これまでj-oshiro@grsなんちゃらというメールアドレスを利用していましたが,ドメインの頭部分が変わります.
j-oshiro [at] cs.u-ryukyu.ac.jp
となりました.私にメールでご連絡いただける際はよろしくお願いします.grsドメインはしばらくすると使えなくなるようです.
職場が変わったわけではありません (新たに大学院で授業担当教員を務めることにはなりましたが).
about lectures on economics
これまでj-oshiro@grsなんちゃらというメールアドレスを利用していましたが,ドメインの頭部分が変わります.
j-oshiro [at] cs.u-ryukyu.ac.jp
となりました.私にメールでご連絡いただける際はよろしくお願いします.grsドメインはしばらくすると使えなくなるようです.
職場が変わったわけではありません (新たに大学院で授業担当教員を務めることにはなりましたが).
琉球大学島嶼地域科学研究所の査読誌,Okinawan Journal of Island Studiesで特集号のゲスト・エディタを務めました.その縁で私も1つ書くことになり,実証論文を上梓しました.
エディタの一人といっても,ブラインドの査読を経ての掲載です.
レプリケーション・ファイルは私のサイトにアップしています (元データは除く).
ざっくりまとめると,有人国境離島法に基づく経済振興策に効果があったか見ました.結果,いい効果があるとは言えない,でした (効果ありと言えるだけの積極的な証拠が現時点ではない).という論文です.以下はその大雑把なまとめ.
同法は国土保全・安全保障を目的に2017年からスタートしています.
対象となる離島のうち,一部の島は「特定有人国境離島」として経済振興策が採られることとなりました.島により濃淡ありますが,交通費補助や漁業・観光振興などです.
有人国境離島の中で、振興策の有無という2群を比較しました(DID).
有人国境離島 (比較群, 黒字) と特定有人国境離島 (処置群, 赤字) の地理的配置は以下の通りです.
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内閣府の資料より. |
処置が地理的に固まっている (伊豆諸島を除き,指定地域内に処置群・比較群が混在することがない) のは懸念材料の一つです.あいにく本稿では島間のスピルオーバーには対処していません.
振興あり(SIB)となし(IB, 除く奄美小笠原沖縄)の人口を目で比べると,1島あたり人口のトレンドは平行に推移しているように見えます.処置後も大きく変わらず,この時点で政策効果があったとしても弱そうな予感がします.
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Fig 1 |
目ではなく統計的に政策評価するにあたり,課題はいくつかあります.処置 (特定有人国境離島かどうか) 割付ルールが未公開,島のデータが乏しい,NもTも小さく検出力は限定的,などです.
今回はBorusyak, Jaravel, and Spiess (2024, REStud) のimputationアプローチでDIDして善処しようとしてます (限界はあり).いまどきのDIDはいろいろありますが,処置タイミングは全国一律であり,他のアプローチでもだいたい似た推定結果になりそうでした.
データは日本離島センターの『離島統計年鑑』 (2009--2022年) を利用しました.
素朴なTWFEによるDIDだと,政策効果は有意に負でした.といっても,厳しい状況の島だから処置がなされるという逆因果が疑われます.
そこで,指定地域レベルの線形トレンドをコントロールし,動学処置効果も許したDIDがメインの特定化です.おおむね有意ではないですが,ネガティブな影響にすら見えることがあります.
ウエイトなしで人口 (対数) への影響を見たのが以下のイベント・スタディ図です.
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Fig 2a |
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この図は論文中にありません. |
では人口数十名以下の小さい離島には効果があるのかというと,私はそうとも言えないと思っています.こうした島は,処置前に急速に人口流出しており,処置する頃にはもう動けない人だけ数人残っているような状況のようです.人口下限がバインドするタイミングと処置タイミングがたまたま一致すると,処置が (いわば手遅れなのに) あたかも猛烈にいい効果をもたらした (人口減少を食い止めた) かのように見えてしまうせいだと思われます (下図のイメージ).
観光客数(対数)をアウトカムにした場合も,有意ではないけどネガティブな雰囲気がします.
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Fig 3 |
研究潮流としては,国境離島を舞台にしたplace-based policyの政策評価,という位置づけになると思います.同時に,日本の安全保障政策を考える一つのヒントとなりえる貢献だと考えられます.
本研究は,なぜ・どういった理屈でこれといっていい効果が見えないのか,どうしたらもっと改善できるのか,といったことまでは明らかにできていません.論文中ではいくつかの可能性について議論を足しています.たとえば,PBPがいい効果を持つには,地元行政の政策遂行能力も重要だと思われますが,地方の離島だとそうしたキャパシティが不足している可能性があります.
なお,経済振興策は効果ないから早く止める・縮小すべき,ということまでは言っていません.もし政府が国境離島の振興・無人化阻止にコミットしきれていないことが問題であれば,政府はもっと経済振興策を拡充すべきだという議論をすることは可能だと思います.(私は拡充すべきとも言っていませんのであしからず.) ともあれ,離島の無人化を防ぐコストは現在投じられているコスト・エフォートよりも高い可能性があるとは考えられます.
論文には書いてませんが,消滅しそうな離島を維持する費用 (政策の経費だけでなく) がどれほどかというのは丁寧に検討する必要があると思いました (最適停止問題など).
消滅寸前の僻地に人を非ゼロにとどめる費用はこの研究では明らかにできていません (安全保障上の便益はいっそう定量化困難と思われますが).
Mathematicaで以前からこれが遅くなる原因ではないか…と思っていた部分を検証したのでメモ.
Mathematicaの代入
expr /. {replace1 -> value1, replace2 -> value2, ...}
は,代入されるもの・代入するものが多いと遅くなる (vectorizationできるならすべき).
これの類推で,expr (ここでは行列) の一部を書き換える関数ReplacePart
ReplacePart[expr, {{i1,j1} -> value1, {i2,j2} -> value2, ...}]
をTableを用いて
ReplacePart[expr, Table[position[[i]] -> value[[i]], {i, Length@position}]]
のように書くのは遅くなる原因なのだろうか (7年ぐらい前に書いたコードはこれ).
MapThreadを使うとベクトルをベクトル表記のまま同じことができる:
ReplacePart[expr, MapThread[Rule, {position, value}]]
ので,Tableを使う場合とMapThreadを使う場合で差が出るか見てみた.
MapThreadのほうが1割ぐらい速かった.実行環境はやや古いiMacのMathematica14.0.0.
以下コード.
pattern01[nrow_, ncol_, nreplace_, nDo_] :=
Module[{timebegin, mat, replacePosition, newValue},
(* record computational time *)
timebegin = SessionTime[] ;
(*"set seed"*)
ParallelEvaluate[SeedRandom[1]] (* enable to be replicated *);
Do[
(* a matrix that I want replace with newValue *)
mat = RandomReal[1, {nrow, ncol}];
(* positions of mat to be replaced.
the number of replace is at most nreplace. *)
replacePosition =
DeleteDuplicates@
Transpose@{RandomInteger[{1, nrow}, nreplace],
RandomInteger[{1, ncol}, nreplace]};
(* new values (taking Exp is optional) *)
newValue = Exp@RandomReal[1, Length@replacePosition];(*
replacepart with Table *)
mat =
ReplacePart[mat,
Table[replacePosition[[i]] -> newValue[[i]], {i,
Length@replacePosition}] ];,
nDo] (* end of Do *);
Print[ToString@(SessionTime[] - timebegin) <> " sec"];
Return@DateString[]
]
pattern02[nrow_, ncol_, nreplace_, nDo_] :=
Module[{timebegin, mat, replacePosition, newValue},
(* record computational time *)
timebegin = SessionTime[] ;
(*"set seed"*)
ParallelEvaluate[SeedRandom[1]] (* enable to be replicated *);
Do[
(* a matrix that I want replace with newValue *)
mat = RandomReal[1, {nrow, ncol}];
(* positions of mat to be replaced.
the number of replace is at most nreplace. *)
replacePosition =
DeleteDuplicates@
Transpose@{RandomInteger[{1, nrow}, nreplace],
RandomInteger[{1, ncol}, nreplace]};
(* new values (taking Exp is optional) *)
newValue = Exp@RandomReal[1, Length@replacePosition];(*
replacepart with MapThread *)
mat =
ReplacePart[mat, MapThread[Rule, {replacePosition, newValue}] ];,
nDo] (* end of Do *);
Print[ToString@(SessionTime[] - timebegin) <> " sec"];
Return@DateString[]
]
"Parallel Karnels" (* 使ってないけど *)
LaunchKernels[];
"run (execution requires about 20min)"
(* 16384x128行列のうち最大1024箇所を書き換える,を65536回実行 *)
pattern01[2^14, 2^7, 2^10, 2^16]
(* 1420 sec *)
pattern02[2^14, 2^7, 2^10, 2^16]
(* 1318 sec *)
Parallelize@ReplacePartのようにして並列化はできなさそう.
スキマ時間にちらっとめくったのでメモ.といっても,正直読むに耐えないのでちゃんと読んでません.
安里長従, 志賀信夫 (2022) 『なぜ基地と貧困は沖縄に集中するのか?: 本土優先、沖縄劣後の構造』
『沖縄経済と業界発展』が売れ行き好調につき,第2版が若干の改訂を加えて出版されることになりました.ありがとうございます.
過去のブログ記事: 『沖縄経済と業界発展 ー歴史と展望ー』
ISBNが新しくなり,
978-4-906-68919-4
となっています.
私の担当箇所の差分は以下のようにマイナーなものです:
沖縄県の県民経済計算の最新版 (令和元年度) がリリースされていたので,どこが変わっているか簡単にチェックしている.
県民経済計算は,毎年リリースされるたび驚くような幅の改定がどこかにあるので,去年までの常識が通用しないものである.実際,2018年の実質GDP成長率が1.5%から0.5%に低下していてびっくりする.
このエントリはとりわけ国際収支 (域際収支) 部分についてのマニアックな備忘録.パート2があるかはわからない.
1. 基準の改定
平成27年基準に変わった (去年まで平成23年基準).デフレーターの参照年は平成27暦年に変わった (去年まで平成23暦年).
2019年までの情報であり,Covid-19の影響はギリギリ軽微だと思われる.
2. 対外取引の項目が変わってる.
参考資料の「域外受取の推移」「域外支払の推移」では,いくつか変数が増えたり減ったりしている.気になったのは対外受取に間接税が新たに加わっていたことである.
従来は,
経常収支 = 経常取引(受) 総額」 - 経常取引(払)総額
= 貿易・サービス収支 + 第一次所得収支 + 第二次所得収支
であった.しかし今年度からは,二番目の等号が成立しない.
経常収支 = 経常取引(受) 総額」 - 経常取引(払)総額
= 貿易・サービス収支 + 第一次所得収支 +
第二次所得収支 - 生産・輸入品に課される税(控除)補助金 (中央政府)
へと修正されたようである.なお,ここでは国際収支の用語を用いているが,
貿易・サービス収支 = 移出(FISIMを除く) + FISIMの移出入(純)- 移入(FISIMを除く),
第一次所得収支 (昔の所得収支) = 域外からの要素所得(純),
第二次所得収支 (昔の経常移転収支) = 域外からの経常移転 - 域外への経常移転,
である.
この間接税の部分は,中央政府と地方政府の区別が今年から新たに加わっており,注意が必要である.マクロの入門テキストから類推されるように,
GDP = 雇用者報酬 + 営業余剰・混合所得 + 固定資本減耗 + 中央政府・地方政府の税-補助金,
なのだが,このうち中央政府分は域外に漏出し,
要素費用表示NI = 市場価格表示NI (第一次所得バランス) - 地方政府の税-補助金
= 雇用者報酬 + 営業余剰・混合所得 + NFIA
となっている.
中央政府分の税・補助金は,移出品にかかる消費税の国税分?や関税,みたいなものを想像すればいいのだろうか? 酒税や航空機燃料税はどうだろう? もともと中央政府等への経常移転はあった (おそらく所得税・法人税) が.
この中央政府分の生産・輸入品に課される税ー補助金は,2155億円 (GDPの約5%,経常収支の約4倍, 輸出の約14%) あり,無視できない大きさである.
上の図は去年の経常収支(CA)と今年の経常収支,および今年の貿易サービス収支+2つの所得収支,をプロットしたものである.
従来は経常収支が黒字でだいたい横ばいだったものが,改訂版では直近では赤字・低下トレンドに見える,という違いがある.貿易収支やらとCAの乖離が中央政府間接税であるが,こちらは少しずつ拡大しているように見えなくもないが動きは小さい.
おそらく貿易収支は産連から適当に推計していて,為替レートやら交易条件やら金利やら価格の動きに対する反応がタイムリーには反映されないと思われる.
3. 資本移転等収支の項目が変わってる.
かつては
資本移転等収支 (昔のその他資本収支) = (参考)資本取引(受) - (参考)資本取引(払),
であった.今年の資料にも同じく(参考)資本取引の系列はあるが,定義が変わっている模様.つまり,
資本移転等収支 = うち域外からの資本移転 - うち域外への資本移転,
に変わっていた.このように計算しないと,以下が恒等的に成り立たなくなってしまう.
経常収支 + 資本移転等収支 = 金融収支
では,資本取引と資本移転の違いは何だろうか? これはヒントが県の資料になく,今はよくわからない.以前は,資本移転は国庫との取引で,資本取引はそこに小さい「その他」を加えたもの,であり無視してよさそうであった.しかし新基準では資本移転と資本取引のギャップがけっこう大きくなっており,特に2019年はギャップが1桁増えている (ネットで2147億円).沖縄振興予算規模の「その他」はその他じゃないだろう.軍関係とは違う模様.
資本移転等収支の改定自体はあまり大きな影響はなさそうである.土木工事のたぐいの移転は金額が動きようがないのかも.経常収支・金融収支の変化と並べてプロットすると次の通り:
経常収支の変化にともない,金融収支の動きも変化していることがわかる.ただし,資本移転等収支があるため,経常収支が赤字でも金融収支は黒字である.学生に教えにくいったらありゃしない.なお,もともとこの資本移転等収支の部分は「資料の制約により民間部門の資本移転を推計していない。」と注記がある.が,民間部門の資本移転はたぶんあっても限られていると想像される.
4. まとめ
経常黒字だと思ってたら経常赤字になっていた (が金融収支は黒字のまま).中央政府の位置づけが新しい基準のもとで変わり,間接税が域外に出ていく部分を新たに加味したため.
資本移転等収支はよくわからないけど以前の基準より減っていて,直近だとそのギャップが2000億円以上あり理由が知りたい.
念の為,変な新聞が,沖縄県が独自に基準を変えて都合よく統計を操作してるように見えるよーみたいないい加減な報道をしないよう注意しておくと,中央政府等の位置づけを見直しているのは全国共通である.あと,経常収支が赤字だったら悪,と判断する国際マクロ経済学者はたぶんいない.
講義メモシリーズ最終回.我ながらけっこう面白い講義になったと思うし,学生も課題が難しいという以外はわりと好感触っぽかったので,あと数年ブラッシュアップしたらカジュアルな本にでもまとめたいものである.新しい研究アイディアも一つ思いついたので,一段落したら取り組んでみたい.専門分野の講義をするのは楽しい.
7. housing and land markets
不動産の概観.砂原『新築がお好きですか?』が,経済学者の書いたものではないけれど,読み応えがあってよい.比較制度分析は今はあまり見かけない気はするが重要な視点だと思う.
Glaeser and Gyourko (2005) やSaiz (2010) を,ストック・フローアプローチを混ぜたようなモデルで紹介した.しかしモデルと現実の距離がけっこう遠く感じ,あまり好みではない.
嘉手納町が「人口が減ってる原因は住宅供給が足りないから」という趣旨のことを言っているみたいだけど,どういうモデルを想定してどう識別しているのだろう? 超過需要が需要減の原因とは? 負の供給ショック? 価格見て言ってるのかな?
7.2. Bubble
収益還元法を教えるついでに土地バブルについて話をした.
Bernanke, Gertler and Gilchrist (1999) などの金融アクセラレーターやOlivier (2000) の成長促進バブルもちらっと紹介しておく.
平成初頭にも都市経済学者の間では,そもそもあれはバブルだったのか (ファンダメンタルズの動きで説明できる部分も多かったのでは),金融政策だけが問題なのか,など深い議論が交わされていた.しかしその後どういった方向に議論がいったのだろうか…
GFC前夜,サブプライムのときは不動産バブルが大変だったという話をしたが,最近のCase-Shillerは当時をはるかに上回る価格上昇ぶりで,米国は住宅危機にあるようだ.住宅供給危機なのだろうか?
8. Transportation
8.1. Congestion externality
外部性やらピークロード・プライシングやらの話から始める.
で,混雑は他人の時間や体力を奪う,というだけでなく,健康被害もあるという研究を紹介した.
Currie and Walker (2011) は,ETC導入で料金所付近の混雑が緩和されることで,未熟児・低体重児が生まれるリスクが減った,というDiDをしている.政策含意が明らかで重要な研究だと思われるが,そんなに効果量は大きいのだろうかという気はする.
また,学生から質問があったが,なぜ比較群はもともと介入群より低出生体重児が多いのだろうか.混雑のボトルネックから離れている人たちはもっと低くてもいいはずである.本当に平行トレンドという形での比較可能性が正当化できる群なのだろうか.
講義資料を作った後に見つけた研究,Herrnstadt et al. (2021) はCurrie-Walkerと似た議論をしている.高速道路付近での風向きをチェックし,風下にいると (風上に比べて) 粗暴犯罪が増えるとのことである.風を日次でみるとたしかにそこそこランダムだと思われるので,おもしろいデザインだと思う.
8.2. addressing congestion
渋滞緩和政策をどう考えるか,という視点で議論を進めた.Wardropモデルを紹介し,インフラ投資の効果はシステム全体に波及するので,素朴なDiDはダメよ,という注意喚起をした.Braessのパラドックスは名前だけ紹介.
Robert Fogelの議論も紹介.ついでにDonaldsonみたいに,同質財の価格差や貿易シェアといった観測可能な情報から,観察できないものを埋めるような分析も紹介しようと思ったが,時間が足りず省略.
8.3. Mobility as a Service
スマートシティやMaaSといった最近の話題も紹介しておいた.MaaSはプラットフォームの理解なく事例を追いかけてもあまり意味がないと感じたので,両面市場も勉強しろと念を押して置いた.
MaaSの皮切りになったHeikkila論文は修士論文だったそうな.修論で大きなビジョンを提示するというのはなかなかできないなと思ったが,修論だからこそ大風呂敷を広げられるとも思った.
あと,交通はエンパワーメントとしての役割ももっているとも強調しておいた.AI, IoTなど技術は (上滑りなバズワードになりがちだが) 助けになると思われる.足が不自由でも,リモートワークで活躍できるようになるかもしれない.モビリティを (コスト・ベネフィットに見合った形で) 高めることはこれからの時代も重要な課題であり続けるだろう.
9. Conclusion
全体を振り返ると,実証全盛期のご時世を反映した講義となった.教科書には載っていない,大学じゃないと聞けない講義になったと思う.
学生の反応は,内容はおもしろいけど数学はちょっと…って感じであった.高校までに習う数学がほとんどだったと思うけど… (その後,高校で微分をやっていないことに気づいた).
久しぶりに対面講義中心で行った.BA.5が心配な時期ではあり自身が感染しなかったのは幸運だったと思うけれど (バイト先は学生の10%弱が対面試験を感染症のため受けられなかった…),なんやかんやで教室に来てもらうことは大事な気がする.あと,教室のプロジェクタが悲惨だったので,これだから地方国立は…と感じた.
終わった後,この分野に興味があるけど就職はどういうところがいいのか,という質問をもらった.公務員や不動産・交通以外にあんまりいいところが思いつかなかった.都市計画や建築や金融の人とは違った,都市経済学人材ならではの出口はないものだろうか.学士だと専門性では勝負できないとしても何か関連業界があるとうれしい…
後期は必修ミクロを担当予定である.正直ミクロは得意じゃないし好きでもないので…….
Reference
砂原庸介 (2018) 『新築がお好きですか?:日本における住宅と政治 (叢書・知を究める)』ミネルヴァ書房
Bernanke, Ben S., Mark Gertler, and Simon Gilchrist. "The financial accelerator in a quantitative business cycle framework." Handbook of macroeconomics 1 (1999): 1341-1393.
Currie, Janet, and Reed Walker. "Traffic congestion and infant health: Evidence from E-ZPass." American Economic Journal: Applied Economics 3.1 (2011): 65-90.
Herrnstadt, Evan, Anthony Heyes, Erich Muehlegger, and Soodeh Saberian. 2021. "Air Pollution and Criminal Activity: Microgeographic Evidence from Chicago." American Economic Journal: Applied Economics, 13 (4): 70-100.
Olivier, Jacques. "Growth‐enhancing bubbles." International Economic Review 41.1 (2000): 133-152.