとえばBanerjee and Duflo (2011) 『貧乏人の経済学』 をご覧下さい.
  • 「円高のときにドルを日本円と交換すると儲けることが出来るのでは?」
    • そうですね,でも金利の動きにも注意しましょう.儲けるチャンスを手に入れる際にはリスクを背負っていることも忘れてはいけません.たとえば将来予想に反してさらに円高が進んでしまえば儲けるどころか損をしますね.
  • 「金利平価式で飛ばしたところがある」
    • 忘れてました.がちょっと難しい気もしますので飛ばしてもいい気がします.
    • たし算に式変形したほうがわかりやすい,とレジュメを作成した段階では思っていましたが,みなさんの計算能力だとかえって混乱を招く予感もします.
  • 「この講義はタメになるので楽しいです」
    • ありがとうございます.でも内心では役に立たないことばかり教えているんじゃないかといつもびくびくしています.
  • 「一年間ありがとうございました.来年もよろしくお願いします.」
    • よろしくお願いします.

参考文献:
  • James Andreoni and A. Abigail Payne (2013) Charitable Giving, in Handbook of Public Economics vol 5.,  eds. by Alan J. Auerbach, Raj Chetty, Martin Feldstein and Emmanuel Saez, Elsevier.
  • Abhijit Banerjee and Esther Duflo (2012) Poor Economics: A Radical Rethinking of the Way to Fight Global Poverty, PublicAffairs. 山形浩生訳『貧乏人の経済学: もういちど貧困問題を根っこから考える』みすず書房.
  • Jennifer Pate Offenberg (2007) Markets: gift cards, Journal of Economic Perspective 21, 227--238.
  • Joel Waldfogel (1993) The Deadweight Loss of Christmas, American Economic Review 83, 1328--1336.
  • Joel Waldfogel (2005) Does Consumer Irrationality Trump Consumer Sovereignty? Review of Economics and Statistics 87, 691--696.

Tuesday, December 23, 2014

学問と社会, 2014

昨年度と同じくオムニバス講義でしゃべってきた.機材トラブルで時間を大幅に削られたのが残念であった.

この講義では聴覚障害者支援のため学生ボランティアが話者の発言をリアルタイムで文字起こししていた(昨年度も).語り手としては緊張するが,ステキな取り組みだと思う.

経済学はお金の話ではない、と強調したが、ちょうど大竹先生も同様に述懐されていた: ダイヤモンド社書籍オンライン, なぜ、「経済学者」は嫌われるのか?――実は「利他的」な経済学者が伝えたい、経済学の「2つの醍醐味」

経済学に付随するお金のイメージはどこから来ているのだろうか.想像力の貧弱さとは別の原因があってしかるべきだろう.たとえば経済学は不都合なものだという信念を自他が抱くことが合理的な利益団体が一定数いて,一種のマッチ・ポンプとして経済学が進化的に発展してきた,なんてシナリオがありえるのかな.
(そういえば限定合理性から貨幣錯覚などが生じるというGabaixの論文はすごいね.)

そろそろ今年も仕事納めが近づいてきた.
年度末までは教育業務に忙殺される予感がしている.

Saturday, December 20, 2014

LaTeXでカレンダー自作

次年度用に以下のようなカレンダーを自炊した.

日本語の解説があまりなかった上ヘルプも少し不親切なため,以下作り方をメモしておく.
  1. CTANからcalendarパッケージをダウンロード.コマンドプロンプトでallcal.insを実行しインストール.
  2. 必要に応じて作業用フォルダにstyファイルとcldファイルをコピー.
    • たとえば私の場合月次カレンダーを作りたかったので,demomont.tex, calendar.sty, dates.sty, monthly.sty, overword.sty, demo1997.cld, demoapt.cld, demoaptr.cld, demoevt.cld, demoevtr.cld, demolist.cld, を使用.
  3. いろいろ編集してtexファイルをコンパイル.以上.
編集するファイルは大きく3種類に分かれる.
  1. texファイル (e.g., demomont.tex)
  2. 日付のレンジを指定するファイル (e.g., demo1997.cld)
  3. 予定を書き込むファイル (e.g., demoaptr.cld, demoevtr.cld)

日付のレンジは,2015年度全体,2015年度前期,2015年度後期,と3種類ぐらい用意しておくと便利だ.たとえば
April 1 2015 to August 10 2015 {Spring}
とだけ書いたテキストファイルを,2015spring.cldなどと名付けてtexと同じディレクトリに入れておく.

春学期用の予定を書き込むファイルのほうでは,
range 2015spring {Spring}
every Friday 9:00-16:10 {lecture}
every Wednesday 10:30-14:30 {lecture}
every second Wednesday 15:00-16:00 {fac.meeting}

などと書く.一行目でレンジを指定,2行目以降は予定を適宜書き込む.

日本の祝日ファイルも別途作成した.たとえばこんな感じ:
range 2015range {all}
%fixed date
every January 1 {元日}
every February 11 {建国記念の日}
every April 29 {昭和の日}
every May 3 {憲法記念日}
every May 4 {みどりの日}
every May 5 {こどもの日}
%every August 11 {山の日}
every November 3 {文化の日}
every November 23 {勤労感謝の日}
every December 23 {天皇誕生日}

%2015 specific date:
January 12 2015 {成人の日}
March 21 2015 {春分の日}
May 6 2015 {振替休日}
July 20 2015 {海の日}
September 21 2015 {敬老の日}
September 22 2015 {国民の休日}
September 23 2015 {秋分の日}
September 24 2015 {振替休日}
October 12 2015 {体育の日}


texファイルでは,\begin{document}の後に
\begin{landscape}

\begin{monthly}

{texttype=\footnotesize}
{2015lecture1:BlueViolet,2015lecture2:BlueViolet, 2015evtr1:OliveGreen,2015evtr2:OliveGreen,2015holiday:Mahogany}
January 2015 to April 2016

\end{monthly}

\end{landscape}
などを挿入すれば良い.つまり,予定を書き込んだcldファイルをそれぞれ読み込ませればよい.ここでは予定の種類ごとにBlueVioletなどの色を付けている.その他レイアウトは好みで.私の場合,booktabsとcolortblを使いながらmonthly.styの180行目あたりを編集した.

現時点でよくわからないのは,第四週目の指定の仕方(first, second, thirdまでは使えるがfourthや4thが使えない)だ.若干不便である.あと,Google Calendarと連動させることができればよいんだけれどそんなテクニックは持っていない.

Friday, December 19, 2014

国際経済学II, 第12回, 2014

講義内容
  • 購買力平価続き
    • 一物一価が成り立つような為替レートが,購買力平価レート.
    • 現実の為替レートは,購買力平価レートから乖離することも珍しくない.
  • 金利裁定の考え方
    • どちらで買っても同じ値段,というのが購買力平価なら,どちらに投資しても同じ収益,が金利平価.
    • 外国に投資するときは為替変動リスクがあるので,それも考慮した上で投資を行う.
      • フォーワード取引を使えば変動リスク自体は消せるので,直先スプレッドに注目することになる(カバー付き金利平価).
次回

コメントより
  • 「投資家は細かく金利を見ていてすごい」
    • 業界では「ベーシス・ポイント」という単位がよく用いられます.パーセントが0.01であるのと似て,ベーシス・ポイントは0.01%,つまり0.0001を表します.何兆円ものお金が動く世界では,このぐらい細かく見てなんぼなのでしょう.
  • 「検定の講座を開いてください」
    • 研究時間をいかに確保するかに日々苦心しているところですので,実現可能性は低いです.挑戦したい検定と熱意があれば相談には乗りますよ.
  • 「結局裁定取引はできないんかい!」
    • コンピュータープログラムを使って自動的に取引をすることができる現代において,わかりやすい裁定取引の機会は1秒以内に消滅するかと思います.
      • わかりにくい裁定取引のチャンスを見つけることができれば一人前の投資家でしょう.実際にはある程度のリスクは引き受けねばリターンは得られないわけですが.
  • 「ビッグマックの例はわかりやすかった」
    • 実際のビッグマック指数はこちらで確認できます(英文).
      • 市場が地理的に分断されているようにも見えて興味深いですね.
  • 「金利平価難しい」「説明が早い」「もう一度説明を」
  • 「金利裁定で出てきた表がよくわからなかった」
    • もし金利差があれば,裁定取引をするチャンスが生じます.表は,その具体的なやり方を示しています.
    • 購買力平価のところでやった,安いところで購入して高いところに輸出すると楽して儲かりそう,という議論と対応しています.
    • 金利が安い方でお金を借りて,それをそっくりそのまま金利が高い方に貸す(たとえば貯金する)と儲かりそう,ということです.表記が若干奇妙かもしれませんが察してください.