講義内容
- GDPの実際
- GDPの関連指標もいろいろ.詳しい定義はマクロの教科書などをご覧あれ.内閣府ウェブサイトにも解説がある(「SNA体系の概要」を参照).
- 国際収支表の見方
- 統計の取り方が近年新しくなった.古い体系のまま教える教科書も多いので注意.
- 古い方で覚えている私も混乱しやすい. がfinancial accountの符号が従来のcapital accountと逆になったのはかえってわかりやすくなった気がする.
- 理解したいポイントは,経常収支と金融収支の定義と関係.
- 国際収支のデータを見ることで,国際政治の動きも少し見えてくるかもしれない.
- 国際収支の動きは地元の新聞にも毎月記事が載る.たとえば琉球新報「国際収支、2カ月連続で経常黒字 8月は2871億円」.しかしこういう数字を理解している県民はどれだけいるのだろう…
次週
- 大学祭のため31日は休講である.オフィスアワーもなし.
- 11月7日はレジュメ3のつづき(国際収支のダブルエントリー,国民所得勘定との接続)を学ぶ.レジュメ4もそろそろ用意しておくとよいと思う.
コメントより
- 「経常収支=金融収支はたしかにそういう関係にあると思った」
- 鋭い直感ですね.
- 「経常収支=金融収支と言っていたけど,式のとき,答えは違ってくるのでは?」
- 質問の意図がよくわかりません.
- これは恒等式です.いつ何時でも必ず成り立つように定義されています.1+2=3みたいなもので,誰がどう見ても正しいとしか言いようがない式です.
- ただし実際には統計データを作成するときの資料が不完全であるなど様々なミスがあります.ので,誤差脱漏という項目を含めます.
- 誤差脱漏と資本収支が無視できないほど大きければ,経常収支=金融収支と単純化することは間違いです.実際2012年は誤差が大きいように思います.
- 「黒字なのに資金が流出するというのは言葉のイメージと違っていておもしろい」「黒字なのになんでお金がでていくんだろうと思った」
- 私も間違いやすいところです.
- 国際収支統計が改定される前は,資金が流出することを「赤字」と表現していました.こちらの方式では「外国に対して負う借金が増えると黒字」となり,これはこれでわかりにくいと思います.
- 「新しい用語が登場し,少し理解に苦しんだ.ちゃんと説明を聞き逃さずついていきたい」「覚えることがたくさんあって大変」「久しぶりに頭を使ったなと思うぐらいいろんな言葉が出てきたなと感じた」「少し難しい」
- 初見ではわかりにくいと思います.私にとってもSNAの用語は堅苦しく記憶に残りにくいです.用語そのものよりも,その概念を掴んでほしいです.
- 今やっているのは経済学というより,経済学で使う統計指標の勉強です.レジュメ4以降の議論でもたびたび登場しますので,その都度確認すればよいと思います.
- 「GDPのグラフを理解するのが難しかった」
- どこでどうつまづいているのかわからないのですが,「実質 = 名目 ÷ 物価」の式に戻って考え直してください.時系列グラフの読解自体はレジュメ1で簡単に説明してあります.無理っぽければ直接質問してください.