疲労困憊で講義後に一瞬気絶しました.(たまにランニングしているせいもありますが)体重が落ちている気もします.
講義内容
コメントより
講義内容
- インフレ・デフレ
- シンプルな総需要・総供給モデルだと,デフレはあくまでも結果.近年の政策論争はとてもねじれたところから出発している印象を受ける.
- フィリップス曲線
- 理論でも実証でも,不景気・高失業とデフレには相関がしばしば観察される.
- 曲線上の点なら,政策的に選べる.しかし曲線から乖離したところへは,金融政策だけで移動するのは困難.金融政策はパワフルだけど万能ではない.
- ただし,現在の日銀はこれをやろうとしている.この試みが成功したかどうかはまだ学術的に決着が付いていない.(というより専門外なのでよく知らない.ゼロ金利脱却後にどうなるかを確認しないうちに勝利宣言しても不毛に思うけど.)
- インフレのコスト
- 「インフレで実質的な所得が下がる」や「インフレで貸し手が実質的には損をする」という議論には,暗黙のうちに根拠の弱い仮定が置かれている.
- インフレに応じて名目金利が上がることをフィッシャー効果と言う.
- プロの世界でも,インフレの厚生費用は関数形にも大きく依存するしうまく捉えられない,という印象がある(私はプロではない).
- 期末試験を予定.健闘を祈ります.
- 貨幣の役割,準備預金制度のあらまし,などをカバーする予定でしたが時間切れでした.9章は試験には出しません.時間管理能力がなくてすみません.
コメントより
- 「授業と関係ないが,大学を中退して就職する友人が複数いて悩ましい.中退して就職するのと,大学を卒業してから就職するのとではどちらのほうがよいと思うか? 中退しているのに就職できてうらやましいと思った」
- 時と場合によるので,中退が吉と出るか凶と出るかを一概に断ずることは出来ません.たとえば早稲田大学では,普通に卒業する奴は三流で,中退してやっと一流になれるという俗諺もあります.
- 残念ながらうちは早稲田ではありません.入学したという事実だけでは,秀でた能力を持っていると証明することはできません(シグナリングにならない).むしろドロップアウトすることで,たとえば以下のような悪印象を伝えてしまうかもしれません:
- 授業についていくだけの基礎学力が足りないのではないか.
- 大学生活をエンジョイするためのコミュニケーション能力が足りないのではないか.
- 高い目標を設定し,前向きに努力を継続するような根気強さがないのではないか.
- 自分を律することができず,時間や締め切りを守れなかったり,健康状態や精神衛生を健全に保つことができなかったりするのではないか.
- また,就職できてもそのまま終身雇用というわけではありません.大卒に比べてドロップアウトは解雇されやすいかもしれません.再就職も簡単ではないでしょう.
- 一方で,こうしたデメリットを上回るだけのメリットがあればドロップアウトもひとつのよい転機になるでしょう.
- 大学で学んだことがまるで生かせない仕事であれば,早めに働き始めたほうが有利に働くこともあるでしょう.たとえばトラック野郎がマクロ経済学を勉強しても仕事に直接活かせるものはほとんどないでしょう.
- あるいは,今は景気が良いので就職しやすいが,来年は景気がきっと悪くなるはずだから来年の就活まで待っていられない,という確信があれば就活の時期を早めるのもありでしょう. 労働市場に出るタイミングは重要です.
- 仮にご友人の経験通り「景気が良ければ,大卒でなくてもOK」が成り立つとしても,「景気にかかわらず,大卒でなくてもOK」とは言えませんね.
- なお,以上は私の勝手な想像であり,エビデンスに基づいたアドバイスではありません.労働経済学を勉強した上で自分の責任と信念で判断していただけるとありがたいです.
- 個人的には,大学を卒業するメリットは,労働市場で報われることよりもむしろ,学問を通じて知的に成熟できることにこそあると思います.知的好奇心と無縁の人生を歩むことは,金銭的に貧しいことよりもはるかに恐ろしいです.おっしゃるように大学卒業は就職の必要条件ではありませんが,就職だけを目的としない気概を持ってほしいと思いますし,自分の人生にとって本当に必要な何かに時間と労力を注ぐことができる機会を最大限活用してほしいと思います.
- 「インフレの方がいいと思った.日本はいったいいつになったら完全にインフレになるのかなと思ったり」
- 日銀に質問してください.
- 「最近ニュースでは,モノの値段が上がっているとよく見るが,総需要は増えてない気がするし,所得も変わっていない気がする.実際に物価だけが上昇することはあるか?」
- 物価や所得の動きは,感覚や気持ちだけでは捉えられないと思います.たとえ統計データを見てもそう簡単にはわからないものです.ニュースの煽りに乗らないようにしましょう.
- 実際に沖縄の所得の動きを数字で確認してみましょう.縦棒が,2012年11月のタイミングを表します(日銀総裁交代後の金融緩和は13年4月にスタートします).
- 13年夏頃までは賃金が上昇したように見えますが,それ以降はいまいちのようですね.
- このグラフだけだとわからないことが多いので, 所得の変化率を見てみましょう.
沖縄の名目所得の変化率とインフレ率.青実線が男性の所得,赤点線が女性の所得,緑がインフレ率(那覇市の消費者物価指数).すべて前年同期比,単位 %. 出典: 沖縄県「消費者物価指数」 - 2010年~2013年頃までは,男性の名目賃金とインフレの動きは連動しているように見えます.インフレに応じて名目賃金も調整されるかも,という話と整合的ですね.しかし,13年夏頃~14年夏頃(消費増税決定前のアベノミクス初期)は,物価と賃金が逆の動きをしているようです.(最近は賃金がプラス成長圏内に戻ってきています.)
- 結局のところ,単純に記述統計だけを見て安易な結論を得るのは難しいようです.
- 元々のご質問はインフレだけ生じて実質的には豊かにならない・むしろ貧しくなることはあるか,ということですが,十分ありえる話ではないでしょうか.ただしそれが常とは限らないと思います.
- 「インフレが悪いと言われているが,企業が賃金を上げたり,名目金利がインフレに応じて動いたりすると,実際はそうでもないとわかった」
- ナイスな要約能力ですね.
- 「沖縄の成人式ってどう思いますか?」
- 参加したいけどおっさんなのでできません.
- 10代が人生のピークにならないように願います.
沖縄の男性の名目所得(決まって支給する給与), 単位: 万円. 黒線が季節調整値,青線がトレンド.薄い線が原数値.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」. |
沖縄の女性の名目所得(決まって支給する給与), 単位: 万円. 黒線が季節調整値,青線がトレンド.薄い線が原数値.出典: 沖縄県「毎月勤労統計調査」. |